第3期七番勝負第4局
前夜祭6
「本日、検分の前に富岡製糸場をガイドしてもらいました。生糸の生産にはたくさんの人々の手が入って、一本の糸になります。これは自分とつながるものがありまして、将棋を始めてからこの場に立つことができたのは、関係各位の皆さまのおかげであります。
第3局まで終えて、タイトル戦を戦っている充実感もあり、精進しなければいけないと思うところもあります。将棋ブームのなかで、そして皆さまに応援していただいてタイトル戦を戦えていることを幸せに思います。
ここまで叡王戦の決勝七番勝負に出るために、細い細い一本の糸を死に物狂いでつかみとったようなもの。これを大きな束にして、後世に語り継がれるような名勝負にしたいと思いますし、ここまで戦ってきた自分を信じて精一杯、戦いたい。星取りは意識していないので、一局一局、全力を尽くしたいと思います」(高見六段)
「温かい雰囲気のなかで迎えてくださり、また短い時間のなかでたくさん激励していただき、ありがとうございます。富岡製糸場を見学させていただき、私も歴史、技術の進歩を感じさせていただきました。今回は対局室がいつもと違った雰囲気だと思います。
群馬には、父の実家があり、毎年のようにいとこの家に遊びに行きました。棋士になってからは、何年か前に群馬のスター、三浦九段と目隠し将棋を指すイベントがありました。最終盤まで激戦でしたが、私が5枚目の金を打つ勝負手を放ち、会場が凍りついた記憶があります。そのあとも、イベントを手伝ってくれていた高校生と将棋を指す縁がありました。そういうこともあって、群馬はホームのような気持ちです。
明日はいよいよ第4局。スコアのうえでは、高見六段の勢いを感じる3局でした。でも明日、高見さんの勢いを止められるのは自分しかいません。シリーズで押し込まれたのも自分ですけども、予選、本戦の厳しいトーナメントを何とか勝ち上がってきたのも自分ですから、明日、明日こそは、皆さまの心に残るよい棋譜を残せればと思います。精一杯指すことを誓いまして、私のあいさつとさせていただきます」(金井六段)
前夜祭5
(富岡市のイメージキャラクター「お富ちゃん」)
前夜祭4
前夜祭3
前夜祭2
「叡王戦の特徴は、歴史的、文化的場所で対局が行われること。そして持ち時間の変動制。理事なのでどちらが応援とは言えませんが、せっかくなので1時間(第5、6局)や6時間(第7局)の対局を見てみたいという複雑な気持ちです。富岡市の魅力が全国に発信されて、盛り上がっていければと思います」(森内専務理事)
「世界遺産、国宝の富岡製糸場は、世界遺産登録後、多くの観光客にお越しいただいております。富岡は保存だけではなく、観光的活用も行なっているところです。今日の前夜祭に遠方から多くの方々がお見えになり、将棋人気を実感しています」(佐藤さん)
「不動産で幸せを創る、考える企業理念で、全国各地でマンションの分譲を行っている企業です。社内には、叡王戦のポスターがかなり貼られています。我々は文化的活動、地域貢献などに協賛させていただいており、このようなイベントに積極的に参加させていただきたいと思っております。叡王戦の大成功を祈念して、乾杯したいと思います」(鈴木さん)
前夜祭1
磯部ガーデン
前夜祭は「磯部ガーデン」で行われました。以下は館内資料から一部抜粋。
「磯部温泉は、群馬県の南西部に位置し、近くを五街道のひとつ中仙道が通っていることもあって、碓氷峠を往来する旅人や、近在からの湯治客で、古くからにぎわってまいりました」
「この磯部温泉には舌切雀の伝説が伝わっております。そして誰言うともなく当館のことを『舌切雀のお宿』と言い習わしてまいりました。当館の敷地内には舌切雀神社がまつられており、ゆかりの品々が残っております」
「舌切雀の伝説は、おばあさんに舌を切られた小雀をあわれに思ったおじいさんが舌切雀のお宿を訪ね、そこで雀たちから大歓迎を受けるという動物報恩譚の一種であり、また、欲張って大きなつづらをもらったおばあさんが怖い目にあうという教訓を含んだ物語です。当館では、お客様にご満足というつづらをお持ち帰りいただけますよう努力しております」
控室での一コマ
(左から中村桃女流初段、塚田女流1級、安食女流初段。製糸場と生茶をPR)
(森内九段がシャッターを切る。写真はこちら)