終局直後インタビュー
―― 昼食休憩明けの△5五歩(58手目)の評判がよかった
伊藤 △5五歩以外にも候補手はあった。何を指してもあまり見通しが立たず、わからないまま指していた。
―― 終盤について
伊藤 リードしているように気がしつつ、よくわからないと思いながら指していた。ただ、▲4五桂~▲2八角(85手目~87手目)の順を軽視して、苦しくなったかと思っていた。
―― 勝ちを意識したのは
伊藤 終盤は駒が入り乱れてよくわからないままだった。ただ、△8五飛(108手目)と走れたあたりで指せそうに感じた。
―― 対局場について
伊藤 対局に専念しやすい環境を作っていただいて、非常に集中して指すことができた。
―― 第3局に向けて
伊藤 ひとまずタイに戻せてよかった。第3局もしっかり準備をして臨みたい。
(敗れた斎藤慎太郎八段)
■斎藤八段のインタビュー
―― 先手のほうが主張する駒組みだった。どこまで予定だったか
斎藤 △6四角(50手目)と打たれて動けるかどうか、事前に考えてはいたがよくわかっていなかった。本譜の△5五歩があるのなら、無理な仕掛けだったかもしれない。仕掛けないほうを考えるべきだったか。
―― ▲7七桂(59手目)は長考だった。
斎藤 △5五歩と突かれてしっくりこなかった。手段はいろいろありそうだが、△5四桂の対抗策がわからず、粘りにいった変化になった。
―― 終盤戦について
斎藤 ずっと苦しいと思っていたが、悪いながらも嫌みを残しているつもりではあった。ただ、▲4六銀(95手目)は玉が弱体化して、指したくなかった。代えて▲5六桂なら何か起こりそうな雰囲気もあったのではないか。
―― 対局場について
斎藤 全体的にゆったりとした建物で、楽しめる要素の多いホテルだと感じた。将棋の展示コーナーを作っていただいているのがありがたく、うれしいことだと思う。
―― 第3局に向けて
斎藤 本局はずっと苦しい場面が多く、課題が多かった。改善できればと思う。
(インタビュー後、対局者は大盤解説会場に向かい、あいさつを行った)
第2局は伊藤叡王の勝利
五番勝負第2局は、120手で伊藤叡王が勝ちました。終局時刻は19時28分。消費時間は▲斎藤4時間0分、△伊藤4時間0分(チェスクロック使用)。本局の結果、五番勝負は両者1勝1敗。事実上の三番勝負で仕切り直しとなります。
(武蔵)
後手優勢
飛車を走って攻めに活用しました。駒の働きに加えて玉の堅さに差もあって、久保九段は「後手優勢」との見解を示しています。後手には△6七歩や△5七歩など、有力な攻め筋が多々あって、好条件がそろっているといえそうです。









上図で伊藤叡王も持ち時間を使いきりました。ここからは両者1手60秒未満の着手となります。中央で駒が密集し、久保九段は「目がチカチカします」。高見七段は「目薬がほしい」といい残し、大盤解説会場に戻りました。
虎の子の角を、銀取りに打って反撃に出ました。銀取りを受けるなら△5五歩が自然ですが、じっと▲同歩でプレッシャーになります。大盤解説会から高見七段が戻ってくると、久保九段が「△7三銀打とか△6三銀とか△7二桂など、駒を使う受けはありますけれど、ちょっとやりにくいですよね。どうやって受けるんですか」と話しかけました。




18時を回って、伊藤叡王が角切りの強襲で踏み込みました。先手が角と金のいずれで応じても、△4五桂が両取りになります。実戦は上図以下、▲3七同角△4五桂▲2六角△5七桂成と進みました。以下▲同金に△4五桂が厳しく攻めが続きます。






