2024年6月20日 (木)

240620_116図の局面で藤井叡王が時間を使っています。図から▲3四金△4二玉▲4三歩△4一玉の局面でスッキリした勝ちが見えないと検討陣。普通は3一に逃げるものなので、先手とすれば△4一玉はうっかりしやすい手です。

16時55分の時点で、藤井叡王は22分を消費し、残り時間は▲藤井30分、△伊藤36分と時間に関しては逆転しました。60手目△5五歩以降、伊藤七段が時間でリードしたのは初めてです。実戦的にはまだ大変かもしれません。「こんなに難しいとは思わなかった」や「粘れる形(△4一玉の局面)をよく見つけたね」の声も。

Dsc_7244(17時ごろのモニター映像)

240620_104伊藤七段は王手飛車取りの筋を受け入れ、代償に自玉を安全にしてから△7六歩で勝負しました。攻め合いに活路を求めます。先手優勢で終盤に入りましたが、まだ予断は許しません。

Dsc_7231(先日現役を引退した青野照市九段が来訪)

240620_088藤井叡王は図から▲6四歩△同銀▲同飛△同玉と飛車を切っていきました。少し前に紹介した変化と比べて拠点はありませんが、△6四同玉に▲6五歩が厳しいようです。以下△5三玉▲6四角△5四玉▲4六銀(変化図)となれば、次に▲9一角成△同飛に▲6四金の詰み筋があります。

240620_088s最初の図に戻り、▲6四歩△同銀▲7二角△6五銀▲8一角成の取り合いもありました。本譜で攻めがつながると読めるのはさすがです。「(変化図でよいとは)読みにくい」と検討陣。あらゆる変化をすべて読みつぶす、藤井叡王の強みが出た変化といえるかもしれません。「今日は激しい手が多い。藤井さんが好手を連発して伊藤さんを追い詰めている」と深浦九段。

Dsc_7218(戦況を見守る深浦九段)

240620_0866四玉、6六飛の形から△6五歩▲同飛△5四玉で図。▲6五同飛に△同玉は▲5三桂成で先手の攻めが続きそうでした。本譜は飛車を近づけてからかわす、ギリギリのしのぎ。後手は味方の金銀より前に玉が出張り、最前線で頑張っています。受け将棋の腕自慢でなければ支えきれない形です。後手玉周辺に駒が密集する接近戦になりました。

Dsc_6552(伊藤七段も持ち味を出している)

15時になり、午後のおやつが出されました。
藤井叡王 ペコちゃんのほっぺ(ブルーベリーチーズクリーム)
     オレンジジュース
伊藤七段 山形県産佐藤錦バウムクーヘン
     アイスティー(ストレート)

【ペコちゃんのほっぺ|不二家】
https://www.fujiya-peko.co.jp/cake/item/15928.html
【バウムクーヘン|不二家】
https://www.fujiya-peko.co.jp/cake/item/18502.html

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240620_080図は4五桂と6五桂が不安定なため、どちらかを5三に成り込むだろうと予想されています。勝又七段は▲5三桂左成を検討中。以下△5三同金には▲6六飛△6五歩▲同飛!△同玉▲5三桂成(変化図)でこれは先手が指せそうです。飛車切りは穴熊らしい豪快な攻め。藤井叡王が好みそうな手順でもあります。

240620_080s

Dsc_7108(大盤解説が始まる前の検討風景)

現地では14時から大盤解説会(申込終了)が始まりました。初手から解説しています。

Dsc_7113(前夜祭と同じ会場)

Dsc_7175(解説は松尾八段)

Dsc_7148_2(聞き手は貞升女流二段)

Dsc_7180_2(会場では対局室の様子も見られる。77手目▲6六銀直に△同歩が指された)

240620_076図で「次の一手」の問題を出したとして、正解者は何人いるでしょうか。藤井叡王は▲6六銀直!を指しました。歩の前に銀を進める強手。控室の面々は白昼、幽霊にあったかのように「ひえー」と声を上げました。「13時40分に指していい手ではないでしょう」と勝又七段。「すさまじい手ですね」と深浦九段。伊藤七段はどう受け止めたのか。指された3分後に、いったん席を外しました。

△6六同歩▲6五桂に後手玉が6筋以外に逃げれば▲5三桂右成。取られそうな4五桂を有効活用できます。これは先手よし。▲6五桂には△6四玉しかないかもしれません。最善を指さなければ体勢を崩しそうですが、その最善がまた指しにくい。難解な変化に突入しそうです。

Dsc_6973(▲6六銀直は決め手で出てきそうな手。面白い将棋になった)

240620_075対局再開から▲5九金△3八角成▲同角△同と▲7三歩成△同玉▲6五歩で図。深浦九段は▲6五歩を「強い手だな」と評しました。△3七角が見えていますが、攻め合いで勝とうとしています。

松尾八段「▲5九金に代えて▲7三歩成△同玉▲6五歩も自然だと思いました。本譜は穴熊の堅さをキープしつつ、強く攻めかかろうとしています。後手は丁寧に面倒を見る方針ですね。先手がどう指すか、具体的な手順は難しいですからいい勝負なのでしょうけど、私はやや先手持ちです」

Dsc_6996(再開後の藤井叡王)