辛抱から攻め合いへ
やはり飛車切り
藤井叡王は図から▲6四歩△同銀▲同飛△同玉と飛車を切っていきました。少し前に紹介した変化と比べて拠点はありませんが、△6四同玉に▲6五歩が厳しいようです。以下△5三玉▲6四角△5四玉▲4六銀(変化図)となれば、次に▲9一角成△同飛に▲6四金の詰み筋があります。
最初の図に戻り、▲6四歩△同銀▲7二角△6五銀▲8一角成の取り合いもありました。本譜で攻めがつながると読めるのはさすがです。「(変化図でよいとは)読みにくい」と検討陣。あらゆる変化をすべて読みつぶす、藤井叡王の強みが出た変化といえるかもしれません。「今日は激しい手が多い。藤井さんが好手を連発して伊藤さんを追い詰めている」と深浦九段。
超接近戦
午後のおやつ
15時になり、午後のおやつが出されました。
藤井叡王 ペコちゃんのほっぺ(ブルーベリーチーズクリーム)
オレンジジュース
伊藤七段 山形県産佐藤錦バウムクーヘン
アイスティー(ストレート)
【ペコちゃんのほっぺ|不二家】
https://www.fujiya-peko.co.jp/cake/item/15928.html
【バウムクーヘン|不二家】
https://www.fujiya-peko.co.jp/cake/item/18502.html
飛車切りの変化
解説会開始
まさかの一手
図で「次の一手」の問題を出したとして、正解者は何人いるでしょうか。藤井叡王は▲6六銀直!を指しました。歩の前に銀を進める強手。控室の面々は白昼、幽霊にあったかのように「ひえー」と声を上げました。「13時40分に指していい手ではないでしょう」と勝又七段。「すさまじい手ですね」と深浦九段。伊藤七段はどう受け止めたのか。指された3分後に、いったん席を外しました。
△6六同歩▲6五桂に後手玉が6筋以外に逃げれば▲5三桂右成。取られそうな4五桂を有効活用できます。これは先手よし。▲6五桂には△6四玉しかないかもしれません。最善を指さなければ体勢を崩しそうですが、その最善がまた指しにくい。難解な変化に突入しそうです。
図の局面で藤井叡王が時間を使っています。図から▲3四金△4二玉▲4三歩△4一玉の局面でスッキリした勝ちが見えないと検討陣。普通は3一に逃げるものなので、先手とすれば△4一玉はうっかりしやすい手です。
伊藤七段は王手飛車取りの筋を受け入れ、代償に自玉を安全にしてから△7六歩で勝負しました。攻め合いに活路を求めます。先手優勢で終盤に入りましたが、まだ予断は許しません。

6四玉、6六飛の形から△6五歩▲同飛△5四玉で図。▲6五同飛に△同玉は▲5三桂成で先手の攻めが続きそうでした。本譜は飛車を近づけてからかわす、ギリギリのしのぎ。後手は味方の金銀より前に玉が出張り、最前線で頑張っています。受け将棋の腕自慢でなければ支えきれない形です。後手玉周辺に駒が密集する接近戦になりました。


図は4五桂と6五桂が不安定なため、どちらかを5三に成り込むだろうと予想されています。勝又七段は▲5三桂左成を検討中。以下△5三同金には▲6六飛△6五歩▲同飛!△同玉▲5三桂成(変化図)でこれは先手が指せそうです。飛車切りは穴熊らしい豪快な攻め。藤井叡王が好みそうな手順でもあります。






対局再開から▲5九金△3八角成▲同角△同と▲7三歩成△同玉▲6五歩で図。深浦九段は▲6五歩を「強い手だな」と評しました。△3七角が見えていますが、攻め合いで勝とうとしています。






