指し直し局は角換わりから後手の右玉です。右玉は千日手をいとわない作戦で、5二の金を寄った△4二金左は手待ちの方針です。豊島竜王・名人は▲2五桂とぶつけ、打開を目指しました。
数手進んで、▲5五歩の図です。
▲5五歩は△同歩▲5六歩△同歩▲5五桂の狙いで、ツノ銀に対してはよく出てくる手筋です。永瀬叡王は△5五同歩▲5六歩に△5四歩と応じています。
△5四歩は▲同歩なら△5五桂です。しかし、仮に▲4八金△5五歩▲5六歩△4二金▲5五歩△5四歩と進行すれば、金の往復運動と5筋の応酬で、千日手になる可能性がありました。
実戦は△5四歩に▲5四同歩。以下△5五桂▲5六銀右△5四銀左▲2二角と進んでいます。
積極的な豊島竜王・名人の指し回しに、青野九段は「攻め切れるのかなぁ」と話しています。先手は△4二金から△3二金寄で角を取られるので、駒損覚悟で攻め込む必要があります。