2024年5月30日 (木)

柏の葉カンファレンスセンターで行われた前夜祭の模様です。

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20240530a7304564(司会を務める本田小百合女流三段)

20240530a7304468(主催者代表挨拶 西尾明・日本将棋連盟常務理事)

第4局ということで、シリーズも終盤戦に差し掛かっています。先ほどの検分を見ましても、いつも以上に緊張感、そして注目度が増しているなと感じています。叡王戦はまだまだ若い棋戦ですが、だからこそさまざまに新しい取り組みができているという側面もあり、そういった取り組みを通じて、新しい将棋普及に生かしていけるような棋戦に育てていければと考えています。若い対局者のお二人には、才気と叡智あふれる将棋を指して、将棋ファンの皆様を楽しませていただきたいと思います。

20240530a7304470(特別協賛社挨拶 中路武志・レオスキャピタルワークス株式会社 取締役CCO)

将棋の世界だけでなく、資産運用の世界でもAIの台頭が非常に進んでおり、AIが投資判断を行えば運用者は必要なくなるのではという声も聞こえます。しかし、AIは人間がより成長し、快適な世の中を作るための手段です。AIで研究を重ねたうえで、人間でしか発想できない一手、私たちの分野でいえば投資検討ということになりますが、経営者の人となりですとか、現地視察で感じる直感的なものを加えて投資判断をすることが大事だと考えています。ハイスピードで進化するテクノロジーを生身の人間が活用し、感性をプラスすることで、より素晴らしい世界が広がる。こういった視点で、将棋と資産運用の親和性を感じています。

20240530a7304476(第4局協賛社挨拶 尾實健・三井不動産株式会社 柏の葉街づくり推進部長)

三井不動産では柏の葉で約20年、街づくりをさせていただいています。この街の開発は公・民・学が一体となって行っている非常に独特なもので、世界にもなかなか類を見ないようなスマートシティーといえます。叡王戦はいろいろなことにチャレンジしていく棋戦ということで、まさにいろいろなチャレンジをしながらつくられてきたこの柏の葉の街で叡王戦の対局が行われるということを、本当に感慨深く思っています。

20240530a7304477(第4局開催地挨拶 太田和美・柏市長)

一昨年にも、この会場、この柏の地で叡王戦を開催していただきました。名誉あるタイトル戦が再び柏の地で開催されることを、大変光栄に思います。柏では、明日も立会人を務められる石田和雄九段が柏将棋センターを開かれており、柏は将棋の根づいた地といえます。明日の熱戦が、多くの市民がいつも以上に将棋と触れ合える機会になることを期待しています。

(書き起こし=睡蓮)

16時頃、検分が行われました。本局の使用駒は日本将棋連盟所蔵の「淘水作・源兵衛清安書」です。初開催の2年前と同じ対局室とあってか、特に問題点は見当たらず、滞りなく進みました。このあと17時15分からは前夜祭が行われます。

20240530a7304397(立会人を務める石田和雄九段)

20240530a7304403(藤井聡太叡王は王将、玉将と、飛車金歩を2枚ずつ取り出した)

20240530a7304415(藤井叡王)

20240530a7304424_2 (挑戦者・伊藤匠七段)

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20240530a7304456(本局の使用駒に選ばれたのは写真右。左は日本将棋連盟所蔵の「大竹竹風作・菱湖書」)

藤井聡太叡王に伊藤匠七段が挑戦する第9期叡王戦五番勝負。シリーズは藤井叡王先勝のあと、伊藤七段の2連勝で第4局を迎えました。藤井聡太叡王に伊藤匠七段が挑戦する第9期叡王戦五番勝負。シリーズは藤井叡王先勝のあと、伊藤七段の2連勝で第4局を迎えました。
対局は5月31日(金)に千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」で行われます。開始時刻は9時、持ち時間は各4時間(チェスクロック使用)。使いきると1手60秒未満の着手となります。第4局の先手番は伊藤七段です。昼食休憩は12時~13時、おやつは10時と15時に出されます。立会人は石田和雄九段、記録係は宮原暁月三段(中川大輔八段門下)が務めます。現地大盤解説会の出演者は、佐々木勇気八段、三枚堂達也七段、門倉啓太五段、加藤結李愛女流初段です(事前申し込み制で、すでに締め切り済み)。

本局の中継は棋譜コメントを睡蓮、本ブログを玉響が担当します。よろしくお願いいたします。

【第4局 棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/9/eiou202405310101.html

【主催:株式会社不二家】
https://www.fujiya-peko.co.jp/eiou/
【特別協賛:ひふみ】
https://hifumi.rheos.jp/
【協賛:中部電力株式会社】
https://www.chuden.co.jp/
【協賛:株式会社豊田自動織機】
https://www.toyota-shokki.co.jp/index.html
【協賛:豊田通商株式会社】
https://www.toyota-tsusho.com/
【協賛:日本AMD株式会社】
https://www.amd.com/ja.html
【協賛:アパリゾート佳水郷】
https://www.apahotel.com/resort/kasuikyo/

2024年5月 2日 (木)

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(感想戦終了後、藤井聡太叡王が去ったあとに93手目▲8七銀のところで▲7九桂と受けた変化を尋ねられ考える伊藤匠七段。「負けかもしれませんね」と振り返った)

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(見届け人の方に、伊藤七段から駒が贈呈された)

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(記念撮影)

本局の中継はこれで終了いたします。ご観戦ありがとうございました。

対局者はインタビューのあと、大盤解説会場の中電ホールに向かいました。

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(到着前、佐々木勇気八段が「解説は難しかったでしょうか」と会場に問いかけると「わかりやすかったです!」と答える声をきっかけに大きな拍手が起こった)

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(解説のときに心がけていることを話す佐々木勇八段)

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佐々木勇八段「指さなさそうな手よりも、これから指すであろう手を解説するように心がけています」

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佐々木勇八段「4月、5月は仕事を引き受けすぎてしまったので、5月で仕事納めにするかもしれません」

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(終局直後)

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(タイトル奪取まであと1勝とした伊藤匠七段)

【伊藤匠七段インタビュー】
── 角換わり腰掛け銀で、午前中は速いテンポで指し手が進みました。
伊藤 △5二金型をやってみようと思ってはいたのですが、かなり手が広い将棋なので、どういう展開になるのか、やってみないと分からないと思っていました。

── 66手目△4三金右は1時間19分の長考でした。
伊藤 ▲7九玉に△6七歩(58手目)と垂らした手はちょっと軽率だったかなと。本譜の進行のときに、かなり損をしたので、自信のない展開になってしまったかなと思いました。

── 96手目△7六同馬から秒読みに入りましたが、この辺りの形勢判断は?
伊藤 直前は負けがありそうな気がしていたのですが、秒読みに入った辺りは、こちらにも手段がありそうな気がしていました。

── その後、▲4三桂(111手目)から藤井叡王の王手が続きましたが?
伊藤 はっきりとは分からないまま指していました。

── 勝ちを意識されたのは?
伊藤 最後△1五桂と打って勝っていそうかなと思いました。

── 一局全体を振り返って。
伊藤 中盤のバランスの取り方に課題が残ったと思うので、そこは修正していかなければと思います。

── 第4局に向けて。
伊藤 本局はかなり課題が残る内容だったので、しっかり振り返って臨みたいと思います。

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(敗れた藤井聡太叡王。タイトル戦での連敗は初めて)

【藤井聡太叡王インタビュー】
── 序中盤を振り返って。
藤井 先に仕掛けていくような形になったのですけど、こちらの玉も攻められ出すと薄いので、一手一手が難しい将棋かなと思っていました。

── 91手目▲6一飛から秒読みに入りましたが、この形勢判断は?
藤井 直前の△7六銀(90手目)をうっかりしたので、負けにしている可能性が高いかなという気がしました。

── その後、かなり厳しい、秒読みの中での将棋が続きましたが。
藤井 その辺りは、基本的に負けかなと思っていました。

── タイトル戦で先に王手をかけられるのは初めてですが。
藤井 星取りとしてはそうですね、厳しい状況になってしまったかなと思います。

── 先手番を落とすのは、昨年の王座戦第1局以来でしたが。
藤井 終盤でちゃんと読めていないところが多かったので、その辺りが結果にも出てしまったと思います。

── 一局の総括と第4局に向けての意気込みを。
藤井 本局は難しい将棋だったと思うのですが、中盤から終盤に入る辺りで、何か手段があってもおかしくない感じだったので、その辺りで間違えてしまったのは課題が残るところだったと思います。カド番にはなりましたけど、やることは変わらないので、第4局もしっかり準備して頑張りたいと思います。

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(このあと、大盤解説会に向かった)

(書き起こし=夏芽)

投了図

第9期叡王戦五番勝負第3局▲藤井聡太叡王-△伊藤匠七段戦は、146手で伊藤七段が勝ちました。終局時刻は18時43分。消費時間は▲藤井4時間0分、△伊藤4時間0分(チェスクロック使用)。

この結果、五番勝負は伊藤七段の2勝1敗。初のタイトル獲得まであと1勝となりました。

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図の△3六銀成が鮮やかな決め手と言われています。以下▲同玉△3五銀▲3七玉△2五桂▲3八玉に△2一馬で先手玉は受けがありません。

控室では△3六銀成が伝えられると「匠、かっこいい」「いいものを見た」と賛辞が送られています。