終局直後の対局室
【勝った伊藤叡王のインタビュー】
――序盤はいかがだったでしょうか?
伊藤「飛車交換になる展開はそんなに前例がないと思うのですが、そのあとは手探りで進めていて。▲1五歩(37手目)と伸ばした手は緩手だったのかなという気がして、▲3五飛と打ったほうがよかったのかなと感じていて、昼食休憩のところは自信がなかったです」
――後手の攻勢が続いていたと思いますが、中盤はいかがでしたか?
伊藤「かなり後手に選択肢の多い展開で、こちらとしては離されずについていけるかだと思っていました」
――終盤はいかがでしたか?
伊藤「3三の飛車が使えない展開になってきて、そのあたりから少しずつ面白くなってきたのかなという気がしていました。ただ、最後まで際どい局面が続いていたかなと思います」
――勝ちを意識したのはどのあたりですか?
伊藤「▲5六角(113手目)と引いたところで勝ちになっているような気がしました」
――一局の総括をお願いします。
伊藤「飛車を持ち合う展開は珍しいと思いますが、その後のバランスの取り方に課題が残った将棋でした」
――シンガポール対局について。
伊藤「今回もシンガポールの魅力を知ることができましたし、貴重な経験をさせていただいたと思います。対局も普段通りに臨むことができました」
――次局の抱負をお願いします。
伊藤「いいスタートを切ることができたので、次も引き続きしっかり準備をして臨みたいと思います」
【敗れた斎藤八段のインタビュー】
――序盤はいかがでしたか?
斎藤「珍しい将棋を目指した感じで、飛車交換になる華やかな展開で指してみたいと思っていて。少し楽しみが多くなってきたかなという場面を感じていましたが、ひと押しが見つからなかったです」
――中盤は主導権をにぎっている感じはありましたか?
斎藤「なにかよくなる筋があればなという感じではありましたが、選択肢が多いので正確に指すのは難しいんだろうなというか、手応えがあるという感じでもなかったです」
――自信がなくなったのはどのあたりですか?
斎藤「3三に飛車を打っていけそうに見えてしまったのですが、進むとずっと負担で。先手の角2枚のほうが大きかったので、飛車を打たないほうがよかったのか、もともと難しかったのか、ずっとわからなかったなという感じでした」
――一局を振り返っていかがでしたか?
斎藤「後手番ながら楽しみのある将棋にはできていたかなとは思うのですが、中、終盤の力が及ばずといいますか、じわじわ時間を削られてしまって。頑張りが足りなかったという気がします」
――初の海外対局について
斎藤「普段にない貴重な経験というか、前々日に入ってという行程だったので、今までにない体験と、それもありつつ対局は普段通りの環境、むしろ普段以上に充実したといいますか、おもてなしをいただきました。普段以上にいい環境を作っていただきました」
――次局以降の抱負
斎藤「少し空きますので、いろいろと準備をして巻き返せるような展開を目指したいと思っております」
伊藤叡王が開幕局を制す

▲伊藤匠-△斎藤慎戦は125手で伊藤匠叡王が勝ちました。終局時刻は19時36分。消費時間は▲伊藤4時間0分、△斎藤4時間0分。第2局は4月18日(土)に石川県加賀市「アパリゾート佳水郷」で行われます。
急転直下の終盤
激しい寄せ合いになり、伊藤叡王が抜け出したようです。急転直下の終盤になりました。
激戦の終盤戦
1図から▲7七銀△2五銀▲5六桂△同桂▲同角上△6四桂▲3五歩△5六桂▲6四桂△4二玉▲3四香(2図)と進みました。先手はカベ銀を解消しながら後手玉を追い詰めていますが、木村九段は「まだまだ先は長そうです」と話しています。

叡王が盛り返す
18時45分ごろの大盤解説会場
後手の強襲
飛車で角を取る
▲2二歩(1図)から、実戦は△3三桂▲2一歩成△4二銀▲2七角△2五角▲3五飛△2七飛成▲同銀(2図)と進みました。後手はと金を作らせた代償として△3三桂~△4二銀の活用を重く見たようです。

先手の▲2七角は飛車を封じ込める手で、場合によっては▲3九金から取りにいく手を含みにしています。
対して△2五角が後手の狙いだったのかもしれません。▲3五飛に△2七飛成と角を取って▲同銀(2図)に△2四角が検討されていました。いずれ△4六角を見ています。また、▲7五飛には△3七歩成▲同桂△4七角成と攻める狙いですが、斎藤八段は△4四角と打ちました。前述した△4六角の筋がなくなっているため、角の位置の違いがどう出るのでしょうか。








△3七同桂不成以下、▲1六角△4三銀▲3四歩△同銀▲3七銀△2四歩▲5六角△2五銀▲3四歩△4三飛▲3八角右(2図)と進みました。危うい形に見えた伊藤叡王が踏みとどまったようです。





1図は先手が2七にいた銀を3八に引いたところです。△3七歩成を間接的に受けた手で、▲3七同桂▲同桂成に▲3四歩△同飛▲1六角の切り返しを見ています。しかし、斎藤八段は△3七歩成を決行しました。▲3七同桂に△同桂不成(2図)が斎藤八段の読み筋のようです。▲3四歩には△4九桂成と金を取る意味です。一気に激しくなり、糸谷八段は「これはすぐに終わってしまう可能性も」と口にしました。

16時35分、図の局面を迎えました。斎藤八段が△2八飛と打ち込んだところです。▲2七歩には△4七角を見ています。伊藤叡王は図で▲2二歩と打ちました。△2二同銀は▲3二飛成、△2二同金は▲3一飛成があるため、後手は歩を取ることができません。▲2二歩以下、△3三金▲3六飛△2二銀が予想される手順で、先手の指し手が難しいといわれています。