前夜祭(2)
(特別協賛挨拶 藤野英人・レオスキャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長 CEO&CIO)
「レオスキャピタルワークスの藤野と申します。第6期から特別協賛という形でスポンサーの一員になりました。第6期はコロナ真っただ中、第7期、第8期もコロナの影響がありました。第9期はこのように名古屋の前夜祭で、たくさんの方々にお会いすることができて本当に嬉しく思っております。
実際にこのスポンサーをやってみて、将棋もチーム戦だなと思いました。将棋は1対1の対局ですが、様々な方が支えているチーム戦です。もちろんその中で最も重要なサポーターは皆さんだと思います。
私は投資の仕事をしています。『投資』と『投機』はどう違うんだという話がありますが、もともと『投機』は禅の言葉なんですね。お師匠さんが『生きるとはどういうことか』と問うと、弟子が『食うて寝ること』と答える。では『食うて寝ることとは何か』。そういうことを無限にやり取りする禅問答を投機と言います。それがマーケットという意味になったのは、買い手が意見を出して、売り手もいろんな意見を出して、それで値段が決まり、値が上がったり下がったりするところが師匠と弟子のやり取りのようだ、ということだそうです。将棋の対局もある種、禅問答のようなものかなと思います。無限の問いを繰り返して将棋の神様の正しい道を探しているのかなと。将棋、囲碁に何か崇高な感じがあるのは、そういう真理の追求という面があるのかなと思います。
私と藤井聡太叡王がYouTubeで対談したときに『真実を発見したい』ということを話されていました。問いを積み重ねていくことで新たな真実をつかんでいくのかなと思います。第3局はおふたりの問いの連続によって、おふたりが追究する真理を一緒に楽しめたらいいなと思っています。明日はとても楽しみです」
(協賛社挨拶 中西英夫・中部電力株式会社専務執行役員)
「私ども中部電力がこの叡王戦に協賛をさせていただいておりますのは、今回で3期目でございます。この間もますます盛り上がりを見せております将棋界で、特にこのエリア(中部地方)に縁の深い皆さんが多数おられまして、非常に明るい話題をいただいております。
将棋界の盛り上がりに私どもも少しでもあやかろうということで、少しだけちょっとPRをさせていただきます。実は藤井叡王にご出演いただいているCMを少し前に作成をさせていただき、現在放映をしております。ただこの地域に限っておりますのでなかなかご覧いただけないのは誠に申し訳ございませんけれども、ホームページ(下記URL)でも掲載しておりますので、またメイキングなど含めてご覧いただければいただければというふうに思っております。内容は未来を担う子供たちが藤井さんの活躍の姿を見て、一歩を踏み出していただく、そんな思いを込めたものになっております。
一方、伊藤匠七段は名古屋に大変縁が深いということを伺っております。第1局、第2局を1勝ずつで終えての第3局。同世代、さらにこの名古屋にもゆかりの深いお二方の対決ということで、地元にいる我々はもちろんですけれども、全国の将棋ファンの皆様方が注目をする一局ということになるかと思っております。ぜひ明日、おふたりの熱戦を心より期待しております」
【一歩応援 藤井聡太さん×中部電力 特設サイト】
https://www.chuden.co.jp/corporate/ippo_ouen/
前夜祭(1)
18時から前夜祭が行われました。
(名古屋東急ホテル3階で抽選で当選したファンの方を招いて開催された)
(対局者が入場)
(藤井聡太叡王、伊藤匠七段の順に壇上に上がった)
(主催者挨拶 佐竹康峰・公益社団法人日本将棋連盟常務理事)
「はじめまして。日本将棋連盟の佐竹と申します。名古屋市生まれ、名古屋市育ちです。このゴールデンウイークに大勢の方にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。第1局は名古屋市の料亭『か茂免』、第2局は先々週に石川県の加賀市の『アパリゾート佳水郷』で行ってまいりました。折からの能登半島地震で亡くなられた方へ哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に少しでも勇気を与えることができればいうことで、ふたりとも大変すばらしい対局をしてくれたと思っております。そして、第3局、名古屋に帰ってまいりました。
今日は5月1日、暦の上では八十八夜。八十八夜の別れ霜と申しまして、霜が降りない。八十八夜を過ぎますと種を撒いたり、苗を植えるということです。一種のターニングポイントです。こういったターニングポイントに、改めまして1勝1敗で迎えたわけで、明日勝利したほうが王手ということになります。おふたりが繰り広げられますように、ご声援をいただければと思います」
メディア対応
検分のあと、対局者はそれぞれメディア対応を行い、インタビューに応じました。
(藤井聡太叡王)
藤井聡太叡王
「1勝1敗で迎えた第3局ということで、明日は非常に大事な一局になるかなと思いますし、それを名古屋で迎えることができ、多くの方に見ていただけると思うので、精一杯頑張りたいと思っています」
(伊藤匠七段)
伊藤匠七段
「1勝1敗で改めて三番勝負になりましたので、より一局一局が重い展開になるのかなと思います。ひとつ勝てたことで気持ちが楽になった部分もありますし、次局からは、より自然体で臨めるかと思います」
このあと18時から、ホテル内で前夜祭が行われる予定です。前夜祭は事前申し込み制で既に締め切られています。
検分
記念撮影
第9期叡王戦第3局
藤井聡太叡王に伊藤匠七段が挑戦する第9期叡王戦五番勝負第3局は、5月2日(木)に愛知県名古屋市「名古屋東急ホテル」で行われます。
対局は9時開始。昼食休憩は12時から13時。おやつは10時と15時に出されます。持ち時間は各4時間(チェスクロック使用、使いきると1手60秒未満の秒読み)。
本局の先手番は藤井叡王です。立会人は島朗九段、記録係は榊大輝二段(久保利明九段門下)。
現地大盤解説会(事前申し込み制。受付終了)は、解説が佐々木勇気八段、聞き手が野原未蘭女流初段です。
本局の棋譜・コメントは夏芽、ブログは翔が担当します。どうぞよろしくお願いいたします。
【主催:株式会社不二家】
https://www.fujiya-peko.co.jp/eiou/
【特別協賛:ひふみ】
https://hifumi.rheos.jp/
【叡王戦 レオス社員による観戦・舞台裏レポート|ひふみラボ note】
https://labo.rheos.jp/m/m5848f6b94fb4
【協賛:中部電力株式会社】
https://www.chuden.co.jp/
【協賛:株式会社豊田自動織機】
https://www.toyota-shokki.co.jp/
【協賛:豊田通商株式会社】
https://www.toyota-tsusho.com/
【協賛:日本AMD株式会社】
https://www.amd.com/ja.html
【協賛:アパリゾート佳水郷】
https://www.apahotel.com/resort/kasuikyo/
【第3局 棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/9/eiou202405020101.html
【対局場:名古屋東急ホテル】
https://www.tokyuhotels.co.jp/nagoya-h/
感想戦
大盤解説会へ
両対局者は局後インタビューのあとに大盤解説会でファンにあいさつしました。
伊藤真六段 ▲3六馬(59手目)の局面をどういう気持ちで見ていましたか。
伊藤 はっきり自信のない順は見えていなかったのですが、よくわからないまま指していました。
伊藤真六段 藤井叡王は▲3六馬に長考していました。難しい局面でしたか。
藤井 そうですね。後手の攻め方としては持ち駒の銀の打ち方が4七、2七、4五の3カ所あって、△6六飛と切る手、△8七歩成とする手もあります。それらの組み合わせでどれか勝負できる順があればと思っていましたが、考えてみてもそういう順が発見できなかったかなというところでした。
村田 一局を振り返っていかがでしょうか。
伊藤 本局は早い段階から前例の少ない将棋になって、午前中から激しい展開になりました。午後に入ってからは一手一手が選択肢の広い局面が続いて、非常に難しい将棋だったと思います。
藤井 こちらから動いていく将棋でしたが、伊藤七段に手厚く受け止められて、最後はきっちりカウンターを合わされてしまった一局だったと思います。
村田 次局に向けての意気込みをお願いします。
伊藤 次局は2週間ほど空くと思うのですが、しっかりコンディションを整えて臨めたらと思います。
藤井 1勝1敗という形になりましたが気を取り直して、叡王戦は2週間後になるので、その間にしっかり準備をしたいと思います。
村田 お越しくださったみなさまにメッセージをお願いします。
伊藤 なんとかタイに戻すことができたので、前向きに準備していきたいと思います。本日はありがとうございました。
藤井 形勢判断の甘い部分が出たと感じています。そのあたりを修正しつつ第3局を熱戦にできたらと思います。
終局直後
(局後インタビューを受ける伊藤匠七段。タイトル戦での初勝利、13局目での対藤井叡王戦の初勝利となる大きな一勝を挙げた)
―――先手で角換わりを目指す戦いでした。序盤の構想はいかがでしたか。
伊藤 早い段階で前例の少ない形になって、一手一手を手探りで指していました。
―――△3三金型の早繰り銀にということでしょうか。
伊藤 そうですね。
―――前例がない中で、どういうことに気をつけながら指していましたか。
伊藤 ▲1五歩と端歩に2手かけましたが、激しく動いてこられる展開になって、一手一手難しい将棋だと思っていました。
―――38手目△7二歩で昼食休憩になりました。どのような形勢判断でしたか。
伊藤 難しいと思っていました。
―――休憩明けは後手の飛車を追って、途中は金桂交換になりました。
伊藤 互いに選択肢が広いと思っていて、よくわからないまま指していました。
―――形勢の好点や手ごたえはどのあたりで感じましたか。
伊藤 ▲4四歩と打ったあたりはいけそうかなと思っていましたが、最後もはっきりとした順は見えていないまま指していました。
―――勝ちが見えてきたのは本当に終わりのところですか。
伊藤 そうですね。
―――叡王戦1勝ということですが、藤井叡王との対戦でも初勝利でした。その感想についてはいかがですか。
伊藤 そうですね。勝てていなかったので、一つ結果が出たのはよかったです。番勝負は続くので引き続き頑張りたいと思います。
―――5月2日に名古屋で第3局が行われます。抱負をお聞かせください。
伊藤 しっかりと準備して臨めればと思います。
―――10手目に△3三角と上がられて、△3三同金という形を指されました。藤井叡王にとっては初めてと思いますが、その意図をお聞かせいただけたらと思います。
藤井 予定の作戦でしたが、かなり早く想定から外れてしまったので、認識不足だったのかなという気もしています。
―――後手番が課題といわれていましたが、試行錯誤の部分もあるのでしょうか。
藤井 △3三金の形はやったことがなかったので、やってみたらどうかとは思っていました。
―――終局直後ですが、ご自身の中で手ごたえはいかがでしたか。
藤井 昼食休憩明けに▲7七桂と跳ねられた局面がすでに自信のないような気がしました。もう少し工夫が必要だった気がします。
―――午後の戦いは、ご自身ではあまり手ごたえのない展開になってしまったのでしょうか。
藤井 △3三金型の薄さが出る展開なってしまったので、失敗しているかなと思いました。
―――60手目に残り少ない時間で△6六飛と飛車を切りました。そのあたりの成算はどのように感じていましたか。
藤井 本譜は▲2四歩の突き捨てがぴったりのタイミングではっきり負けにしてしまったかと思います。基本的に苦しいと思っていましたが、違う勝負手を掘り下げるべきだったかもしれません。
―――タイトル戦の連勝が16で止まりました。ご自身ではどのように感じていますか。
藤井 仕方ないかなと思っています。
―――今後の抱負についてお願いします。
藤井 今後も名人戦含めて対局が続くことになるので、いいコンディションで対局に臨めるようにしたいと思います。