2024年4月 7日 (日)

対局会場の「か茂免」は、名古屋都心にある1000坪以上の広さを誇る料亭です。創業は1928年で、1948年から現在の白壁町で営業を始めました。建物は京都の紙問屋「中井巳次郎」氏の別邸として1919年に建築され、母屋の庭は「無鄰庵」「對龍山荘」「野村碧雲荘」などを作庭した、近代日本庭園の先駆者とされる作庭家「植治」こと「七代目小川治兵衛」が作庭しました。
叡王戦は第6、8期に続いての開催です。名物はすっぽん料理で、藤井叡王と伊藤七段はともに注文しました。

Dsc_2925(か茂免の入り口)

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Dsc_2535(看板にカモメが描かれている)

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1時間11分の考慮で指された▲2二歩に対し、伊藤七段は47分考えて△2八歩とたたきました。▲同飛△8六歩▲同歩△8五歩▲2一歩成△8六歩▲7九桂△6五銀の進行です。

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2筋の桂取りに構わず継ぎ歩攻めで玉頭を狙い、先手が得した桂を自陣に受けても、銀をぶつけて攻めの継続をはかっています。▲6五同銀は△同桂で、△6六角と△6九角から△8七銀が厳しいです。

先手は銀交換に応じず、▲5五銀とかわすのが最善のようです。△7六銀で玉頭がかなり怖いものの、▲6四歩で大きな拠点ができます。以下△5三金に▲7七歩と受ければ、後手も駒を渡すと反動がきついので攻めにくいです。

Dsc_2967(対局再開前の伊藤七段。積極的に藤井玉に襲いかかっている)

15時、午後のおやつが出されました。
藤井叡王は「ペコちゃんのほっぺ(ミルキークリーム)」。ハチミツ入りのふわふわスポンジに、練乳を使ったミルキークリームをたっぷり詰めました。飲み物は「アップルジュース」。
伊藤七段は「プレミアム濃い抹茶のケーキ(鹿児島県産一番茶抹茶使用)」。午前中に藤井叡王も頼んだケーキです。飲み物は「アイスティー」。

20240407pmoyatu_1(藤井叡王のおやつ)

20240407pmoyatu_2(伊藤七段のおやつ)

14時より、現地大盤解説会(事前申し込み制)が「名古屋観光ホテル」で開始されました。開始時点で約300人が着席していたそうです。澤田七段の軽妙なトークに、冒頭から笑い声が止まりませんでした。

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Dsc_3030(解説の澤田七段)

Dsc_3038(聞き手の中澤女流二段)

2024040771藤井叡王は約1時間10分考えて、▲2二歩と攻めました。伊藤七段の誘いのスキに、慎重に読みを入れた踏み込んだ格好です。△3三桂なら▲2一歩成△2八歩▲同飛△3九角▲3八飛△4八角成▲同飛△2一飛▲2四歩でどうか。△同飛は▲2五歩△同桂▲2八飛と切り返します。

Dsc_2970(伊藤七段は再開の15分ほど前に戻って考えていた)

Dsc_2977(藤井叡王は再開直前に入室した)

Dsc_2990(再開後の一手は△5四銀)

Dsc_3004(藤井叡王の眼光が鋭くなる)

Dsc_3015(対局室は冷房がつけられて、やや寒かった)

両対局者が昼食に頼んだのは、「名物ぽんきし膳―きしめんすっぽんスープ仕立て―」。名古屋の名物「きしめん」と、「か茂免」の「スッポン料理」を一度に味わえる逸品です。スッポンは上品な味わいとコラーゲンが特徴で、「ぽんきし」には湯葉と壬生菜(みぶな)、九条ネギが乗っています。ほかに「近大マグロの太巻き」、「もち豚の柔らか角煮」もついています。

20240407chuushoku_2(藤井叡王の昼食)

20240407chuushoku_1(伊藤七段の昼食)

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20240407chuushoku_4(水菓子はフルーツ盛り合わせ、わらび餅)

202404076912時、図の局面で伊藤七段が考えて、昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は☗藤井1時間17分、☖伊藤1時間41分。昼食注文は、ともに「名物ぽんきし膳―きしめんすっぽんスープ仕立て―」です。飲み物は藤井叡王が「冷たい緑茶」、伊藤七段が「ゆず茶」。対局は13時に再開されます。