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2021年10月

2021年10月 4日 (月)

厳しい飛車寄り

Shinjin202110040101_73△7九角と開き直られた手に対し、伊藤匠四段は▲7四飛と寄りました。▲8四角△6一玉▲7二飛成以下の詰めろで、▲6三桂成が王手角取りにもなる手です。後手は非常に受けにくくなりました。

Itou07(伊藤匠四段は着々と歩みを進める)

(飛龍)

41年前の新人王

本局の立会人の森信七段は新人王戦優勝経験者。1980年の第11期のことで、決勝三番勝負では島朗四段(段位は当時)を2勝0敗のストレートで破っています。

Mori1

「(当時のことは)よく覚えていますよ。でも、もう40年も前なんですね、驚きました」(森信七段)

(飛龍)

伊藤四段、巧みに攻める

Shinjin202110040101_51上図は△5四角に▲5六歩と突いたところ。次に▲5五歩と角を取りにいく狙いがありますが、玉頭を空けるだけに大胆な手です。上図からは△8六歩▲9二角△8二飛▲7四歩△9二飛▲7三歩成△同玉▲5五歩と進みました。下図は▲桂△角の駒割りですが、先手は角を取り返せる形です。玉形も乱し、先手ペースになってきました。

Shinjin202110040101_59

Koga06(古賀四段は正念場を迎えた)

(飛龍)

対局者のおやつ

14時30分頃、両者それぞれの控室におやつが運ばれました。和栗のミルフィーユで、飲み物は伊藤匠四段が冷たい緑茶、古賀四段はアイスストレートティーです。

Oyatsu1 (こちらは冷たい緑茶)

Oyatsu3(似ているようでもこちらはアイスストレートティー)

Oyatsu5 (和栗のミルフィーユ)

Oyatsu7(「おいしい」、「好みの味」と森信七段)

(飛龍)

ゾロ目生まれの両者

伊藤匠四段は10月10日生まれ(2002年)、古賀四段は1月1日生まれ(2001年)と、誕生日がゾロ目同士の決勝三番勝負になりました。伊藤匠四段と同日生まれの棋士には永世名人有資格者の中では最年少となる森内俊之九段(1970年)がいます。一方、古賀四段と同じ誕生日の現役棋士はいませんが、引退棋士の中には現役棋士期間史上最長、史上最高齢現役棋士などの記録を打ち立てたレジェンド、加藤一二三九段(1940年)がいます。

また、伊藤匠四段は現役最年少、古賀四段は現役5番目の若さになります。すなわち、21世紀生まれの棋士はいまのところ以下の5人しかいません。

21c(飛龍)

中盤の難所

Shinjin202110040101_43昼食休憩前、伊藤匠四段は端に手をつけました。△9五同歩▲9三歩(昼食休憩)△同香▲7七桂△4四歩▲7五歩と進んでいます。森信七段は△7五同歩なら▲9二角△8四飛▲5六角成△7六歩▲6六馬(変化図)で先手よしとの見解。

Shinjin202110040101_4920211004_55△7五同歩でなく△3六歩のように反発してどうなるでしょうか。

Itou06(伊藤匠四段は先手番らしく積極的に動いていく)

(飛龍)

20歳以下同士の決勝三番勝負

新人王戦は第52期を数えるなか、出場資格が変更されたこともありました。年齢制限に上限はあるものの下限はなく、決勝三番勝負進出者が第1局時点(段位、年齢は当時)で20歳以下同士だったのは今期が4例目となります(太字は優勝者)。

第19期 羽生善治五段(18歳)-森内俊之四段(18歳)
第39期 佐藤天彦四段(20歳)-星野良生三段(20歳)
第45期 佐々木勇気五段(20歳)-阿部光瑠四段(19歳)
第52期 伊藤匠四段(18歳)-古賀悠聖四段(20歳)

また、17歳以下で決勝三番勝負第1局に臨んだのは、第18期の森内俊之四段(17歳)、第49期の藤井聡太七段(16歳)しかいません。なお、四段昇段が同期の2人による決勝三番勝負は第25期の丸山忠久五段-郷田真隆五段戦以来、2組目になります。

(飛龍)

対局再開

Saikai01 (伊藤匠四段は定刻前に戻ってきていた)

Saikai03

12時40分の定刻に森信七段が対局再開を告げましたが、手番の古賀四段は席に戻りませんでした。その場合、定刻以降は持ち時間が削られていきます。

Saikai04 (12時42分、古賀四段が戻る。「失礼しました」と断って着座)

Saikai06 (やがて上体を揺らして考える)

Saikai07(しばらくは着手なし。午後の戦いが始まる)

(飛龍)

昼食休憩中の対局室

Hiru06(昼食休憩時の盤面)

Ue13 (昼食休憩時の対局室)

Ue15 (新人王戦は50年以上の歴史を刻む)

Ue16 (床の間には永世名人の書が並ぶ)

Ue17(伊藤匠四段は中原十六世名人の甥弟子、古賀四段は大山十五世名人の孫弟子)

(飛龍)

昼食休憩

Shinjin202110040101_4512時、昼食休憩に入りました。この局面で古賀四段が使った時間は26分。消費時間は▲伊藤33分、△古賀1時間6分。昼食の注文は伊藤匠四段が小雀弥(こがらや)のぶっかけうどん定食(肉飯)、古賀四段がイレブンのサービスランチでハンバーグとエビフライの盛り合わせ。対局は13時から再開されます。

Hiru04

(伊藤匠四段の昼食)

Hiru01(古賀四段の昼食)

(飛龍)