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2021年10月

2021年10月11日 (月)

囲み取材

感想戦後に囲み取材が行われました。

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――局後にホッとしたのが正直なところとおっしゃっていました。喜びよりも安堵なのか、どのような思いでしょうか。
伊藤 喜びもありますが、棋士になって結果を残せていなかったので一つ結果を出せてホッとしています。

――昨日、19歳の誕生日を迎えられました。
伊藤 棋士になって1年たったところで一つ結果を残せたのはよかったと思います。

――今年、ABEMAトーナメントの出演でファンも増え、活躍をさらにされている印象があります。
藤井三冠に指名されて優勝したことはご自身にとって、どのような経験でしたか。
伊藤 藤井さんとお話しする経験がほとんどなかったので、一緒に戦わせていただいて非常に勉強になる時間でした。将棋を見ていて、読み筋を聞かせていただいて非常に勉強になりました。将棋以外の話はあまりしなかったです。

――デビューの1、2ヵ月、なかなか星が伸びませんでした。どのようなお気持ちだったでしょうか。
伊藤 デビュー戦から2連敗して、なかなか勝ち星が出なかった時期は焦りはありましたね。

――快進撃を続けていますが、何か気持ちや技術的な変化として、どのように上向かせたのでしょうか。
伊藤 ちょっとわからないというのが正直なところ。たまたま結果がついてきているのだと思います。

――棋風が三段のころと変わったように見えますが。
伊藤 自分にはわからないです。

――新人王戦優勝で手応えはありますか。
伊藤 一つ棋戦で優勝できたことは、たしかにこれから先のモチベーションも上がると思います。

――いろんな棋戦で活躍できればということでしたが、トップ棋士と対戦したいとか、誰々と対戦したいとかだとありますか。
伊藤 タイトル戦の本戦入りは目標にしていきたいですね。

――ほかの人の将棋で、刺激になった、ここに注目しているとかありますか。
伊藤 やはり同い年の藤井さんの活躍はいつも刺激になっています。
タイトル戦で戦いたいという気持ちはありますが、実力差があるので棋譜を見て勉強させていただいている状況。

――同い年で藤井三冠がいます。どのように感じていますか。
伊藤 自分も少しでも追いつければと思っています。

――藤井三冠と同い年ということで、常に質問されたりして大変と思うこともありますが、一方で羽生世代は周りがいたから自分も活躍できたとも言います。伊藤さんはどうでしょうか。
伊藤 藤井さんが活躍されているので、自分ももっと勉強しなければならないという気持ちになります。

――最近は研究は人と会って指すのが多いのか、一人で研究するのが多いのか、どちらでしょうか。
伊藤 対面で指すのを多くやっているほうだと思います。自宅で集中し続けるのも難しいと思っています。

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――昨日は誕生日でした。お祝いや激励はありましたか。
伊藤 ケーキを買ってくれて、夜はそれを食べました。

――古賀四段は四段同期です。また、三番勝負でした。特別な気持ちはありましたか。
伊藤 そうですね。負けると、先を行かれる格好になるので、負けたくない気持ちは強かったですね。

――以前、中日ドラゴンズの試合を全試合見ていると聞いて、エッとなったのですが、その後はどうなのでしょうか。
伊藤 最近はほとんど見ていないのが実情です。将棋に集中したいということにしていただければ。

――ABEMAトーナメントでファンになった方も多かったと思います。声援が励みになることもあったのでしょうか。
伊藤 ネット上でも反響をいただいたと聞いて、とても励みになりました。

――藤井三冠にABEMAトーナメントでの指名を受けてから公式戦の成績が上がったように思います。どこか変化させた棋戦なのでしょうか。
伊藤 注目される舞台にということで、恥ずかしくない将棋を指さないようにという気持ちはあったかもしれません。

――今回の新人王戦を振り返っていかがでしたか。
伊藤 新人王戦は途中、準々決勝の古森五段戦はかなり苦しかったです。ここまで勝ち上がってこられたのは運がよかったと思います。
新人王になったからには、ほかの棋戦も活躍していかねばという気持ちはあります。

――師匠の宮田八段は新人王戦では準優勝でした。
伊藤 それは知りませんでした。こんなこというと怒られそうですが、師匠が取れなかった新人王を取れてうれしいです。

――本局は矢倉でした。予想していましたか。
伊藤 はい。本命でした。矢倉に対しては、急戦調の将棋を多く指しているので今日もいつも通りに指そうと思いました。

――2局とも悪いところはあまりなかったといえると思います。その中でも反省点はありますか。
伊藤 本局は序盤で苦労したので、その精度を上げていきたいと思います。

Dsc_4796 (取材に答える伊藤四段)

更新は以上となります。来期も若者の戦いにご注目ください。
ご観戦ありがとうございました。
(銀杏)

感想戦

優勝を決めた伊藤四段は現在の現役最年少棋士です。現役最年少棋士(決勝三番勝負出場決定時)の新人王戦優勝は少なく、調べたところ、青野照市九段、森内俊之九段、糸谷哲郎八段、阿部光瑠六段、増田康宏六段、藤井聡太三冠に続く記録となります。

Dsc_4751 (伊藤四段の師匠の宮田利男八段は新人王戦の最高成績が準優勝だった。宮田一門で初めての新人王戦優勝は恩返しになるだろう)

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Dsc_4773 (古賀四段は佐藤天彦九段に続いての中田功八段門下の新人王戦優勝はならなかった)

Dsc_4777(古賀四段にとって新人王戦の活躍はフリークラスからの昇級にも大きく寄与した。来年の活躍にも注目したい)

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(銀杏)

終局直後

Dsc_4710(インタビューに答える伊藤四段)

【伊藤四段の談話】

――2連勝で決めた感想について
伊藤 いまはホッとしています。

――一局を振り返って
伊藤 序盤はぎこちない陣形になってしまって、あまり面白くないのかなと思っていたんですけど、△1四歩(48手目)~△1三角でその形が解消できたので、少し盛り返したのかなと思っていました。

――長考した△4二飛(40手目)の辺りは
伊藤 △4二飛は予定変更だったので、そこはあまり自信を持っていなかったんですけど、相手も考えられていたので、結構大変な形勢なのかなと思っていました。

――リードを広げたあと、どの辺りで手応えを感じたか
伊藤 △5八同飛成(100手目)と切って△7八角成と成って……。最後ですけど、1手、勝っているのかなと思いました。

――三番勝負全体を通じて
伊藤 2局通してそんなに大きな悪手はなく指せたのかなと思っています。

――新人王を獲得したことについて
伊藤 やはりホッとしているというのが正直なところです。

――次の目標は
伊藤 一つ結果を残すことができたので、具体的なものはないんですが、いろんな棋戦で活躍できればと思います。

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Dsc_4737 (古賀四段は残念ながら三番勝負を2連敗で敗退)

【古賀四段の談話】

――長考して▲2六飛(41手目)と浮いたところは
古賀 △4二飛と回られるまでは、こちらもまずまずの序盤かなと思っていたんですけど、どう対応すればいいのか分からなくて。本譜は妥協した対応になってしまったんですけど、もう少しうまい対応をしないといけなかったのかなと思います。

――三番勝負全体を振り返って
古賀 2局とも勝負どころで間違えてしまったのかなと思うので、そこは残念です。こちらがあまり見えていない手を多く指されて、かなり力の差を感じました。

――三番勝負で得らえたものは
古賀 なかなか皆さんに注目してもらうことは少ないので、決勝までこられて、たくさんの人に応援してもらって、貴重な経験ができたと思っています。

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(写真=銀杏、書き起こし=玉響)

伊藤四段が2連勝で優勝を決める

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第52期新人王戦決勝三番勝負第2局▲古賀悠聖四段-△伊藤匠四段戦は17時17分に104手で伊藤四段の勝ちとなりました。消費時間は▲古賀2時間59分、△伊藤2時間36分。伊藤四段が2連勝で三番勝負を制し、公式棋戦初優勝を果たしました。
(銀杏)

指し手が早くなる

20211011i終盤に入り、伊藤四段の指し手が早くなってきました。戦況は伊藤四段が勝利に近づいています。(銀杏)

Dsc_4667(検討の様子)

20211011_monitor1 (モニターで見る対局者の様子)

冷静な一着

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図は76手目△3一金の局面。控室でも示されていて、冷静な一手とみられています。古賀四段は局面が苦しいうえに、残り時間も10分を切っているのがつらいところ。伊藤四段は残り40分です。
古賀四段は▲6三歩としましたが△6一金! が用意の返し技。▲同となら△4一金と角を取ることができます。古賀四段は△6一金に▲2三角成△同玉▲6一とで歩切れを解消して実戦的に進めましたが、伊藤四段が差を広げている状勢といえます。
(銀杏)

Dsc_4315_2 (対局前、王将を据える伊藤四段)

古賀四段の頑張り

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図は61手目▲4七歩と打った局面。残り時間は▲古賀25分、△伊藤1時間4分。
事前に▲5五歩△同銀と突き捨てを入れたことで、△4七同飛成に▲3六角の竜金両取りを見せています。よって、伊藤四段は△4二飛と引き揚げました。
伊藤四段に大駒をさばかれた古賀四段ですが、手筋を駆使して被害が大きくならないように頑張っています。
(銀杏)

Dsc_4560_3(手段を尽くして勝負に出る古賀四段)

後手の大駒活用のめどが立つ

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図は48手目△1四歩まで。この手は△1三角の活用を見ています。少し前の局面と比べて、後手の大駒が使いやすくなっています。また、4筋の歩を交換したことで▲5五歩△同銀▲5六歩で銀を捕獲する筋も消しているのも大きいです。
一方、先手陣はまだ玉が6九におり、舵取りが大変そうです。ここ数手のやり取りは後手が得したようで、後手十分の意見が出ています。
(銀杏)

Dsc_4561 (伊藤四段がよくなったとみられている)

長考相次ぐ

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図は40手目△4二飛の局面。伊藤四段の△4二飛は42分の長考。対して、古賀四段は1時間以上考えて、残り1時間を切りました。
先手が指してみたいのは▲5五歩。△4三銀なら先手の気分はいいですが、△5五同銀の強手があります。以下▲5六歩に△4五歩▲5五歩△4六歩と進み、後手は銀損の代償に4筋でと金を作れます。
「▲5五歩を突きたいけど、許してくれないとみているんですね」と鈴木九段。
(銀杏)

Dsc_4666 (鈴木九段も継ぎ盤に加わる)

2021年10月11日は平日

今日、10月11日は10月の第2月曜日。例年なら「スポーツの日」で祝日になりますが、東京オリンピック開催により7月23日に変更されました。よって、今日は普通の平日になります。
【国民の祝日について - 内閣府】
https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html

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(オリンピック期間中の国立競技場(2021年8月5日撮影))

Dsc_4656 (国立競技場の下にある外苑西通りの観音橋交差点。このあたりは1964年のオリンピックで開発が進んだ地域。以前は新宿御苑から渋谷に向かって渋谷川が流れていたという。交差点名は外苑西通りが暗渠であることを示している)


(銀杏)