第52期決勝三番勝負第1局 Feed

2021年10月 4日 (月)

感想戦

Itou12(先手番で勝利を収めた伊藤匠四段)

Koga11 (古賀四段は後手番ブレイクとはならなかった)

Ue22

Ue23

Ue24

Ue25

以上で本日の中継を終了いたします。ご観戦いただきましてありがとうございました。東京・将棋会館で行われる第2局以降もお楽しみに。

(飛龍)

終局直後

Itou08 (伊藤匠四段は優勝まであと1勝と迫った)

Koga07 (敗れた古賀四段は力を出せなかった)

Ue18(終局直後の両者)

Ue20(すぐにインタビューが行われた)

――いまの気持ちは?

伊藤 そうですね。1つ勝ててホッとしているところです。

――本局を振り返って?

伊藤 ▲9五歩(43手目)△同歩▲9三歩から思いきって仕掛けていったのですが、その成否がどうだったか、分かっていませんでした。▲5六歩(51手目)と突いたところで後手の対応が難しい気がしました。

――どこまでが研究範囲?

伊藤 結構、類型が多い将棋なので、まったく同じ形を調べていたわけではありませんでしたが、本譜の仕掛けも筋としてはあるのかなと思っていました。

――手応えを覚えたのは?

伊藤 (63手目▲8七同金で)銀桂交換になったのですが、後手陣がバラバラなので、そこは指しやすくなったかと思いました。Itou10(インタビューに答える伊藤匠四段)

――本局を振り返って?

古賀 一応、予定の作戦ではあったのですが、形がいろいろ細かい違いがあるので、まったく同じ形を研究していたわけではありません。本譜の端を攻められる筋も有力というのは知っていました。対応を間違えると一気にボロ負けになる将棋ですが、実際にこの形でどのように対応するのが正しいのかが分かりませんでしたね。

――対応の難しさが持ち時間の差に現れた?

古賀 休憩のあたりでいろいろ考えたのですが、どれがよいのか分からなくて時間を多く使う展開になってしまいました。

――後悔するような手は?

古賀 △5四角(50手目)で△7五同歩と自然に対応するのもあるかと思いました。それで何をやられるか分かっていませんでしたが、怖かったので。△5四角に▲5六歩で指し手に困った感じですね。

Koga09(同じく古賀四段)

――第2局に向けて一言ずつ。

伊藤 次は先後も決まっていますので、より準備して臨めればと思います。

古賀 1週間しかありませんが、内容があまりよくなかったので、しっかり反省して準備して第2局に臨みたいと思います。

(飛龍)

伊藤四段が先勝

20211004a77手で、伊藤四段が古賀四段をくだしました。終局時刻は16時15分。消費時間は▲伊藤2時間6分、△古賀2時間53分。勝った伊藤四段は、優勝まであと1勝となりました。決勝三番勝負第2局は、来週11日(月)に東京・将棋会館で行われます。

(睡蓮)

厳しい飛車寄り

Shinjin202110040101_73△7九角と開き直られた手に対し、伊藤匠四段は▲7四飛と寄りました。▲8四角△6一玉▲7二飛成以下の詰めろで、▲6三桂成が王手角取りにもなる手です。後手は非常に受けにくくなりました。

Itou07(伊藤匠四段は着々と歩みを進める)

(飛龍)

41年前の新人王

本局の立会人の森信七段は新人王戦優勝経験者。1980年の第11期のことで、決勝三番勝負では島朗四段(段位は当時)を2勝0敗のストレートで破っています。

Mori1

「(当時のことは)よく覚えていますよ。でも、もう40年も前なんですね、驚きました」(森信七段)

(飛龍)

伊藤四段、巧みに攻める

Shinjin202110040101_51上図は△5四角に▲5六歩と突いたところ。次に▲5五歩と角を取りにいく狙いがありますが、玉頭を空けるだけに大胆な手です。上図からは△8六歩▲9二角△8二飛▲7四歩△9二飛▲7三歩成△同玉▲5五歩と進みました。下図は▲桂△角の駒割りですが、先手は角を取り返せる形です。玉形も乱し、先手ペースになってきました。

Shinjin202110040101_59

Koga06(古賀四段は正念場を迎えた)

(飛龍)

対局者のおやつ

14時30分頃、両者それぞれの控室におやつが運ばれました。和栗のミルフィーユで、飲み物は伊藤匠四段が冷たい緑茶、古賀四段はアイスストレートティーです。

Oyatsu1 (こちらは冷たい緑茶)

Oyatsu3(似ているようでもこちらはアイスストレートティー)

Oyatsu5 (和栗のミルフィーユ)

Oyatsu7(「おいしい」、「好みの味」と森信七段)

(飛龍)

ゾロ目生まれの両者

伊藤匠四段は10月10日生まれ(2002年)、古賀四段は1月1日生まれ(2001年)と、誕生日がゾロ目同士の決勝三番勝負になりました。伊藤匠四段と同日生まれの棋士には永世名人有資格者の中では最年少となる森内俊之九段(1970年)がいます。一方、古賀四段と同じ誕生日の現役棋士はいませんが、引退棋士の中には現役棋士期間史上最長、史上最高齢現役棋士などの記録を打ち立てたレジェンド、加藤一二三九段(1940年)がいます。

また、伊藤匠四段は現役最年少、古賀四段は現役5番目の若さになります。すなわち、21世紀生まれの棋士はいまのところ以下の5人しかいません。

21c(飛龍)

中盤の難所

Shinjin202110040101_43昼食休憩前、伊藤匠四段は端に手をつけました。△9五同歩▲9三歩(昼食休憩)△同香▲7七桂△4四歩▲7五歩と進んでいます。森信七段は△7五同歩なら▲9二角△8四飛▲5六角成△7六歩▲6六馬(変化図)で先手よしとの見解。

Shinjin202110040101_4920211004_55△7五同歩でなく△3六歩のように反発してどうなるでしょうか。

Itou06(伊藤匠四段は先手番らしく積極的に動いていく)

(飛龍)

20歳以下同士の決勝三番勝負

新人王戦は第52期を数えるなか、出場資格が変更されたこともありました。年齢制限に上限はあるものの下限はなく、決勝三番勝負進出者が第1局時点(段位、年齢は当時)で20歳以下同士だったのは今期が4例目となります(太字は優勝者)。

第19期 羽生善治五段(18歳)-森内俊之四段(18歳)
第39期 佐藤天彦四段(20歳)-星野良生三段(20歳)
第45期 佐々木勇気五段(20歳)-阿部光瑠四段(19歳)
第52期 伊藤匠四段(18歳)-古賀悠聖四段(20歳)

また、17歳以下で決勝三番勝負第1局に臨んだのは、第18期の森内俊之四段(17歳)、第49期の藤井聡太七段(16歳)しかいません。なお、四段昇段が同期の2人による決勝三番勝負は第25期の丸山忠久五段-郷田真隆五段戦以来、2組目になります。

(飛龍)