■増田康宏四段
――本局を振り返っていかがでしたか。
増田 早めに動いていったのがうまくいった感じでした。終盤も押し切れたと思います。
――どのあたりで手応えを感じましたか。
増田 ▲6二成桂(87手目)で上部が広くなったので、そこは手応えを感じました。
――途中で長考されていました。
増田 △1四角(58手目)が想定外で、どう対応すればいいか考えていました。ただ▲1六歩と突いて、先手がいいんじゃないかとは思っていました。
――その後、一段落した▲7八玉(73手目)のあたりは。
増田 速い攻めがないので、やれるかなと思っていました。
――これで先勝です。
増田 第1局は重要な勝負と思っていました。第2局も気を引き締めて頑張りたいと思います。
■佐々木大地四段
――今日の一局はいかがでしたか。
佐々木 序盤からつまらない展開にしてしまいました。構想がよくなかったかもしれないです。
――雁木模様の展開は考えられていたのでしょうか。
佐々木 こちらがどういう対応をするかということで、こういった作戦を選んだのですが、苦労が多かったので、うまくいかなかったですね。
――チャンスと思えるところは。
佐々木 ▲1六歩(59手目)に△8七飛成▲同金としたとき、そこで△8八歩を利かしたほうがよかったかもしれません。差が詰まった局面はそれくらいだと思います。
――第2局に向けて。
佐々木 次は先手番なので、主導権を握れるように準備していきたいです。
(文)
105手まで増田四段が勝ちました。終局時刻は16時58分。消費時間は▲増田2時間42分、△佐々木2時間53分。三番勝負第1局は増田四段が制しました。
(八雲)
増田四段が歩を軽快に突き捨てて仕掛け、攻防の自陣角を放ちました。対する佐々木四段は△1四角(58手目)の端角で対抗します。ここで▲4四桂は△同銀▲3二角成△8九飛成で後手ペース。そこで先手は▲1六歩と角に圧力をかけましたが、ここから佐々木四段の猛攻が始まりました。実戦は▲1六歩以下、△8七飛成▲同金△3六歩▲1五歩△3五角▲1六飛△3七歩成▲1四歩△4八と▲同金△5六桂(70手目)と進行。
手順中△3五角が好点の角で、これで△5六桂が詰めろになりました。後手が激しく攻め立てていますが、先手も飛車と角を手にして楽しみがあります。控室の中川八段は「先手が指せると思うけど」と話しています。
今期の増田四段と佐々木四段は花村一門の系統。過去には同門で決勝が争われたことも何度かあります。第2期の森安秀光五段-若松政和四段戦(肩書は当時)は、(故)藤内金吾八段門下の同門対決でした。
増田四段にとっては新人王戦2連覇の懸かる三番勝負ですが、過去に新人王戦で2連覇を果たしたのは丸山忠久九段と藤井猛九段の2人しかいません。第27期決勝三番勝負は丸山忠久六段と藤井猛六段(肩書は当時)の顔合わせになり、3連覇を目指す丸山六段を下して藤井六段が新人王に輝きました。藤井六段は翌年も優勝して2連覇を達成しています。
(文)