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本棋戦の主催である「しんぶん赤旗」のホームページでは、今回の新人王戦に関する特集記事を読むことができる。ここではその中から、両対局者のコメントに触れてみよう。
【加來博洋赤旗名人の話】
「新人王戦は、これまですべての対局が苦戦の上での逆転でした。準決勝も内容が良かったということはなく、決勝まで残れたことを、とても幸運だと思っています。阿部四段の将棋は攻守のバランスが良く、細かな所へ視点が行き届いたきめが細かい将棋だと感じています。3番勝負には落ち着いて臨み、とにかく目の前の1局1局に集中したいと思います。今はそれだけです」
【阿部健治郎四段の話】
「今期勝率トップには自分でも驚いています。今も5連勝中でコンディションはベストの状態です。加來さんには奨励会の三段リーグで3回あたって3回とも負けました。リーグを突破できなかったのが不思議なくらい強かった。新人王戦のたたかいぶりを見ても神がかり的な勝利をあげています。私にとっても今回は大きなチャンス。そうめったにめぐってきませんから、それをつかみたい。3連敗したのは過去のこと。それにとらわれず全力を出し切りたい」
このほか、特集記事にはこれまでの新人王戦の経緯と、観戦記者の蝶谷初男さんによる見どころも紹介されている。一読すれば、新人王戦をより楽しめること間違いなしだ。
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定刻になり、互いに一礼。先手の阿部四段はひと呼吸おいてから▲7六歩を着手。加來アマは△3四歩と応じ、▲2六歩△3三角(図)と進んだ。
この△3三角は後手番の有力戦法で、居飛車・振り飛車の両方に変化できる幅の広い指し方。定跡とは離れた戦いになりやすく、力戦形を得意とする加來アマが用意してきた作戦だろう。佐藤五段は「プロでは一時期流行して下火になって、また最近復活の兆しの見える戦法です。後手は居飛車、振り飛車両方の可能性があります。先手の指し手によっても展開が変わってきます」と解説している。
図からは▲3三同角成△同桂と進む例が圧倒的に多い。序盤早々桂を跳ねる形になるのがこの戦型のポイント。桂跳ねを手得として生かしたい後手と、悪形としてとがめたい先手。両者の思惑が交錯する。加來アマの工夫を凝らした作戦と、阿部四段の対応に注目だ。
(文)