2026年4月 3日 (金)

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伊藤叡王の先手番で相掛かりに進みました。伊藤叡王の得意戦法ですし、居飛車本格派の斎藤八段も迎え撃つと前夜祭で予想されていました。
後手番の斎藤八段は▲9六歩に対して△9四歩(1図)と受けました。含みの多い手で、右桂の退路を作りながら先手からの▲2四歩を牽制しています。

20260403b2図までは前例がありました。2022年度の第81期順位戦C級1組の▲黒田尭之五段-△三枚堂達也七段戦(先手勝ち)です。三枚堂七段は△8四銀と上がって飛車交換を拒否しましたが、斎藤八段は△5二玉と上がったのです。以下、実戦は▲8二飛成△同銀▲7六歩△3六歩▲1六歩△7二金と進んでいます。前例のない進行で、新定跡が誕生するかもしれません。

Dsc_3512(飛車交換を避けない新研究を披露した斎藤八段)

午前のおやつは伊藤叡王が桜バウムクーヘン、マンゴージュース、斎藤八段がミルキーバウムクーヘン、紅茶(ホット)です。バームクーヘンは不二家の人気スイーツのひとつです。桜バウムは季節限定商品で、八重桜の品種「関山」のエキスを使用しています。

Dsc_3736(伊藤叡王が注文したおやつ)

Dsc_3743(季節限定商品の桜バウムクーヘン)

Dsc_3748(斎藤八段が注文したおやつ)

Dsc_3761(定番人気商品のミルキーバウムクーヘン)

Dsc_3445(9時45分、伊藤叡王が先に入室した)

Dsc_3466(斎藤八段の入室は9時48分。下座に着く)

Dsc_3582(駒を並べる両対局者)

Dsc_3550_2(伊藤叡王)

Dsc_3528_2(斎藤八段)

Dsc_3609(振り駒は河村宣行・株式会社不二家代表取締役社長が務めた)

Dsc_3611(歩が3枚出て、伊藤叡王の先手番に決まった)

Dsc_3674(10時、対局開始。伊藤叡王の初手は▲2六歩だった)

おはようございます。いよいよ第1局の朝を迎えました。シンガポールは晴れ。今日も朝から蒸し暑いです。
本日のスケジュールは以下の通りです。時差はマイナス1時間(現地10時は日本時間の11時)で、本ブログでは現地時間での記載になります。

10:00 対局開始
10:30 午前のおやつ
12:30 昼食休憩
13:30 対局再開
15:00 午後のおやつ
??:?? 終局

Dsc_3431_2(好天に恵まれたシンガポールの朝)

両対局者の退出後にトークショーが行われました。戦型予想は伊藤叡王が先手なら相掛かり、斎藤八段が先手なら矢倉と角換わりという声が聞かれました。

Dsc_3092(シンガポール対局の参加棋士・女流棋士が登壇する)

Dsc_3155(野原女流二段が司会進行を務める)

Dsc_3258(お楽しみ抽選会の様子。木村九段はシンガポールと揮毫した)

Dsc_3347(4月1日付けで女流三段に昇段した北尾女流三段)

Dsc_3405(叡王戦ポスターの抽選)

Dsc_3426(中締めのあいさつは佐竹康峰・日本将棋連盟常務理事が務めた)

Dsc_2948_3 (伊藤叡王)

「皆様、こんばんは。本日は第11期叡王戦第1局、シンガポール対局の前夜祭にお越しいただき誠にありがとうございます。まずはじめに、叡王戦を主催していただいております不二家様、特別協賛をいただいておりますレオスキャピタルワークス様、ご協賛いただいております、中部電力様、豊田自動織機様、豊田通商様、アパグループ様に、厚く御礼申し上げます。また第1局にご協賛を頂きましたANA様、そして、この海外対局の実現に向けてご尽力いただきました多くの皆様に、心より感謝申し上げたいと思います。
シンガポールでの対局は、私にとってはおよそ半年ぶりになります。半年前に対局で訪れた際は、これが最初で最後のシンガポール対局になるのだろうなと思っておりましたが、まさか半年後にまた戻ってこられるとは思っておらず、とてもうれしく感じております。前回はセントーサ島での対局でしたが、今回は日本人会館での開催となり、対局場所も変わり、また新鮮な気持ちで臨むことができそうです。昨日の観光でも、以前訪れた時とは違った場所を巡ることができまして、シンガポールの新たな魅力に触れることができたと感じております。
さて、今期の叡王戦五番勝負は、昨年に続いて、斎藤慎太郎八段との対戦となりました。斎藤八段の最近の将棋を拝見しても、非常に充実されている印象で、今年も大変なシリーズになりそうだなと感じております。昨年の五番勝負は、内容の面では課題も残りましたが、自分なりに全力を尽くして、充実感の残るようなシリーズにすることができたのではないかと思っております。今年はさらに進化した内容の将棋を指して、より充実した番勝負にすることができればと思います。明日の対局もぜひ最後までご観戦いただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします」

Dsc_2982(斎藤八段)

「皆様こんばんは。第11期叡王戦五番勝負の挑戦者になりました斎藤慎太郎です。本日は前夜祭を開催いただきましてありがとうございます。はじめに叡王戦を主催いただいております不二家様、特別協賛をいただいておりますひふみのレオス・キャピタルワークス様、ご協賛いただいております豊田通商様、豊田自動織機様、中部電力様、アパグループ様。叡王戦の開催に携わっていただいている全ての皆様に御礼申し上げます。
私はシンガポールを訪れるのが初めてです。また海外対局も初めてで、楽しみと緊張感があります。今回はシンガポール日本人会の皆様方に大いにお世話になります。よろしくお願いいたします。昨日からシンガポールの文化や風に触れて、良い経験やリフレッシュになっています。新鮮な気持ちで明日からの対局に臨めそうです。
今期も伊藤叡王に挑戦することになりました。リターンマッチと称されそうではありますが、気負わず平常心で挑もうと思います。前期の経験をいかして、新たな熱戦を展開できるように頑張ります」

Dsc_3022(クレメント・オン・アジア文明博物館館長)

「今年は日本とシンガポールの外交関係樹立60周年の節目の年であり、今回の対局は両国の友情と文化交流の深まりを改めて感じさせてくれる誠に意義深い機会となっております。将棋は知性と美しさを兼ね備え、兼ね備えた日本の素晴らしい文化です。明日の伊藤匠叡王と斎藤慎太郎八段の対局をここシンガポールで迎えられることを光栄に存じます。
アジア文明博物館「Let's Play! The Art and Design of Asian Games」と題したアジアのポートゲームに関する展示に加え、今月4月4日今週の土曜日より将棋漫画『3月のライオン』という漫画を通じて将棋の世界をご紹介する展示も開催しております。これからもこれらの展示を通じ、多くの方々に将棋の魅力をより身近に感じいただければ幸いです。明日の対局が素晴らしいものとなり、将棋を通じた交流と友情がさらに広がっていくこととを心より願っております」

Dsc_3057(乾杯の発声はクレメント・オン館長が務めた)

前夜祭で提供された料理の一部を紹介します。

Dsc_2744(クリスプポーク。皮がカリッとしていて食感が面白い)

Dsc_2759(チキンライス)

Dsc_2704(ローストビーフ)

Dsc_2770(にぎり寿司)

Dsc_2774(フルーツの盛り合わせ)

Dsc_2791(藤野英人・レオスキャピタルワークス株式会社代表取締役社長)

「第11期叡王戦の第1局がシンガポールで開催されること、また日本シンガポール外交関係樹立60周年記念を心からお祝い申し上げます。1966年に外交関係を樹立したということになりますが、たまたま私が生まれた年でもあります。私自身、将棋を長く愛しております。AIの進歩によって、人間はAIに敵わないのではないかと言われた時期もありました。しかし、実際にはAIが進化したことで棋士の研究もさらに深まり、将棋の世界がむしろ豊かで面白いものになったというように感じております。これは私たちが携わる投資の世界にもよく似ております。投資の世界でもAIの活用が進み、人間のファンドマネージャーは必要なくなるのではないかという声がありました。しかし、実際にはAIという強力な道具を使うことで、人間が考える力、決断する力がより重要になっていると考えております。将棋と投資には共通点が多いと私は思っています。先を読む力が大事な決断の結果がはっきり現れること、そして技術だけでなくメンタルも大切であること、相手をよく知り、その先を考え抜くことが結果につながることもよく似ています。私たちは、人と人が生み出すワクワクを応援したいという思いで、第6期から叡王戦の特別協賛を続けています。AIの時代だからこそ人と人が真剣に向き合うことで生まれるドラマには大きな価値があるのではないかと考えております。今期どのような展開になるのか、どんな一手が生まれるのか、非常にワクワクしています。さらに今回は第1局がここシンガポールで開催され、将棋という文化が世界で広がっていく可能性を感じる、とても象徴的な対局でもあるのではないかと思っております」

Dsc_2813(大山雅弘・シンガポール日本人会会長)

「叡王戦は日本将棋界における八大タイトルのひとつとして、多くの将棋ファンに楽しまれている重要な地点でございます。その対局がここシンガポールにて開催されますことは誠に意義深く、ひとえに皆様のご支援の賜りものだと思います。心からの感謝を申し上げたいと思います。私ども日本シンガポール日本人会について簡単にご紹介申し上げます。当会は111年の歴史を有し、シンガポールにおける日本人コミュニティの交流と深刻を目的として活動してまいりました。現在では、世界有数の規模を誇る日本人会のひとつとして、文化活動や教育支援、各種イベントの開催を通じ、地域社会とのつながりをより強固なものとなるよう精力的に活動しております。また、本年は日本とシンガポールの外交関係樹立60周年という記念すべき年、いわゆるSJ60の節目にあたります。叡王戦もその記念事業の一環として位置づけられており、このような深い機会を頂戴しましたことを私どもとしても大変光栄に存じます。今回の対局を通じて、将棋文化の魅力が広く伝わるとともに、日本、日本とシンガポールの友好関係がより一層深まることを心より願っております」

Dsc_2874(花束贈呈後の記念撮影。左はズオルーンリム・シンガポール支部長)

Dsc_2893(花束を手に記念撮影に応じた両対局者)

18時からシンガポール日本人会で前夜祭が行われ、多くの地元ファンが駆けつける盛会になりました。

Dsc_2616(主催者あいさつ)

Dsc_2627(河村宣行・株式会社不二家代表取締役社長)

「叡王戦はペコちゃんのお菓子ボックスという箱を作り、その中にお菓子を入れて対局場に置き、棋士の皆さんに食べていただくということをずっとやってまいりました。このお菓子が棋士の皆さんに大変、好評だそうです。これは棋士の方がお菓子を好きというのももちろんあるんでしょうけれども、お菓子に含まれる糖分は頭脳の栄養になるんですね。対局に疲れた棋士の皆さんの栄養補給になっているんだなと思うと、お菓子と将棋の相性もよろしいんじゃないかなと思っております。明日の第1局につきましても、両棋士に選んでいただいた私どもの焼き菓子をご提供しますので、不二家のお菓子を召し上がっていただいて、対局に疲れた心身の癒しにしていただき、リフレッシュして、頭脳の栄養補給をして、熱戦に注ぎ込んでもらいたいという風に期待をしております」

Dsc_2645(日本将棋連盟常務理事の糸谷哲郎八段)

「本日はご多忙のところ、第11期叡王戦第1局前夜祭にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。皆様にお集まりいただいたことに心より御礼を申し上げます。本年は日本とシンガポールの外交関係樹立60周年という極めて意義深い節目の年に当たります。両国の関係は経済や外交のみならず、人と人との交流を通じて対話の文化が相互に育まれてきたものと認識しております。そうした文化交流の一環といたしまして、シンガポールのチキンライスが日本で親しまれる一方、日本のラーメンもまたシンガポールの皆様の日常に深く根付いていると伺っております。こうした食文化の話題は、両国の距離の近さと相互理解の進化を象徴するものだと思っております。将棋もまた、日本に根差しながらも、国境を超えて広がりつつある文化のひとつでございます。本対局が将棋という文化を通じた新たな交流の域となれば、これにまさる喜びはございません」

Dsc_2785(石川浩司・駐シンガポール日本国特命全権大使)

「昨年9月のシンガポールの王座戦に続きまして、叡王戦がシンガポールで行われることを大いに歓迎いたします。大使館、及び大使館の文化発信部門である『ジャパンクリエイティブセンター』としてこの対局を後援できることは非常に我々の大きな喜びでございます。ジャパンクリエイティブセンターでは、昨年来、3回に渡りまして、プロ棋士の方をお招きして教室を開催して多くのシンガポールの方々に熱心に参加いただきました。また、当地のアジア文明博物館におきましては、日本将棋連盟さまと共催で、将棋を題材にした漫画『3月のライオン』特別展、明後日4日から開催されました。日本語版に加えまして中国語版、そして英語版の読書コーナー、さらには叡王戦の紹介コーナーが設けられたと聞いております。
明日繰り広げられるであろう熱戦を契機に、シンガポールにおいて将棋がさらに存在感を高めるということを願ってやめません。今年2026年は、日本とシンガポール国交樹立60周年を『SJ60』と呼んでございますが、いろんなイベントをやってまして、122のイベントを開催してきております。また、先月にはローレンス・ウオン首相が訪日されて、両国関係を戦略的パートナーシップとしていくということにもなりました。さらに、今年11月にはSJ60のメインイベントを当地で開催する計画をしておりまして、ぜひ皆様と一緒に盛り上げてまいりたいと思っております。最後になりますが、明日行われる叡王戦が両国の文化交流をさらに深め、そしてまた盤を挟んで培われる相互理解がさらに広がっていく、そういう機会になることを願っております」