*第57期決勝三番勝負第3局 Feed

2026年11月 5日 (木)

終盤戦

261105_84図は15時の局面。先手が攻め込み、終盤に入っています。▲2三桂成は先手の権利ですが、△同玉で入玉を誘発する恐れもあるため、よほどの成算がなければ指さないほうがいいでしょう。控室の検討では▲4三香が検討されています。評判も先手よし。ただ、あまり駒を渡し過ぎると、△9五桂や△8七銀から攻守反転もありうるため、その点は注意が必要です。

実戦は図から▲4三香△7一歩▲8二飛成と進みました。以下△8一歩▲6二竜△5一銀打のあたりが先手の決めどころでしょうか。△7一歩は先手の好手とされた▲3九歩(61手目)と似た手筋ですが、▲3八歩の再活用に成功した先手に対し、後手の△7一歩や△8一歩は盤上に残りそうです。そうなると先手玉の7~8筋を歩で攻めることもできなくなるのが、後手のつらいところです。

Dsc_0766(対局開始時の様子)

(牛蒡)

おやつ

15時になり、おやつが出されました。いずれも「棋の音カフェ」の品です。

永井三段 チーズケーキ、イエロースカッシュ
藤本七段 生チョコチョコのロールケーキ、グリーンスカッシュ

Dsc_0964 

Dsc_0976
(牛蒡)

玉形差

261105_72図では▲9四銀が予想されていました。△9四同歩なら▲7一飛が厳しく、5一に銀と桂のどちらを合駒しても▲6二とから取られてしまいます。「△3一玉の1手が入っていないのが痛いです」と北浜八段。

実戦は▲7六歩で角を止めました。△8七銀を嫌ったものと思われます。▲7六歩に対しては△3一玉も大きな手ですが、永井三段はこの2手の交換は先手が得と判断したことになります。確かに後手が△3一玉から△2二玉と入城しても▲2四歩から手をつけられそうなので、この判断は正しいかもしれません。一方の先手玉は角を止めたことで、自玉周りにいくらかの広さを確保できています。

Dsc_0954(後手目線の継ぎ盤。△3一玉に▲2四歩が示されていた。やはり、この歩が急所か)

(牛蒡)

先手好調

261105_67前回の記事から数手進みました。△1九馬に▲3八歩で図の局面。3九に打った歩をひとつ伸ばし、銀取りを受けるのは味のいい手です。これで1九馬も押さえ込める形に。北浜八段は「▲3八歩は感触のいい手です。後手が困ったかもしれません。ぱっと見える手がありません」と話しています。先手からは▲8五銀や▲9六歩~▲9五歩で飛車を取る手が速い攻めにつながります。したがって後手も急いで攻めなければいけないのですが、その手がすぐには見えません。

Dsc_0612(藤本七段はこの難局をどう乗り越えるか)

(牛蒡)

しみじみと好手

261105_60図から(1)▲7三歩成△3七歩成なら攻め合いです。3七と7三のと金は位置こそ同じですが、敵玉との距離や響きを考えると、先手のと金のほうが大きそうです。ただ、後手も図に至る前に△8六歩▲同歩の突き捨てを入れ、いつでも8七に駒を打ち込めるようにしています。直線の攻め合いで先手勝ちかといえば、そうとも断言はできません。

そこで永井三段は(2)▲3九歩と自陣に1手入れました。北浜八段は「いやー、いい手だなあ。いい手だ」と、しみじみと感心しました。△3九同馬なら△3七歩成~△4七との筋が利かなくなり、△2九馬で4七に利かしても△3七歩成を▲同銀と取られてしまいます。この渋い好手で先手ペースの戦いになりそうです。

Dsc_0749_2(決断のよい攻めに、渋い受け。永井三段が力を出している)

(牛蒡)

対局再開

Dsc_0891(藤本七段が先に戻る。タブレットには残り時間。藤本七段のほうが消費は多い)

Dsc_0900(その後、いったん退室し、ほぼふたり同時に盤の前へ)

Dsc_0879(藤本七段は受ける展開。今後も時間を使うことになりそう)

Dsc_0913(永井三段は決断よく指し、時間に余裕がある)

Dsc_0923(対局再開。△4一玉が指された)

Dsc_0946_2 (永井三段の前傾姿勢が深くなる)

(牛蒡)

昼食休憩

261105_49図の局面で藤本七段が12分使って昼食休憩に入りました。休憩時間は12時から40分間。消費時間は、☗永井40分、☖藤本1時間18分(持ち時間は各3時間)。永井三段の出前注文は「山椒ポークカレー(大盛り)」(rico curry)、藤本七段は「炒飯」(紫金飯店)。

Dsc_0858(山椒ポークカレー)

Dsc_0834(炒飯)

Dsc_0871(休憩中の特別対局室)

Dsc_0874(大竹竹風作、菱湖書)

Dsc_0949(東京は雨が降ったり、やんだり)

(牛蒡)

倒しにいく

261105_45▲5五角△4四歩▲7三角成で先手が銀を取った局面。永井三段は後手陣を攻め潰すべく、角銀交換の強襲をかけました。「いやいや、すごいことになりました。先手はもう後手を倒しにいっています」と北浜八段。図から△7三同桂で先手が駒損ですが、▲7五歩で攻めがつながると判断したようです。もしこの攻めが決まるようなら、後手は3八の馬を働かせる余裕もなく、居玉もたたりそうです。盤上は早くも風雲急を告げています。

Dsc_0643_2 (永井三段は勢いのある攻めを繰り出した)

Dsc_0734_2 (藤本七段は局面をまとめられるか。力量が問われる展開になった)

(牛蒡)

研究手順か

261105_40図は10時57分の局面。以下、6分16秒で▲4六銀、1分11秒で△3八角成と進みました。△3八角成は意外な一手で、このあと中盤で▲3六飛が馬金両取りになる形が見え隠れします。北浜八段は「この角成りは1分で指せる手ではありません。深い研究があるのは間違いないです」と話しました。永井三段は△3八角成に時間を使っています。藤本七段より先に研究範囲を外れたのかもしれません。ただ、先手もうまく手を作れればよくなりそうなだけに、考え甲斐のある局面でもあります。

Dsc_0788(立会人の北浜健介八段。激しい将棋でもあり、早い段階から継ぎ盤検討を始めている)

(牛蒡)

先手速攻

261105_22_310時28分、永井三段は図から▲3五歩と仕掛けました。先手陣は、対雁木の速攻策でよく見られる形ですが、後手陣は少し珍しく、図の時点ですでに未知の局面です。4三銀・6一金型や4三銀・5二金・6二銀型なら前例もありました。

4三銀型のほうが3筋から攻められた際、▲3四歩△同銀とされても△4三銀と戻れるので柔軟な形です。4三金型だと▲3四歩△同金で金が戻りにくいため、指しづらい面もあるのですが、藤本七段はあえて採用しました。

▲3五歩以下もかなり早いペースで進んでいます。公式戦で現れていないだけで、どちらも練習や研究で知見のある形なのかもしれません。

Dsc_0772 (初手▲2六歩。永井三段は速攻策でリードを奪いにいく)

Dsc_0784(2手目△3四歩。藤本七段は受けの形を工夫した)

(牛蒡)

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