終盤戦
図は15時の局面。先手が攻め込み、終盤に入っています。▲2三桂成は先手の権利ですが、△同玉で入玉を誘発する恐れもあるため、よほどの成算がなければ指さないほうがいいでしょう。控室の検討では▲4三香が検討されています。評判も先手よし。ただ、あまり駒を渡し過ぎると、△9五桂や△8七銀から攻守反転もありうるため、その点は注意が必要です。
実戦は図から▲4三香△7一歩▲8二飛成と進みました。以下△8一歩▲6二竜△5一銀打のあたりが先手の決めどころでしょうか。△7一歩は先手の好手とされた▲3九歩(61手目)と似た手筋ですが、▲3八歩の再活用に成功した先手に対し、後手の△7一歩や△8一歩は盤上に残りそうです。そうなると先手玉の7~8筋を歩で攻めることもできなくなるのが、後手のつらいところです。



図では▲9四銀が予想されていました。△9四同歩なら▲7一飛が厳しく、5一に銀と桂のどちらを合駒しても▲6二とから取られてしまいます。「△3一玉の1手が入っていないのが痛いです」と北浜八段。
前回の記事から数手進みました。△1九馬に▲3八歩で図の局面。3九に打った歩をひとつ伸ばし、銀取りを受けるのは味のいい手です。これで1九馬も押さえ込める形に。北浜八段は「▲3八歩は感触のいい手です。後手が困ったかもしれません。ぱっと見える手がありません」と話しています。先手からは▲8五銀や▲9六歩~▲9五歩で飛車を取る手が速い攻めにつながります。したがって後手も急いで攻めなければいけないのですが、その手がすぐには見えません。
図から(1)▲7三歩成△3七歩成なら攻め合いです。3七と7三のと金は位置こそ同じですが、敵玉との距離や響きを考えると、先手のと金のほうが大きそうです。ただ、後手も図に至る前に△8六歩▲同歩の突き捨てを入れ、いつでも8七に駒を打ち込めるようにしています。直線の攻め合いで先手勝ちかといえば、そうとも断言はできません。






図の局面で藤本七段が12分使って昼食休憩に入りました。休憩時間は12時から40分間。消費時間は、☗永井40分、☖藤本1時間18分(持ち時間は各3時間)。永井三段の出前注文は「山椒ポークカレー(大盛り)」(rico curry)、藤本七段は「炒飯」(紫金飯店)。



(東京は雨が降ったり、やんだり)
▲5五角△4四歩▲7三角成で先手が銀を取った局面。永井三段は後手陣を攻め潰すべく、角銀交換の強襲をかけました。「いやいや、すごいことになりました。先手はもう後手を倒しにいっています」と北浜八段。図から△7三同桂で先手が駒損ですが、▲7五歩で攻めがつながると判断したようです。もしこの攻めが決まるようなら、後手は3八の馬を働かせる余裕もなく、居玉もたたりそうです。盤上は早くも風雲急を告げています。

図は10時57分の局面。以下、6分16秒で▲4六銀、1分11秒で△3八角成と進みました。△3八角成は意外な一手で、このあと中盤で▲3六飛が馬金両取りになる形が見え隠れします。北浜八段は「この角成りは1分で指せる手ではありません。深い研究があるのは間違いないです」と話しました。永井三段は△3八角成に時間を使っています。藤本七段より先に研究範囲を外れたのかもしれません。ただ、先手もうまく手を作れればよくなりそうなだけに、考え甲斐のある局面でもあります。
10時28分、永井三段は図から▲3五歩と仕掛けました。先手陣は、対雁木の速攻策でよく見られる形ですが、後手陣は少し珍しく、図の時点ですでに未知の局面です。4三銀・6一金型や4三銀・5二金・6二銀型なら前例もありました。

