対局開始前(1)
対局開始
第8期叡王戦挑戦者決定戦は3月16日対局
藤井聡太叡王への挑戦を目指す、第8期叡王戦挑戦者決定戦の永瀬拓矢王座―菅井竜也八段戦は3月16日に東京都渋谷区「シャトーアメーバ」で行われます。
永瀬王座は第5期以来の番勝負、菅井八段は初めての五番勝負登場を目指します。
持ち時間は各3時間(チェスクロック使用)。先後は永瀬王座の振り歩先(歩が多ければ永瀬王座が先手)の振り駒で決めます。本局の棋譜中継は銀杏が担当します。よろしくお願いいたします。
また、本局はABEMAで動画配信もされます。映像でもご観戦ください。
棋譜中継ページ
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/8/eiou202303160101.html
ABEMA
https://abema.tv/channels/shogi/slots/FJTcqswGYi2LeT
【主催:株式会社不二家】
https://www.fujiya-peko.co.jp/
【特別協賛:ひふみ】
https://hifumi.rheos.jp/
【協賛:中部電力】
https://www.chuden.co.jp/
【協賛:株式会社 豊田自動織機】
https://www.toyota-shokki.co.jp/
【協賛:豊田通商株式会社】
https://www.toyota-tsusho.com/
【協賛:AMD】
https://www.amd.com/ja
藤井叡王の記者会見
【藤井聡太叡王インタビュー】
――叡王初防衛おめでとうございます。いまの率直なお気持ちをお聞かせください。
「本局は中盤から終盤にかけて苦しい戦いが続いて、最後も負けになったと感じたので実感に関しては全くありませんし、今日の将棋も振り返ってどうだったかなと思っているところです」
――藤井叡王はタイトル戦など終わったときに、ご自身の課題をお話しされることが多いと思います。これまで公式戦で会心の出来と感じたことはあるのでしょうか。
「もちろんそう思えるときが全くないわけではないのですが、振り返るとここは少ししっかり指せていなかったと思えるポイントは常にあるので……。一局指すごとに課題というのはあるのかなと思います」
――タイトル戦の連勝記録13連勝は歴代2位となりました。タイトル戦での強さについてご自身ではどのように考えていますか。
「少しタイトル戦の番勝負に星が集まっているところがあるので……。もちろん大きな舞台で結果が出せていることはうれしいんですけど、それ以外の対局も含めてより内容、結果ともに向上させないといけないなと思っています」
――これから棋聖、王位、竜王、王将としばらくは防衛戦が続きます。現状維持を目指した戦いが続き、タイトルを取っていくといった戦いがない中で、モチベーションが低下するということはないでしょうか。
「棋聖戦から防衛戦が続いていくことになりますが、タイトル戦で防衛か挑戦かということはそれほど大きな違いがないかなというふうに思っているので。大きな舞台で続けて対局していけるということをモチベーションのひとつにしてやっていければなと思っています」
――3月の順位戦後は他の対局がそこまで多くはないと思いますが、どのようにコンディションを整えていましたか。
「3月から4月にかけては対局が少なかったんですけど、序盤の定跡の見直しなどをしていました」
――大盤解説会場で出口六段が泣いてられたのを横で見ていたと思います。どのような気持ちになりましたか。
「今日の将棋は特に中盤はこちらがずっと苦しい展開が続いていたので、出口六段からするとそういうふうに思われるのも自然というか。自分であってもそう思うところがあるのかなと」
――今回の防衛でタイトル獲得が8期になり、木村義雄十四世名人や加藤一二三九段に十代で並びました。
「加藤九段や木村十四世名人の頃はタイトルの数が全く違うので、並んだという気持ちは全くありませんし、昔の棋士の棋譜を見て勉強になるところもあるので、そういったところをまた学んでいけたらと思います」
――これまでのタイトル戦では渡辺明名人や豊島将之九段など、ご自身よりもタイトル戦登場回数が多い棋士と戦ってきました。今回は初めてタイトル戦に出られた出口六段が相手ということで、これまでの経験が生きたなと思われたところはありましたか。
「今までのタイトル戦は自分よりキャリアが上の棋士との対戦ばかりだったので、今回は今までとは少し違う状況でしたが、出口六段とは新人王戦の決勝でも対戦しました。棋士になる以前にも練習将棋を指していただいたこともあるので、自分としては自然に番勝負に臨むことができたのかなと思います」
(共同記者会見より)
感想戦
両対局者が大盤解説会場に
終局直後の様子
【藤井聡太叡王インタビュー】
――一局を振り返って。
こちらが攻めを呼び込む形で戦いになって、飛車を目標にしてやっていければと思っていたんですが、△7五飛(64手目)と浮かれたときいい手段が見つからなくて。本譜では苦しくしてしまったのかなと思っていました。こちらの駒が連係しない形なので、少しまずいかなと。もう少し違う指し方のほうがよかったのかなとは思います。
――一分将棋になって終盤はどのように形勢判断を見ていましたか。
△6五角(82手目)と打たれて厳しいかなと思っていて。そのあとはどうやって勝負するのかというのを考えていたんですが、最後まで苦しい局面が続いたかなと思います。
――▲6五香(95手目)はギリギリの着手でした。
ちょっと形勢が厳しそうかと思っていて。ただ他に手がわからなかったので仕方ないと思って指しました。
――勝ちになったのはどのあたりですか。
最後、▲3五桂(105手目)と打って詰んでいそうかなと。
――3連勝での防衛について。
このシリーズは相掛かりの将棋になって、中盤で長考した場面が多かったんですけど、それでもなかなか判断がつかないところもあったので、そのあたりが課題だと感じました。
――タイトル戦での連勝記録が羽生善治九段に並ぶ13連勝で歴代2位となります。
本局も負けの局面があったと思うので、あまりそのことに気にせず、また来月から棋聖戦と王位戦が始まっていくので、それに向けてしっかり調整していきたいです。
――主催の不二家さんのおやつはいかがでしたか。
また前期と違ったお菓子を用意していただいて、今回もとても美味しくいただきました。
――叡王戦ではこれまで防衛した棋士がおらず、藤井叡王が初防衛になりました。
それも意識していたと言うことではないのですが、ひとつの結果が出せたことはうれしく思います。
【出口若武六段インタビュー】
――本局を振り返っていかがでしたか。
序盤は失敗してしまったかなと思っていて。ちょっと玉を寄られて銀を上がられて(▲6八玉~▲7八銀・47手目)みると、どんどん行く展開とかにはならなくなってしまったので、ちょっと苦しい展開かなと思ったのですが。さすがに歩も取れて飛車も引けたのでペースが来始めたのかなと思ったのですが、最後ちょっと着地がひどかったかもしれないです。全体的には自分の実力だったのかなという感じがします。
――タイトル初挑戦を振り返って。
徐々に慣れてきたといった面はあったかなと思っていたんですけど、今日の将棋を負けてしまったというのはすごい悔しいという気持ちがあります。1局目と2局目は内容があまりよくなかったという面でも、もう一回鍛え直して上に上がっていければと思います。
藤井叡王が防衛
▲藤井-△出口戦は、藤井叡王が109手で勝ちました。終局時刻は18時18分。消費時間は、▲藤井4時間0分、△出口4時間0分。
勝った藤井叡王はシリーズ成績を3勝0敗とし、叡王位初防衛を決めました。
(玉響)
強烈な切り合いに
出口六段が持ち時間を使いきって前述したA図(1図)の変化に踏み込みました。
1図以下、▲2一飛△3一金打▲1一飛成△5二銀▲6五香△4七銀成▲7五角△4三玉▲3一角成(2図)と進みました。
藤井叡王も持ち時間を使いきって、両者一分将棋のせめぎ合いになりました。一進一退の激しい寄せ合いが続きます。