2024年5月31日 (金)

20240531a7304902_2

20240531a7304919【藤井叡王の談話】
――一局を振り返って。
藤井「6筋から仕掛けた辺り(62手目△6五歩)は予定だったんですけど、こちらの玉も薄い形なので、常に距離感が難しい将棋かなと思っていました」

――勝負のポイントとなった局面は。
藤井「△6五歩(80手目)に▲7七銀と引いた局面で長考しましたが、本譜はあまりよい感触ではなかったです。あの辺りが急所かなという気はしたんですが、何がよかったかは、まだ分からないところです」

――勝ちになったと思われた局面は。
藤井「△7五馬(104手目)と引いた局面は見慣れない形で判断がつきませんでしたが、馬が手厚い形なので、何とかなる可能性もあるのかなとは思いました」

――カド番に追い込まれていたが、どのような心境で本局を迎えたか。
藤井「自分にとっては大きな一局なので、全力を尽くしたいと思っていました」

――カド番の一局をしのいだことについて。
藤井「ひとまず最終局に持ち込めたのはよかったですが、次も大事な一局になるので、そちらに向けても状態を整えていければと思います」

――最終局まで20日ほど間隔が空くことについては。
藤井「その間にほかの対局もありますし、最終局は振り駒になるので、幅広く考えていきたいと思います」

20240531a7304933【伊藤七段の談話」 
――一局を振り返って。
伊藤「こちらが(59手目▲2四歩と)2筋を交換したタイミングで△6五歩から動かれて、そのあと△9五歩(66手目)に対して▲同歩から本譜の▲8七角を打つ順はあまり本意ではなかったんですけど、指してみるとかなり角が負担になる展開だったのかなと思いました」

――誤算があった局面は。
伊藤「そのあとも難しいかなと思っていましたが、△7五馬(104手目)と引かれた図はかなり対処が難しかったので、その前の手順で工夫が必要だった気がします」

――初タイトルが懸かった一局。どのような心境で臨んだか。
伊藤「しっかり盤上に集中して臨めればと思っていました」

――最終局に向けて。
伊藤「本局は熱戦にできず残念な内容でした。次局も注目される舞台だと思うので、よい内容が指せるよう、全力を尽くしたいと思います」

Eiou202405310101132132手で、藤井叡王が伊藤七段をくだしました。終局時刻は18時2分。消費時間は▲伊藤4時間0分、△藤井3時間51分(チェスクロック使用)。シリーズ成績は、互いに2勝ずつのタイになりました。第5局は、6月20日(木)に山梨県甲府市「常磐ホテル」で指されます。

20240531_123控室では、図で△8三香が盤石といわれています。石田九段も「さすがにこれは……」とつぶやきました。藤井叡王が一気に優位を拡大したようです。

20240531_109控室では、現地を訪れた青野照市九段と岡崎洋七段が継ぎ盤で検討中。現状は後手よしで、図から△7七桂成▲同金に△8七銀が有力とのことでした。

20240531a7304878(青野九段)

20240531a7304882(岡崎七段。隣では石田九段が継ぎ盤の進行を見ていた)

ラグビースクールジャパンは11歳から18歳までの男女共学で、全寮制。日本では通常、教室に自席がありますが、同校はありません。寮で出欠を取ってから各ジャンルの教室で授業を受けているとのことでした。初年度は世界各地から生徒約140人が入学。700人を目指しているので、まだ使っていない教室もあるそうです。

20240530a7304267(パルファマン副校長の話に耳を傾ける両対局者)

20240530a7304226_2

20240530a7304207

20240530a7304303(見学を終えた両対局者は、パルファマン副校長から将棋との出会いや、どのような環境で育ってきたか質問された。どちらも「親のサポートがあった」と共通の回答があった)

20240530a7304326(藤井叡王は「充実した施設があり、それぞれが主体性を持って学べる場所なのかなと思いました」と見学した感想を述べた)

20240530a7304332(伊藤七段は「音楽やスポーツなど、さまざまなことに取り組むことができ、生徒も通っていて楽しめる学校かなと思いました」と語った)

将棋世界7月号は伊藤七段が表紙を飾っています。巻頭も今期叡王戦五番勝負第3局の記事です。付録は勝又七段による恒例の「新手年鑑」2024年版です。

20240531a7304573