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2022年11月

2022年11月 1日 (火)

囲み取材

感想戦終了後、優勝した服部五段が囲み取材に応じました。

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── 改めて新人王になった喜びを。

服部 対局が終わったばかりで、まだ実感がわかないのですが、苦しいシリーズを制することできてうれしいです。

── ご自身で手応えがあったのは2局目? 3局目?

服部 両方熱戦だったので、手応えは両方ありました。

── 過去の優勝者について。

服部 新人王を取った先生は偉大な方が多くて、そこの優勝者として自分の名前が載るのはうれしく思います。

── 記念対局の希望とかは?

服部 いや、特に希望とかは……でも、上の先生は強い方ばかりなので、指せることはうれしく思います。

── 藤井聡太竜王(五冠)と指したいとかは?

服部 そうですね。盤を挟んでみたい気持ちはありますが、公式戦で当たりたいという気持ちもあるので、なんとも言えないです。

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── 今年度の好成績について。ご自身では、どう感じていますか。

服部 特別、何か変わったことをしているわけではなく、一局一局、丁寧な気持ちで目の前の将棋を全力で指している感じです。ちょっと出来すぎかなとは思いますが、ただ、負けた将棋で「もっといい内容を指せたのではないか」と思うことはあります。

── 昨年の加古川青流戦の優勝から1年、ご自身で成長した部分は。

服部 1年前は結構早指しで、急所の場面でも早く指してしまうことが多かったのですが、今期に入ってからは、しっかりと腰を落ち着けて考えることができるようになってきたので、その点は少し成長したのかなと思います。

── 近い目標と、遠い未来の目標を。

服部 まずは目の前の将棋を一局一局全力で指すこと。遠い目標はタイトル戦に出ることですね。

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以上で第53期新人王戦決勝三番勝負の中継を終了します。本日はご観戦ありがとうございました。来期の新人王戦もお楽しみに。

(夏芽)

感想戦

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(夏芽)

終局直後

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(終局直後)

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■新人王となった服部慎一郎五段のコメント

── 三番勝負全体を振り返って。

服部 どの将棋も定跡形ではない力戦形で、一手一手が手探りだった感じがします。

── 第1局を落とされて、第2局と第3局を連勝されました。

服部 第1局が時間を使わずに完敗だったので、2局目からは時間を使って、いい将棋を指せるようにと思ってはいました。

── 昨年の加古川青流戦に続いての優勝です。

服部 取りたいと思っていた棋戦のひとつだったので、新人王を取れたことはうれしく思います。

── 第3局は非常に大熱戦だったと思うのですが、ご本人としては。

服部 そうですね。最後の最後まで分かっていなくて、△3六飛(138手目)と桂を取って勝ちになったのかなと。それまでは本当によく分からない展開が続いていました。

── 三番勝負の開幕前は「スリリングな将棋を指して、ファンの方にも喜んでいただける、中身のある将棋を」とのことでしたが。

服部 3局とも力戦の将棋で、一手一手、手探りに読んでいて楽しかったシリーズでした。

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■敗れた黒田尭之五段のコメント

── 三番勝負全体を振り返って。

黒田 全体的な内容は反省点が多いのですが、見てもらって面白い将棋は指せたのかなと。結果は残念だったので、次は内容だけでなく、結果がついてくるように頑張りたいです。

(夏芽)

服部五段が新人王に

Shinjin202211010101_144三番勝負第3局は144手で服部五段が勝ちました。終局時刻は16時37分。消費時間は▲黒田2時間58分、△服部2時間57分(チェスクロック使用)。勝った服部五段は三番勝負を2勝1敗で制し、第53期新人王に輝きました。

(飛龍)

大詰め

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いよいよ大詰め。上図の黒田五段が打った▲4三角は攻防で油断ならない一手ですが、服部五段は△3五銀▲同歩△4六飛!(下図)という連続捨て駒で寄せにいきました。▲同香は△同竜と入って先手玉が詰みます。残り時間は▲黒田五段8分、△服部五段4分です。

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(夏芽)

香捨て

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いよいよ局面は最終盤。控室では服部五段の寄せに注目が集まっていましたが、実戦は△1七香と端に捨て駒を放ちました。次に△2五桂以下の詰めろで、▲1七同香と取ると△1九角と打って先手玉が詰み。

これで後手勝ちなら△1七香は「決め手」と言えそうですが、控室では▲1七同桂と取る変化が調べられており、まだ明快に勝ちといえる結論には至っていません。

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(夏芽)

粘る黒田五段

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盤上は服部五段の厳しい攻めが続いていますが、黒田五段も決め手を与えず、逆転のチャンスをうかがっています。

図は▲4五歩と角取りに突いた局面。6四の馬を自陣の守りに利かせており、△2五桂には▲2八玉と引けばまだ簡単には決まらなそうです。

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(夏芽)

踏み込む

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上図は黒田五段が▲7一飛と打った局面。6四の地点に馬がいるので、次の▲3一銀の王手が厳しく見えますが、なんと服部五段は自陣を受けずに△5八とと踏み込みました。

この決断が功を奏したか、控室の森信雄七段は「居飛車(後手)が指せそう」との見解を示しています。△4八歩の局面で残り時間は▲黒田五段47、△服部五段52分です。

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(本日の大阪は、朝から雨が降り続いている)

(夏芽)

おやつ

時刻は14時30分を回り、両対局者におやつが用意されました。おやつは「栗のタルト」で、飲み物は黒田五段がホットコーヒー、服部五段がオレンジジュースです。

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(黒田五段のおやつ)

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(服部五段のおやつ)

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(栗のタルト)

※いずれも撮影用の写真です。

(夏芽)

悩ましい選択

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時刻は14時を回り、局面は78手目△8九飛まで進んでいます。図の飛車打ちのところ、控室では代えて△8二同飛と取る順も検討されていました。服部五段が打った飛車は、9九の香取りのほか、次に△8八飛成~△8七歩成で「と金」を作る狙いがあります。

立会人の森信雄七段は「△8九飛に先手は▲9一角成と▲7一角成のどちらもある」と話しており、黒田五段にとっては大事な分岐点のひとつになりそうです。

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(森信雄七段は42年前の第11期新人王戦で優勝している)

(夏芽)