2022年8月

2022年8月 3日 (水)

Dsc_4471(大成建設株式会社建築営業本部の大屋龍一郎統括営業部長から花束の贈呈が行われた)

Dsc_4516(圧巻の強さでリターンマッチを制した)

Dsc_4620(穏やかな表情で質問に答えた)

Dsc_4799(今期は充実ぶりを示すかのような強い内容だった)

【里見香奈新清麗インタビュー】
――清麗は前期奪取されてしまったタイトルでした。1期での復位について。
里見「前期は力不足を実感しました。今期は1、2局目と課題の残る将棋ではありましたが、自分の力を出しきれたと思います」
――清麗というタイトルへの思いは。
里見「清麗というタイトル称号は個人的にかっこいいと思っていて。大成建設様にはタイトル戦を作っていただいて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」
――清麗に復位して女流五冠となりました。過半数を制したことについて。
里見「今期も課題の残る将棋はありました。次に生かせるように勉強していかないといけないという気持ちと、まだまだ実力不足が目立ちますので、安定した将棋を指せるように頑張りたいです」
――全冠制覇を期待するファンについて。
里見「相当、難しいと思いますので、目の前の対局の力を尽くせるよう頑張りたいです」
――加藤前清麗についての印象や、事前の対策はありましたか。
里見「加藤さんは勢いよく攻められると同時に、悪くなっても粘り強い印象です。研究も深くされていますので、そのあたりに気をつけながら準備をしていました」
――このシリーズに向けての準備や研究はありましたか。
里見「自分があまり指したことのない戦型選択をしましたが、難しさを感じるところもあり、そのあたりが今後の課題だと思っています。ただ、大きな舞台で挑戦できたことはよかったです」
――今後の対局に向けての抱負を教えてください。
里見「ありがたいことに対局がいい間隔でついているので、目の前の対局に力を尽くせるよう、体調を整えて頑張りたいです」
――好成績を収められ、充実しているように思います。理由は何かありますか?
里見「昨年から女流棋戦の対局数が増えたのが大きいです。やはり対局が最大の勉強で、それによって生活にハリが生まれました。また、谷川先生に4人の研究会で将棋を教えていただく貴重な時間は本当にありがたいことです」
――第1局での四間飛車の採用は珍しかったように思います。
里見「将棋の基本である矢倉と四間飛車に憧れがありました。研究勝負ではなく、力勝負をタイトル戦で指したいという気持ちがありました。清麗戦は女流棋戦最長の持ち時間で、一手一手考えて将棋を作り上げていくということに重点を置いていました。研究で終わるような将棋にはしたくありませんでしたし、加藤さんと互いに力を出して将棋を作り上げたかったので指しました」
――過密日程のなかで心がけていることはありますか。
里見「最も基本となる体調管理です。研究で行き詰まることもありますが、自分が深めたい戦型や新しい形を掘り下げていくことを、なるべく自分の中で楽しみが生まれるようにやっています」

共同記者会見より抜粋
(撮影=琵琶 書き起こし=武蔵)

Dsc_4192(投了図。里見女流四冠が清麗復位と女流五冠に)

Dsc_4200(終局直後の様子)

Dsc_4338(コメントを振り絞る両対局者)

Dsc_4342(タオルを首筋に当ててクールダウンをはかる)

Dsc_4283(3連敗と振るわなかった加藤前清麗)

Dsc_4358(感想戦は約40分で終了した)

Dsc_4222(3連勝で復位を果たした里見清麗)

【勝った里見香奈女流四冠】
――一局を振り返ってください。
里見「後手番でしたが、うまく手に乗って攻めることができたかなと思います」
――△6二玉(10手目)が工夫の一手だと思いますが、用意されていた順だったのでしょうか。
里見「作戦のひとつとして考えていました」
――先手の仕掛けに対して△3六歩(48手目)から反撃に転じました。局面をどう見ていましたか。
里見「7四銀が一瞬ですが手厚い形なので、右辺で戦いになれば少し分がいいのかなと思っていました」
――△3八飛(64手目)と敵陣に飛車を打ち込んで先手玉を寄せに行きました。このあたりはどう思われていましたか。
里見「一瞬、王手が掛かる形だったので、対局中は不安はあったんですが、攻め合い勝ちしそこねていました」
――勝ちを意識したのはどのあたりですか。
里見「△6九竜(90手目)~△7八金で勝ちになったかなと思いました」
――主催者である大成建設の豪華なホテルでの対局が続きました。振り返ってください。
里見「将棋の内容は1、2局目がちょっと反省の残る将棋ではあったのですが、3局目は立て直すことができたと思います。対局場に関してはコロナ禍ではありましたが、東京・新潟・名古屋と各地を巡らせていただきました。ホテルは普段泊まることのできないような豪華なところで、細かい部分までお気遣いをいただいて感謝しています」
――3連勝で復位、同時に五冠にも返り咲きました。今のお気持ちと今後の抱負をお聞かせください。
「課題の残る将棋もあったんですけど、今後に生かせるように頑張りたいと思います」

Dsc_4319(ストレート負けで失冠した加藤前清麗)

【敗れた加藤桃子清麗】
――一局を振り返ってください。
加藤「意外な出だしでちょっとびっくりしたんですけど。あまり無理なく行こうと思ったんですが、▲7五歩(41手目)から仕掛けて行ったところが少しやり過ぎてしまったというか。7筋の力関係がよくわかっていなかったので、形勢判断がおかしかったのかもしれないですね。昼食休憩のあたりは決断が迫られるか、もしくは悪い局面だったので、仕掛け方というか待ち方をなんとかしなくてはいけない将棋でした」
――対局中はどのように感じていましたか。
加藤「▲7五歩はこの一手だと思っていて。指したときは模様を良くできる可能性が高いかなと思ってはいたのですが、そのあとが△3六歩▲同銀(49手目)で銀が3筋にいってしまったので、そこから自信がなくなってしまったような感じでした」
――昼食休憩中はほとんど盤から離れないで考えていらしたと思いますが、△5六歩(52手目)が厳しいと考えられていたのでしょうか。
加藤「あっ、そうなんですね。△5六歩が厳しいか指されたときはわかっていなくて。どこまでリスクヘッジをするか、強気に行くかがわからなかったです」
――▲7四歩(63手目)と角取りを放置されて後手玉に迫る勝負手に思えましたが、このあたりの感触はいかがでしたか。
加藤「あまり自信がないですね」
――今期の五番勝負を対局場の印象を踏まえて振り返ってください。
加藤「どこも大成建設さんがすごく大事にされているホテルだと思います。そういった場所で対局をさせていただけたのがすごく光栄でした」
――昨年、タイトルを取ってから今日までいかがでしたか。
加藤「1年も経っていないので最短で失冠という感じになってしまって。残念というか、里見さんにもたくさん教わりたかったですし、自分の力が足りなかったのでまた立て直したいと思います」

Dsc_4255(終局直後に行われたインタビューの様子)

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▲加藤桃-△里見戦は108手で里見女流四冠が勝ちました。終局時刻は16時25分。消費時間は▲加藤4時間0分、△里見2時間16分。里見女流四冠が清麗に復位するとともに五冠に復帰しました。

15時、里見女流四冠のおやつは静岡県産メロンのパンナコッタと静岡県産ほうじ茶ロールケーキ、アイスカフェオレ、フレッシュオレンジジュース、ジンジャーエールです。

Dsc_4181(里見女流四冠が注文した午後のおやつ)

Dsc_4185(静岡県産メロンのパンナコッタと静岡県産ほうじ茶ロールケーキ。特製の王将がしゃれている)

Dsc_4187(フレッシュオレンジジュース、ジンジャーエール)

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局面が進みました。△5六飛に実戦は▲7五歩(1図)△8五銀▲3三飛成△同金▲8五金△同桂▲7四歩△3八飛(2図)と進んで、里見女流四冠が優位を築いています。
2図で▲6四角の王手は△7三歩で受かるため、受ける必要はないと判断したようです。「▲4七銀が飛車の両取りになりますが、△7七桂成▲同桂に△6八金▲同金△同飛成▲同玉△5七角▲5八玉△4八金▲6九玉△6八角成▲同玉△5九飛成までの即詰みがあります。△3八飛は桂取りの保険もありますし、手堅く素早い勝ち方ではないでしょうか」と谷川十七世名人は語っていました。

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加藤清麗は15時のおやつを14時30分に注文していました。メニューは季節のフルーツ盛り合わせ、アイスレモンティーです。

Dsc_4173(加藤清麗の午後のおやつ)

Dsc_4177(季節のフルーツ盛り合わせ、アイスレモンティー)

金城ふ頭は商港機能の中枢を担う重要なふ頭として知られています。総トン数1500トン以上の船を係留できる岸壁が数多くあり、大手自動車メーカーの車や産業機械の輸出、工業用金属の輸入などが盛んに行われている場所です。将棋日本シリーズJTプロ公式戦の名古屋対局が行われる「ポートメッセなごや」や「リニア・鉄道館」など様々な商業施設があります。

Dsc_3383_2(岸壁には複数の大型船が見られる)

Dsc_3419(新しく建築中のポートメッセなごや第1展示館。10月に利用開始予定とのこと)

Dsc_3422(将棋日本シリーズJTプロ公式戦の名古屋対局が行われるポートメッセなごや第3展示館)

Dsc_3433(取り壊しが進んでいる旧第1展示館)

Dsc_3450(あおなみ線・金城ふ頭駅)

昨日、あおなみ線に乗ってきました。2004年に開業した名古屋臨海高速鉄道の鉄道路線で、名古屋駅から金城ふ頭駅までを約24分で結んでいます。正式な路線名称は西名古屋港線(にしなごやこうせん)ですが、あおなみ線という名称で呼ばれています。公募によって決定した愛称で、イメージカラーの「あお」、名古屋の「な」、港の「み」をそれぞれ採ったものです。

Dsc_3333(あおなみ線の名古屋駅改札口)

Dsc_3334(あおなみ線の路線図。金城ふ頭まで約24分で結ぶ)

Dsc_3360(新幹線ホームの隣から発車する)

Dsc_3372(途中の港北駅は3月12日に名古屋競馬場前駅から駅名が変更された。競馬場が弥富に移転したことに伴うもの)

Dsc_3409(金城ふ頭駅に到着)