第5期五番勝負第4局 Feed

2023年8月23日 (水)

感想戦のあと、里見香奈清麗の防衛記者会見が行われました。

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(主催社の大成建設株式会社から花束が贈られた)

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(花束贈呈のあと、記者会見が行われた)

--第1局から第3局は先手が勝っていて、後手番での戦い方が大切なのかなと思いましたが、本局ではどのような対策をされたのでしょうか。
「第2局では終盤に1手で崩れてしまい、もったいない将棋にしてしまったので、第2局と同じような将棋にするか迷いましたが、新しい形に挑むことにしました。一手一手考えて作り上げていく将棋にしたかったです。同じ角交換の将棋ではあるのですが、全く異なる形になったので、力戦形になったと思います。考えている時間は難しくて苦しかったけど、充実していました」

--大阪のなんば(センタラグランドホテル大阪)という、新しい対局場もあったシリーズでしたが、振り返ってください。
「第3局は今年オープンしたホテルで対局させていただいて、なかなか最近の女流棋戦では大阪対局がほぼなかったので、関西所属の女流棋士としてはうれしく、励みになりました。第1局から第3局までいろいろなところで対局させていただいて、細かい部分まで大成建設さまにお気遣いいただいて盤上に集中することができました。本局は慣れた関西将棋会館で集中して指せました」

--その慣れた関西将棋会館が大阪府高槻市に移りますが、新会館を盛り上げられればという思いがあるのでしょうか。
「はい、高槻は市長さんが将棋にご理解ある方ですし、大変楽しみにしています」

--これからも今期の挑戦者である西山朋佳女流三冠との戦いが続くと思いますが、西山女流三冠の印象を教えてください。
「西山さんとは昨年すごく対局数が多くて、今年も清麗戦の五番勝負があって対局数がこれからも増えていくと思います。毎局新しい局面で、読みの違いを感じることもあって新鮮さがあります」

--5期中4期獲得というのは圧倒的な成績かと思います。第1期から清麗戦を戦ってきた印象、来期に向けた意気込みをお聞かせください。
「清麗戦ができた当初は、大型の女流棋戦を作っていただいて大変うれしい気持ちがありました。それからはコロナ禍でタイトル戦を行うにあたって難しい時期だったと思いますが、その中で主催の方々には対局前後も気をつかっていただいて、集中できる環境を整えていただきました。それが力になって対局できるところもあります。来期も頑張ります」

--全4局の中で印象に残った場面はありますか。
「やっぱり第2局で負けた将棋がパッと浮かびます。やや苦しい局面から難しくなって、そこで残り時間があるにもかからわずパッと指した手が大悪手で一方的になってしまったので、そこが悔やまれるところであり、シリーズを通して自分の弱さが見えたので修正していきたいです」

--霧島酒造杯女流王将戦での挑戦の可能性はなくなりましたが(注:本戦トーナメント準々決勝で敗退)、岡田美術館杯女流名人戦やマイナビ女子オープンでは挑戦の可能性があり、八冠は難しくても七冠の可能性はあります。周囲の期待もあるのではないでしょうか。
「光栄なことにそう言っていただくことはあって、そういう声が励みになっているところはあります。でも継続的に勝ち続ける大変さは実感していて、まだまだ力不足です」

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既報の通り、大成建設杯第5期清麗戦は里見香奈清麗が3勝1敗で防衛しました(2期連続4期目)。

以上で今期の中継を終了いたします。第6期にもどうぞご期待ください。ご観戦ありがとうございました。

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(終局直後)

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(2年連続、4期目の清麗に就いた里見香奈清麗)

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(インタビューに答える里見香奈清麗)

【里見香奈清麗インタビュー】

--序盤に相手から角交換される展開でしたが、昼食休憩(49手目▲2六銀)あたりまでは局面をどのようにとらえていましたか。
「位を取っているのですが、低い形で動かれているので難しいと思っていました」

--△2八歩(54手目)から流れをつかんだかと思いますが、そのあたりはどう思っていましたか。
「読み切れていたわけではないですが、自然に動いていった感じです」

--手ごたえをつかんだのはどのあたりですか。
「△2五桂(64手目)と跳ねて攻めに専念できる形になったので、そのあたりは指しやすいと思っていました」

--勝ちを意識したのはどのあたりでしょうか。
「最後のあたりです。こちらがあまりいい形ではないので、着実に、慎重に指していました」

--ここまで3局は先手が勝っていて、初めて後手で勝って防衛となりました。今シリーズ全体を振り返っていかがでしょうか。
「力戦で一手一手考えていく将棋が多くて、やっていて充実感がありました」

--来期防衛したら通算5期となりますが、このことについてはいかがですか。
「近年、大型棋戦をたくさん作っていただいてうれしいことではあるので、自分自身にできる力をつけていきたいと思います」

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(敗れた西山朋佳女流三冠)

【西山朋佳女流三冠】

--午前の序盤戦はどのように考えて指されていたのでしょうか。
「膠着状態ではあったので、どうやって手をつくっていこうかと苦心していました」

--検討では西山さんが軽快に攻めているという声もありましたが、どのように思われていましたか。
「うーん、思っていたよりひどかったので、普通に(53手目▲3四銀に代えて)▲3二角と打って戦うのがよかったかなと思います。もう少し左辺での戦いにすべきだったかもしれないです。

--はっきりとつらいと思われたのはどのあたりですか。
「早々に誤算があったので、ずっと苦しかったです」

--2局続いて持ち時間を余らせて投了してしまうことになりましたが、早めの誤算が影響していますか。
「大舞台ということを考えると申し訳ないことをしてしまいました」

--シリーズ全体を振り返っていただけますか。
「途中でぽっきりいってしまう将棋が多かったので、力が足りなかったかと思います」

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第5期大成建設杯清麗戦五番勝負第4局は、里見清麗の勝ちとなりました。終局時刻は16時4分。消費時間は▲西山3時間16分、△里見2時間46分(持ち時間各4時間、チェスクロック使用、切れたら1手60秒未満の着手)。
本局の結果により、シリーズ成績3勝1敗で里見清麗が防衛を決めました。

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上図の△5五銀が決め手と見られています。▲同銀は△5七角成があります。

里見香奈清麗の防衛がいよいよ近づいています。

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(昼食休憩明けの里見香奈清麗)

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上図の△5六歩は、△2六歩▲同金に△4四角の両取りが直接的な狙いです。ただそれを受ける▲3五歩にも△2六歩が有力と見られています。以下▲同金△5七歩成▲同金△4八角▲3七桂△3九銀▲4八玉△5五銀と後手の攻めが続きます。

局面は後手が優勢と見られています。

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(対局開始前の里見香奈清麗。防衛が近づいている)

15時に午後のおやつが出されました。メニューはともにオレンジケーキとココナッツクッキーです。

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(オレンジケーキとココナッツクッキー)

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(里見清麗の飲み物はアイスカフェオレ)

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(西山女流三冠の飲み物はアイスティー)

△2六歩に西山女流三冠は▲同歩と取らず、▲3六角と受けました。

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ただ控室では▲2六同歩以下の変化で先手も戦えると見始めていました。▲3六角は苦心の受けと見られています。

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(角を手放して受けに回った西山朋佳女流三冠)

午後に入り、里見清麗が動きました。△2八歩と打って玉の位置を変えようとしています。

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▲2八同玉には△6六歩▲同銀△2六歩▲同歩△同飛(王手銀取り)▲2七歩△6六飛▲6七歩で飛車の行き場がなくなりますが、以下△7五銀(飛車を逃げると△7六飛で飛車が生還)▲6六歩△8六銀(下・参考図)で銀得の後手が優位に立ちます。

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△2八歩と打たずに△6六歩▲同銀△2六歩▲同歩△同飛と進めると▲3五角(下・参考図)が王手飛車取りになります。

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そのため、控室では△8二玉▲3三銀不成に△6六歩(下・参考図)と進めるのではないかと言われていました。

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これだと先手も桂馬を取れているので戦えます。本譜の△2八歩は、△2六同飛が王手になるようにした工夫です。

控室の検討では適当な対応が見つかっていません。この△2八歩が痛打になっているのでしょうか。

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(踏み込んだ里見香奈清麗)

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(本日の関西将棋会館全体の対局立会人を務める藤原直哉七段が控室に来訪。「▲3四銀(53手目)では▲2六銀と引いて受けに回ると思っていました」と話す)