【勝った里見香奈女流四冠】
――一局を振り返ってください。
里見「後手番でしたが、うまく手に乗って攻めることができたかなと思います」
――△6二玉(10手目)が工夫の一手だと思いますが、用意されていた順だったのでしょうか。
里見「作戦のひとつとして考えていました」
――先手の仕掛けに対して△3六歩(48手目)から反撃に転じました。局面をどう見ていましたか。
里見「7四銀が一瞬ですが手厚い形なので、右辺で戦いになれば少し分がいいのかなと思っていました」
――△3八飛(64手目)と敵陣に飛車を打ち込んで先手玉を寄せに行きました。このあたりはどう思われていましたか。
里見「一瞬、王手が掛かる形だったので、対局中は不安はあったんですが、攻め合い勝ちしそこねていました」
――勝ちを意識したのはどのあたりですか。
里見「△6九竜(90手目)~△7八金で勝ちになったかなと思いました」
――主催者である大成建設の豪華なホテルでの対局が続きました。振り返ってください。
里見「将棋の内容は1、2局目がちょっと反省の残る将棋ではあったのですが、3局目は立て直すことができたと思います。対局場に関してはコロナ禍ではありましたが、東京・新潟・名古屋と各地を巡らせていただきました。ホテルは普段泊まることのできないような豪華なところで、細かい部分までお気遣いをいただいて感謝しています」
――3連勝で復位、同時に五冠にも返り咲きました。今のお気持ちと今後の抱負をお聞かせください。
「課題の残る将棋もあったんですけど、今後に生かせるように頑張りたいと思います」
【敗れた加藤桃子清麗】
――一局を振り返ってください。
加藤「意外な出だしでちょっとびっくりしたんですけど。あまり無理なく行こうと思ったんですが、▲7五歩(41手目)から仕掛けて行ったところが少しやり過ぎてしまったというか。7筋の力関係がよくわかっていなかったので、形勢判断がおかしかったのかもしれないですね。昼食休憩のあたりは決断が迫られるか、もしくは悪い局面だったので、仕掛け方というか待ち方をなんとかしなくてはいけない将棋でした」
――対局中はどのように感じていましたか。
加藤「▲7五歩はこの一手だと思っていて。指したときは模様を良くできる可能性が高いかなと思ってはいたのですが、そのあとが△3六歩▲同銀(49手目)で銀が3筋にいってしまったので、そこから自信がなくなってしまったような感じでした」
――昼食休憩中はほとんど盤から離れないで考えていらしたと思いますが、△5六歩(52手目)が厳しいと考えられていたのでしょうか。
加藤「あっ、そうなんですね。△5六歩が厳しいか指されたときはわかっていなくて。どこまでリスクヘッジをするか、強気に行くかがわからなかったです」
――▲7四歩(63手目)と角取りを放置されて後手玉に迫る勝負手に思えましたが、このあたりの感触はいかがでしたか。
加藤「あまり自信がないですね」
――今期の五番勝負を対局場の印象を踏まえて振り返ってください。
加藤「どこも大成建設さんがすごく大事にされているホテルだと思います。そういった場所で対局をさせていただけたのがすごく光栄でした」
――昨年、タイトルを取ってから今日までいかがでしたか。
加藤「1年も経っていないので最短で失冠という感じになってしまって。残念というか、里見さんにもたくさん教わりたかったですし、自分の力が足りなかったのでまた立て直したいと思います」