第2期五番勝負第1局 Feed

2020年7月 4日 (土)

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終局直後、両者にインタビューが行われた。

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先勝した里見清麗。

【里見清麗の談話】
――中盤、▲6四角(57手目)あたりから、局面が激しく展開しましたが、形勢はどう見ていましたか。
「本当はもう少しじっくり戦うつもりだったのですが、ちょっと手厚くする指し方がわからなくて」
――▲6四角は27分の長考でしたが、何か予定変更はあったのですか。
「そうですね。その前の▲3五歩に△2四飛を本線に読んでいて、本譜の△同飛なら手厚くできそうな気がしていたのですが……。本譜は攻め合いになったのですが、ちょっと本意ではなかったですかね」
――勝ちになったと思った局面はどのあたりでしょうか。
「こちらも玉が薄いので、最後まで怖い局面が続きましたが、最後の▲1一竜(93手目)のところは勝ちになったかなと」
――第2局に向けての抱負をお願いします。
「すぐに第2局になりますが、先後も決まっていますので――体調に気を付けて調整したいと思います」

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上田女流四段。

【上田女流四段の談話】
――4手目△3二飛で相振り飛車にされましたが、これは用意された作戦でしたか。
「そうですね。初手▲5六歩なら、△3二飛の将棋を指そうかなと思っていました」
――中盤、△4六歩(44手目)から継ぎ歩攻めされたあたりは、手応えを感じていたりしましたか。
「難しいと思っていて。手応えというよりは、攻めが間に合わなくなるのが一番怖かったので。ある程度、きっかけを作っておきたいという気持ちがありました」
――形勢が苦しくなったと感じたのはどのあたりでしょうか。
「△7二玉(70手目)と上がるところは、本当は△2四歩と桂を取りたかったのですが、▲8三桂の筋が気になってしまって。当初は取るつもりで指していたので、予定変更では苦しくなった気がします」
――第2局に向けての抱負をお願いします。
「1週間弱ですが、しっかり準備して臨みたいと思います」

101第2期ヒューリック杯清麗戦五番勝負第1局は先手番の里見清麗が勝ちました。終局時刻は16時48分。消費時間は、▲里見2時間48分、△上田3時間58分。第2局は7月10日(金)、東京・将棋会館で行われます。

86図は16時10分頃の局面。
苦しいと見られていた後手ですが、最終盤にきて先手玉に絡みつくことに成功しました。まだ先手よしと見られてはいますが、一勝負できる形に持ち込んでいるようです。いよいよ勝負は大詰めを迎えました。

71図は15時30分過ぎの局面。
直前に後手は△7二玉と上がりましたが、これは▲8三桂と▲2一飛の狙いを同時に防ぐ好手に見えました。しかし、里見清麗がすかさず突いた▲7五歩(図)が急所の一手。対して△7五同歩は▲7四歩が猛烈に厳しく、以下△7四同銀は▲6四桂で後手敗勢です。従って、後手は▲7五歩に手を抜いて攻め合うと見られていますが、かなり忙しい局面になっており、控室では先手優勢と見られています。

65図は15時頃の局面。
先手が後手の飛車の捕獲に成功しています(図から△2五飛は▲2六歩)。
「後手は何か頑張らないといけないですね。妖しい手を繰り出すとか。普通に指していると、悪くなってしまいそうです」(真田八段)

54図は13時50分頃の局面。
「後手は△3一飛と深く引くこともできましたが、△3四飛から△3三桂と積極的な姿勢を見せました。ただ、飛車が狭くなっていますから、先手もそこをとがめにいくと思います。互いに突っ張った応酬で、激しい局面になりそうです」(真田八段)

Img_1391 里見清麗は自玉付近で強く戦っている。