2024年8月20日 (火)

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(感想戦終了後、防衛した福間香奈清麗の取材が行われた)

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(母校・大社高校の全国高校野球選手権での活躍の話題に笑顔で応じる)

--今回が第6期の清麗戦で5期目の獲得です。歴史の浅い中で結果を出すのは難しいことと思いますが、4時間という持ち時間の影響はありますか。
「持ち時間が長いほうが好きなので、ゆっくりと考えて指し進められる点では好きな持ち時間ではあります」

--改めてクイーン称号が増えたことへの喜びは。
「結果が幸いしたシリーズもあったんですけど、光栄に思います」

--6つ目のクイーン称号獲得は歴代最多です。あとは白玲と女王ですが、全八冠のクイーンを獲りたいという気持ちはありますか。
「今回のシリーズもそうでしたが、押され気味だったように感じるので、そのあたり地力をつけて、その先にそういったもの(クイーン称号)がついてくればいいかなと思います」

--女流タイトル戦が関西将棋会館で指されるのは珍しく、決定局がここでというのも珍しいと思います。ずっと修行、練習将棋を重ねられた場所という感慨はありますか。
「今年で新会館に移転するということもあって、もう対局が数えるほどしかなく、御上段の間で指すのはもしかしたら最後かもしれませんので、いい締めくくりになってよかったかなと思います」

--10代のころから勝ち続けて永世称号が6つまで来ているのは継続性がすごいと思うのですが、ずっと勝ち続けるためにいつもどんなことを考えて努力しているのですか。
「その年代でモチベーションが変わってはいるのですが、いまは地元の方々の励みもありますし、自分自身のために人間らしい、個性的な将棋を指していきたいというモチベーションもあって、何かを持ち続けながら対局していけたらと思います。勝負ではあるのですが、何か楽しみがないと継続することは私の場合は難しいことですので、日々の勉強でしたり、公式戦の中でちょっとした楽しみを持って指しているつもりではあります」

--番勝負の相手が西山朋佳女流三冠、加藤桃子女流四段ということで対局は同じ戦型になることが多いですが、自分の中で戦型に対する研究の深さの手ごたえはいかがですか。
「本局はどういう作戦でいこうかと迷いましたが、作戦を立てようとすることで知識が深まります。私は偏りがあるので幅の広い将棋にしたいと思います。中飛車でもちょっとずつ変えてはいるつもりではあります。本当はもっと大きく変えたいとは思っているのですがいまの地力では難しいので、ちょっとずつ幅を広げられたらと思います」

--31日から白玲戦が開幕します。今回の清麗防衛で通算59期目のタイトル獲得で、白玲を奪取すると60期目の節目になります。
「これから対局が増えていく時期なので、まずは体調管理に気をつけて全力を出せる状態にしていくことが第一で、そういうことはあまり考えられないです」

--将棋と離れますが、いまは夏の甲子園(全国高校野球選手権)の季節でして、福間清麗の母校の大社高校が昨日敗れたものの大活躍でした。
「大社が甲子園に出場することは母から聞いて1回戦からテレビで見ていたのですが、対局が多い中でひとつ癒しというか、感動するような試合ばかりで励みになりました」

--甲子園に見に行きたいという気持ちは。
「現実的には暑くて厳しいと思っていたのですが、もし決勝に行ったら行きたい気持ちはすごくありました。大社高校が甲子園に出ることで地元の方と連絡を取ったり、いつもと違う交流もあったので夏のいい思い出ができました」

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(場所を移して、主催者から花束贈呈)

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本局の中継は以上で終了いたします。ご覧いただきありがとうございました。

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(終局直後)

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(3連覇、通算5期、クイーン清麗の資格を得た福間香奈清麗)

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【福間香奈清麗インタビュー】

--後手番でどんな方針で指されていたのでしょうか。
「△3二飛(26手目)と回ったあとにすぐ動いていくのか。本譜の△6二金(30手目)はゆっくり戦おうという方針だったのですが、その後の判断があまりよくなかったのか、△5五歩(36手目)が重い形でした。昼食休憩明けはもう少しゆっくり指したほうがよかったと思っていて、△1五角(42手目)があまりよくなかったかもしれないです」

--ただ終盤に入ってから優勢な局面が続いたと思いますが、手ごたえを得たのはどのあたりですか。
「4七の成銀が6九金と替わって△8八金(72手目)と縛れて指しやすいかと思っていたのですが、こちらも飛車をぼろっと取られているのでもしかしてうまい対応があるのかと思っていました。△2八飛(66手目)と打った局面はどうなっているのかよくわかっていなかったです」

--勝利を確信されたのはどの手ですか。
「△5七桂(98手目)とはがしていって、勝勢になったと思いました」

--これで3勝1敗で3連覇を果たされました。シリーズ全体を振り返ってください。
「中盤でつまずくことが多くて、本局も判断がつかないまま指していたところもあったので、課題の残るシリーズだったと思います」

--通算5期で永世称号であるクイーン清麗を初めて獲得されました。そのことについてはいかがでしょうか。
「清麗戦はここ最近新たに作っていただいた棋戦で、そういったタイトルでひとつ結果を残すことができて光栄に思います

--ご自身では6つ目のクイーン称号です。
「結果が幸いしていたところもあったので、力をつけられるようにがんばりたいと思います」

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【加藤桃子女流四段インタビュー】

--先手番でどのような方針で指されたのでしょうか。
「△3二飛は予想していなかったので、一手一手対応していく感じで指していました。▲5六歩△同歩▲同金は金が離れてしまうのでやりすぎだったといまは思っていて、昼食休憩の局面は自信がなかったです。そのあと互角に戻ったと思ったところもありましたが方針を誤って、つらい時間が続いたと思っています」

--▲5六歩から守りの金を出ていったのは、第2局で守備の金銀を出ていってうまくいったイメージがあったのでしょうか。
「第2局を引きずってという意味ではなかったのですが、自分らしかったかもしれないですが、ちょっとまずかったですね」

--加藤女流四段にとって今回はどんなシリーズだったでしょうか。
「清麗戦は4時間あって、4時間という意味で4月の前くらいから課題を持っていたのですが(注:4月開幕の女流王位戦五番勝負の持ち時間も各4時間)、うまく使えたかどうかわからないです。春先よりは時間を使えたので成長したと思いますが、結果に結び付けられなかったところは自分の甘さだったかなと。女流棋戦で4時間は相当貴重なので、戦えてよかったというのはあります」

--応援しているファンの皆様に向けてひとことお願いします。
「応援してくださっている方、支えてくださった方……ちょっと待ってください。(約1分20秒、タオルで顔を覆う)すみません、本当。(さらに50秒ほど)感謝の気持ちでいっぱいなんですけど、(また1分ほど顔を覆う)ファンの方のことを思うと情けないというか、またがんばりたいなと思いますし、自分のためにもまた精一杯がんばりたいと思います」

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(応援してくれたファンへの思いを聞かれ、顔を覆う場面もあった)

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(インタビューのあと、感想戦が始まった)

Seirei202408200101_118五番勝負第4局は118手で福間清麗の勝ちとなりました。終局時刻は18時4分。消費時間は▲加藤4時間0分、△福間3時間58分(チェスクロック使用)。福間清麗が五番勝負を3勝1敗で防衛しました。清麗通算5期獲得により、クイーン清麗の資格も得ました。

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上図は8八にいた金を引いて角取りにした局面。先手は角を渡すと△1四角の王手飛車取りを狙われてしまいます。角の逃げ場も難しく、万事休すと思われましたが……。

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▲7五角△7四銀▲4三成桂△7五銀に▲3七飛成(下図)と、飛車に当てて王手飛車取りを受けました。

「これは残り時間が少なかったら焦りますよ」と立会人の長沼八段は立ち上がってモニターを見ています。

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図の△8八金で、左右挟撃形が築かれました。△7八銀を受ける▲5六角には△5七歩が追撃の一手です。

後手勝勢、福間清麗の防衛が近づいていると見られています。

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(防衛が近づいている福間清麗。写真は昼食休憩明け)

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福間清麗が踏み込みました。3三にいた飛車は取らせて、持ち駒の飛車を2八に打ちます。
舟囲い崩しには一段飛車がいいと言われていますが、本局の場合は成銀との連係を狙う2八が好位置。このあと△5七成銀~△6七銀が狙いになります。

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(研究会の帰りに立ち寄ったという、室田伊緒女流三段、石本さくら女流二段、木村朱里女流初段が控室の継ぎ盤を囲んでいる)

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54手目△5五歩のあと、おおむね予想されていた手順に進みました。

図は先手が▲4五桂の両取りをかけたところ。△3六飛と逃げるか、△4七成銀として飛車を取らせている間に寄せ切るか、調べられています。また△8五銀と角取りに打つ手もあるようです。

飛車を取らせたことが致命傷になってはいけません。福間清麗が時間を使っています。まもなく、残り時間が30分になります。

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(公益社団法人日本将棋連盟の専務理事を務める脇謙二九段が検討に加わっていた)

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図は▲5六金と歩を払った手に対し、その金頭に△5五歩とたたいた局面です。このたたきが厳しく、後手がペースを握ったと言われています。

▲5五同金と取るくらいですが、△3七成銀▲同桂△同飛成▲7四桂△同歩▲6四角が王手竜取りにならなくなっています。

△3七成銀のときに▲2四飛△同歩▲3三歩が予想されています。後手の7一銀型が見た目より堅く、先手の手駒が増えてもすぐに寄らない形をしています。

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(再開明けの加藤桃子女流四段。現在は苦しい考慮になっているようだ)

15時に対局者へのおやつが出されました。

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(フランスの伝統菓子、フロランタンが用意された。飲み物は午前と同じく、福間清麗にアイスカフェラテ、加藤女流四段に無糖の紅茶が出された)