2022年7月
終局直後
■里見香奈女流四冠
――積極的に仕掛ける格好になりましたが、序盤はどう思われていたでしょうか。
里見 攻めていく展開にはなって、具体的にどう攻めていけばいいかわからなくて、本局は途中でちょっと誤った気がします。
――昼休憩を挟んで長考になりました。うまくいっていないという感じだったのでしょうか。
里見 攻めきれると思って踏み込んだんですけど、どれもあまり思わしくなくて、本譜になったんですけど、具体的な攻めがちょっと見えなかったです。
――中盤、▲4五銀(61手目)と出たあたりはいかがでしょうか。
里見 ちょっと自信がないのかなと思っていました。
――終盤で勝ちを意識されたのはどのあたりでしょうか。
里見 ▲2四角成(89手目)と成ってこちらに詰みがないと思ったので、そこですね。
――白玲戦の挑戦も決まってスケジュールが詰まってくると思いますが、どういったことに気をつけて臨まれますか。
里見 体調管理に気をつけて一生懸命頑張りたいと思います。
――これで連勝ですが、第3局に向けて一言お願いします。
里見 自分の力が出せるように頑張りたいと思います。
■加藤桃子清麗
――序盤から受けに回る展開でしたが、本局を振り返っていかがでしたか。
加藤 歩の枚数が多いので受け止められる気がしていたのと、具体的に攻めてこられる順が私は見つけられなかったので、よい局面もあるかなと思っていたんですが、△5七銀(68手目)と打ってからは、方針がそれまでと一貫していない指し手になってしまったので……。最後は誤算がありまして、残念だったなと思います。
――△4四歩(48手目)に代えて△2五桂は考えたでしょうか。
加藤 読みはしたんですが、深く読もうと思わなかったというか、それはそれで嫌な順が私の中であったので。そのあと正確にやればもしかしたら、かもしれないですが、△4四歩でもと思ってしまったんですよね。
――五番勝負は苦しくなりましたが、第3局に向けて一言お願いします。
加藤 苦しいですけど、また納得のできる将棋が指せるように頑張りたいと思います。
挑戦者が2連勝
五番勝負第2局は里見女流四冠が勝ちました。開幕から2連勝、復位まであと1勝です。加藤清麗はカド番に追い込まれました。終局時刻は16時52分。消費時間は▲里見女流四冠3時間48分、△加藤清麗3時間3分。第3局は8月3日(水)、愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われます。
勝負術
両対局者の時間の使い方が対照的です。じっくり考える里見女流四冠に対し、加藤清麗は決断よく指し進めて、一時は消費時間に2時間以上の差がつきました。残り時間の少ない里見女流四冠ですが、▲1三角(79手目)に「さすがの勝負術です」と野月八段。次に▲2二銀△1二玉▲2四角成を狙っていますが、いきなり後手玉が詰むわけではないため、対応が悩ましいようです。先手玉には△4七歩▲同銀△1八飛という有力な攻め筋があり、攻めるか受けるかの判断に迷う状況を作り出しています。
新潟市水族館マリンピア日本海
端攻めで先制攻撃
本局は里見女流四冠の中飛車に、加藤清麗が居飛車穴熊に組んで対抗形に進みました。里見女流四冠は▲4八飛と4筋に応援を送り、▲1七桂~▲2五桂と端から桂を活用。スピード重視の積極的な姿勢で端攻めに出ています。手筋の▲1三歩(45手目)に、△同桂▲1四香△4四歩▲1三香成△同香▲同桂成△同銀▲2六香△7九角成(54手目)と進みました。
現地には日本将棋連盟常務理事の清水市代女流七段が訪れていて、控室で野月八段と継ぎ盤で検討しています。
攻め方の一例は▲4六桂△4五香▲同銀△同金▲3四桂△3三銀▲4五飛△同歩▲3一金で、こう進めば角のラインが生きて成功といえます。実戦は▲5五歩△6四金▲4四飛△4三歩▲4八飛としました。一気に攻め倒すのではなく、少しずつポイントを稼ぐ指し方です。