(勝った里見香奈清麗は2連敗からの連勝で、フルセットに持ち込んだ)
□里見清麗のインタビュー
--今日の将棋の流れについて。
里見 ずっと難しいと思っていました。途中は少し駒得で局面が落ち着き、そこは指せると思っていたのですが、そのあと崩れてしまって、自信がない局面が続きました。最後はなんとかという感じでした。
--守りを意識したような指し手が目立った。カド番である意識は。
里見 意識をしているつもりはなかったですが、途中はちぐはぐな手が続いてしまいました。基本的には局面を落ち着かせて指すつもりでしたが、それに反した手を指してしまい、そのあとは手堅くなりすぎたところもあるかもしれません。
--勝ちを意識したのは。
里見 本当に最後のあたりで、△3九飛(172手目)と打ったところです。
--第5局に向けての意気込みについて。
里見 コンディションを整えて、自分の力が出せるような状態で挑みたいです。
(敗れた加藤桃子女流三段は最終戦でタイトル奪取なるか)
■加藤女流三段のインタビュー
--今日の将棋を振り返って。
加藤 里見さんが工夫され、自分が突っ張ってしまい、解消するのが大変でした。折り合いをつけながら指していましたが、駒損の攻めで自信があるわけではなかったです。うまく局面のバランスを取ればと思いながら指していましたが、歩の数が少なかったのが響きました。そのあとはジリ貧で、馬が強力で敵玉が見えなくなってしまいました。
--持ち時間について。
加藤 自分が得する手が指したかったので、先になくなってしまったのは仕方がありません。秒読みが長かったですが、最善をあまり指せなかった気もしています。


上図で里見清麗も持ち時間を使いきりました。局面は里見清麗が優勢と見られており、勝負を決めにいった雰囲気も感じられます。五番勝負の決着は、第5局に持ち越しとなるのでしょうか。
里見清麗が加藤女流三段の手を消す指し回しを見せています。モニターに△1八馬が映ると、山崎八段は「勝負師ですね」とつぶやきました。先手の飛車回りを防ぎながら、△5五香▲4七飛△5四馬を見せて焦らせています。加藤女流三段の残り時間が少ないことを見越した指し回しともいえそうです。
上図は▲7五金と出て▲6四歩を狙った局面です。▲6四歩が入れば△7四銀▲同金△同歩に▲6三歩成が厳しい王手になります。上図から里見清麗は△6四歩と先受けして、加藤女流三段が持ち時間を使いきりました。ここからは1手60秒未満の着手となります。
時刻は17時を回り、里見清麗は△3三角と引きました。▲2三飛成を許す大胆な一手ですが、そこで△7六銀と出て攻め合いに持ち込めます。以下、▲6六金は△同角▲同角△6一飛▲1一角成△6六桂(変化図)が一例で、後手の攻めが厳しそうです。検討を進める山崎八段は「先手の飛車は受けに働いていますので、おそらく飛車は成らないでしょう」と予想しました。

加藤女流三段の攻めが続きます。上図は▲5四歩と伸ばした局面です。△同銀▲同銀△同飛▲6五金△5七飛成と竜を作られますが、▲6一銀が返し技。以下、△7一金は▲2四飛△同歩▲3五角(変化図)が、▲7一角成△同玉▲7二金までの詰めろ竜取りで、技が決まります。
実戦は△5二歩と受け、▲3六銀に△7四銀と進みました。この△7四銀で里見清麗の持ち時間が残り1時間を切りました。加藤女流三段も残り30分ほどとなっています。








14時頃の局面です。昼食休憩明け、5筋をめぐる攻防が繰り広げられています。上図は加藤女流三段が右桂を跳ねて▲5三桂右(左)成を狙った局面です。控室の検討では△5二歩や△5二金と桂成りを防ぐのは、先手が指しやすくなりそうと示されました。激しい変化として、△4五同銀右▲同銀△同銀▲同金△6六桂に(1)▲5三桂成△7八桂成▲同銀(変化図)が並べられました。
変化図の局面はすでに終盤戦。互いに玉が薄く、詰む詰まないまで読まないと踏み込めない順です。
