花束を受け取る両対局者と谷川九段。
「奥出雲は初めてです。大変楽しみにしていました。温かく迎えていただきました。本当にいいところだと思っていたのですが、立会の井上九段から『ここはアウェイやで』『敵地どないしまいまっか』と言われて温泉気分が吹き飛んでしまいました(笑)。そうだなと思ったのですが、皆様の里見倉敷藤花は進化し続けています。その里見さんと指せることはワンステップ上にのぼれる勝負だと思っています。彼女のいいところを吸収して、私にとっても実りあるタイトル戦にしたいです」
「本局開催に当たって、ご尽力いただいた皆様に心から感謝しております。そしてお忙しい中、たくさんの方に前夜祭に参加していただきありがとうございます。玉峰山荘は何度か来たことがありますが、対局者としては初めて。素晴らしい環境の中で対局が指せることは幸せだと思いました。明日は幸せな想いと、本局を開催するにあたって、ご協力をいただいた皆様に感謝しながら精一杯頑張りたいと思います」
立会人・大盤解説を務める井上九段もご挨拶。
「玉峰山荘には昨年の棋聖戦で副立会人としてきました。そのときにも思いましたが、大変すばらしいところだなと思いました。明日の倉敷藤花戦ですが、先ほど清水さんに「アウェイ」と言ってしまいましたが、清水さんは全国的にもファンが多いですし第一人者です。
明日の勝負、里見さんもタイトルホルダーとして目覚ましい活躍ですが、清水さんも絶好調で新たにタイトル奪取を目指していますので熱戦になると思います。明日の大盤解説会は井道さんとやりますので、楽しみにしてください」(井上九段)。
「清水さんは倉敷藤花戦だけでなく、女流王座戦も五番勝負に出て、対局で忙しい日々を送っています。里見さんはおとといに奨励会がありました。
里見さんは振り飛車、清水さんは居飛車となるでしょう。振り駒の結果で作戦も変わるでしょうが、本棋戦は他棋戦よりも持ち時間が短いこともあり、事前に準備して臨んでくることと思います。私も時間が合えば大盤解説会に出たいと思います。よろしくお願いします」(谷川九段)。
「里見さんとは普段から仲が良く、清水さんは尊敬する先輩で、明日はどういう将棋になるか私自身楽しみです。明日は大盤解説会の聞き手を務めます。明日もお越しいただけるとうれしく思います」(井道女流初段)。
倉敷市副市長・河田育康様がご挨拶。
「本棋戦は倉敷が生んだいまは亡き大山康晴十五世名人の名前を冠とし、倉敷の市花である藤を棋戦名とした倉敷発の女流公式タイトル戦です。1993年にスタートした本棋戦も19期を数え、全国のファンから注目される棋戦に成長しました。女流公式戦の一つとして定着したことを喜ばしく思います。倉敷藤花戦の三番勝負が倉敷と東京以外で行われるのは初めてです。新たな試みにご尽力いただいた奥出雲町の皆さんに感謝申し上げます」
日本将棋連盟専務理事・谷川浩司九段が挨拶。
「今期は里見さんと清水さんの対戦。里見さんは現在女流三冠で、新しい時代の第一人者として道を歩んでおり、奨励会の1級としても四段を目指して研鑚を重ねています。清水さんは20年以上もトップとして走っている。今期は成績がよく、倉敷以外に女流王座戦を戦っているところです。女流棋界の最高の組み合わせと言えるでしょう」
奥出雲町長の井上勝博様も主催者としてご挨拶。
「昨年は奥出雲町5周年ということで棋聖戦第1局を行いました。そういうご縁から関係者の皆様方のご尽力により、倉敷藤花戦の第1局も開催することができました。今日は出雲大社に全国の神々をお迎えする『神迎』の神事が行われています。全国から将棋の神々を迎えられたと喜んでいます」
来賓挨拶は島根県副知事の松尾秀孝様。
「将棋は日本独自の文化。県民の将棋に対する興味が高まっています。併せて、各地で将棋文化の普及や振興の機運が出始めています。昨年は棋聖戦で行われました。今年もこうして倉敷藤花戦が開催されることになりました。女流棋士のタイトル戦でも伝統と権威がある棋戦が、奥出雲で行われるのはうれしく、意義あることと思います。歴史に残る名局を期待しています」