両対局者はあいさつの後に退出し、関係者のみの会食となりました。
(北村實・大山名人記念館館長が乾杯の音頭を取った。北村さんは7月に第77回岡山県文化賞が贈られた)
(立会人の千田翔太八段と記録係の砂原奏女流2級が見どころを述べる)
(千田八段が立会人を務めるのは、今年4月の第51期女流名人戦第4局に続いて2回目)
千田八段「持ち時間が短くてスピーディーなこともありますが、勢いに乗るお二人の対局ですと、渋い手というよりは、うなるような手が多く飛び出すんじゃないかなと、私自身はワクワクしています。切れ味を伴った、ねじり合いのシリーズになるんじゃないかと期待しております。戦型は相振り飛車の可能性もありますが、伊藤さんは居飛車を多用されていますから、対抗形になるんじゃないかなと思っています。振り駒次第ですね。充実した福間さんの老獪でもある指し回しを、伊藤さんがどう乗り越えていくか、そういう戦いになるんじゃないかなと思います」
福間倉敷藤花「前期の三番勝負から8カ月ほど空いたタイトル戦になります。また伊藤さんとの対戦ということで、私自身も成長できるようなシリーズにできたらと思っております。2時間という持ち時間ですが、集中して一局一局指していきたいと思っております」
(伊藤沙恵女流四段のあいさつ)
伊藤女流四段「前期は3月頃の開催でしたので、1年たっていないなかでの再挑戦というのは不思議な感覚です。倉敷藤花戦は三番勝負ということで、始まってしまうと、あっという間に終わってしまう感覚があります。この番勝負の苦しみや楽しさを味わっていけたらなと思っております。今年も(第2局から)倉敷市に伺うことができますが、倉敷といえばフルーツが私はとても好きなので楽しみにしています。今期は例年通り11月に開催ということで、紅葉も時間があれば間を見に行ってみたいな思っております。今期は挑戦することができて非常にうれしい気持ちと、また福間さんとの対戦で厳しい戦いになるのは間違いないと思いますが、自分の力を出しきれるように一生懸命、頑張って参りたいと思います」
(書き起こし=玉響、写真=銀杏)
東京都港区「明治記念館」で関係者のみの前夜祭が開かれました。
(小松賢治・倉敷市副市長のあいさつ。小松副市長のネクタイは藤の色)
小松賢治・倉敷市副市長
「今期の倉敷藤花戦には過去最多となる78名が参加され、将棋界も今後一層、女性の活躍に期待がかかるものとなっております。本市としましても、大山康晴十五世名人の女性への将棋普及という思いが着実に実現しているということで、大変うれしく思っております。明日の対局を楽しみにしております」
(清水市代・日本将棋連盟会長のあいさつの。清水会長は倉敷藤花10期。福間倉敷藤花は通算15期なので、二人の倉敷藤花占有率は75%を超える)
清水市代・日本将棋連盟会長 「充実したお二人の三番勝負ですので、1局目からどのような戦型になるか楽しみにしています。挑戦権を獲得した伊藤女流四段のインタビューで『意識することは時間、意識しないことは勝ち負け』と印象に残る言葉がありました。時間というのは、きっと昨年の番勝負で残り時間切迫に苦しめられたことが想いになっているのかなと思いました。そして、勝ち負けを超えた先に、いい内容の将棋を指したいという気持ちの表れが近年の充実につながっているのではないかと思いました。一方、迎え撃つ福間倉敷藤花はクイーンの資格を持ち、経験も豊富です。これから将棋を目指す女性、女の子たちにとって憧れでもあると思います。そんなお二方の対局、皆様にご期待いただければと思います」
(書き起こし=玉響、写真=銀杏)
福間香奈倉敷藤花に伊藤沙恵女流四段が挑戦する大山名人杯第33期倉敷藤花戦(主催:倉敷市、倉敷市文化振興財団、山陽新聞社、日本将棋連盟)は11月5日に開幕します。第1局は東京・将棋会館の「特別対局室」で10時開始予定。持ち時間は2時間(チェスクロック形式)。昼食休憩は12時から13時です。第1局は振り駒で先後を決めます。
立会人は千田翔太八段、記録係は砂原奏女流2級が務めます。山陽新聞の新聞観戦記は渡辺弥生女流二段が担当します。
本局の中継は棋譜担当は玉響、ブログは銀杏が担当します。よろしくお願いいたします。(銀杏)
【倉敷市】
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/culture/art/1005040/1014030/1005062.html
【倉敷市文化振興財団】
https://arsk.jp/
【山陽新聞】
https://www.sanyonews.jp/
【大山名人杯第33期倉敷藤花戦三番勝負 日程】
第1局 11月5日(水) 東京都渋谷区「東京・将棋会館」
第2局 11月15日(土) 岡山県倉敷市「倉敷市芸文館」
第3局 11月16日(日) 岡山県倉敷市「倉敷市芸文館」
本局の中継は以上で終了です。ご観戦ありがとうございました。
(睡蓮)
――本日の将棋で勝ちを意識したのはどの辺りでしたか。
伊藤 ▲2五角(77手目)と桂を取ったところで、△同歩とできないのなら、かなりいいのかなと思いました。
――手応えは早い段階から感じていましたか。
伊藤 いえ、形勢がいいという感覚はなくて、一手一手、考えて指していこうという感じでした。
――2期連続での挑戦権獲得となりました。いまの率直な気持ちを聞かせてください。
伊藤 挑戦者になれたことはうれしいですが、番勝負を戦うことになったので、皆様に熱戦をお見せできるようにしなければいけないなと、気が引き締まる思いです。
――前回のタイトル戦出場である女流王位戦(今年の4月~6月)では、福間香奈女流王位を追い込む戦いができたのではないかと思いますが、そのときの経験を踏まえて、今回はどのように戦うことになるでしょうか。
伊藤 女流王位戦は、自分でもびっくりするくらい将棋に集中できて、力を出せました。倉敷藤花戦は、女流王位戦とは違って持ち時間がかなり短くて、前期の番勝負では時間切迫で苦しんだ部分もあったので、時間の面も意識して戦っていかなければいけないと思っています。
――福間香奈女流六冠と西山朋佳女流二冠でのタイトル戦が多くある状況から、中七海女流三段もタイトル戦線に加わり、女流棋界の構図が変わってくるかと思われますが、その中でどのように存在感を示していきたいとお思いですか。
伊藤 中さんが最近、女流棋士になられて、自分も対局しましたが、元奨励会三段というのは想像以上に強いなという部分もあって。その中で、自分も何とか挑戦権争いにからめるように食らいついていかなくては、という思いはあります。
――福間香奈倉敷藤花は、産休から復帰して、さらに成績がよくなっている印象を受けます。最近の福間倉敷藤花の将棋はどのように見ていますか。
伊藤 確かに、産休のブランクを感じさせない内容と結果で、さすがだなと思います。ただ、感心ばかりしていてもしょうがないので、見習って自分も前に進んでいければと思っています。
――最近は王位戦で斎藤明日斗六段を破るなど、活躍していますが、ご自身の状態についてはどのように感じていますか。
伊藤 悪くはないのかなとは思いますが、特別、絶好調という感じでもないですね。盤面に集中できている感じはあるので、それがいい方向に出たのかなと思っています。
――今期の倉敷藤花戦では、青森での対局(伊藤沙恵女流四段-田中沙紀女流1級戦を、おいらせ全国将棋祭りのプログラムの一つとして実施)もありました。
伊藤 注目される舞台で指させていただいて、ありがたかったです。2017年にも、倉敷藤花戦の対局で青森に伺ったことがありました。そのときはかなり緊張感があって、街の雰囲気も全然楽しめていないなという感覚がありましたが、今回はそのときと比べて自分の成長を感じられたというか、リラックスしていい状態で臨めているなという感覚はありました。
――最近は盤面に集中できているとのことですが、それは成長であったり、心境の変化であったり、集中できている理由は何かあるのでしょうか。
伊藤 これを勝ったら、これを負けたら、とかいうことを考えてしまっている時期もあったんですが、それは自分にとってはいいことではないなと。結果はひとまず置いておいて、いい将棋を指したいという気持ちに集中できているという感じです。
――変化のきっかけは、初タイトルである女流名人の獲得(2022年)ですか。
伊藤 そうですね、確かに。きっかけは一つではないと思うんですけど、女流名人のときは、コロナ禍だったこともあって、対局ができるということにまず感謝をして、悔いのないように臨みたいという思いがありました。最近だと、中さんが女流棋士になられて、そもそも挑戦者決定戦にも進めないということもあって。今回はせっかく挑戦者決定戦まで進むことができたので、結果はどうであれ、自分の力を出しきった将棋を指したいと思っていました。
(睡蓮)