記者会見
就位式のあと、対局者の記者会見が行われました。
(記者会見の模様)
(福間香奈倉敷藤花)
福間倉敷藤花の記者会見
―― 今日の一局を振り返って
福間 今日の将棋は序盤で早々につまずいてしまったので、組み立てや大局観がいまひとつなのかなとは思いました。△4二飛(34手目)が少し安易で、そこから苦しい将棋になってしまったと思います。途中も攻めさせられるような展開になって、ずっと苦しい将棋でした。じっとしていると、もっとジリ貧になってしまうと思ったので、強引な攻めではありますが、劣勢を意識していたので攻めていきました。
―― 午前中は劣勢だった。相手の持ち時間については、意識があったか
福間 持ち時間は意識していました。苦しいながらも、こちらは少しだけ残すぐらいに意識して指していました。
―― 形勢が逆転するきっかけとなったのは△4二角(74手目)の王手だったように感じた。そのあとの手応えは
福間 足りていないことは分かっていたので、迷ってもらえるような指し手を選んで、苦しいと思いながら指していました。正確に指されたら負ける将棋だったと思います。ただ、持ち時間の少ない中で、玉が露出した先手玉をまとめきるのは、実戦的に難しかったのかなと思います。こちらは攻めていくだけですので、心理的には少し楽だったのかもしれません。
―― 節目の10連覇を達成した。来期以降に向けた抱負について
福間 今期は産休期間があって、タイトル戦を戦えるのかどうか分からないという状況でした。出産とタイトル戦を両立させていただいたことにすごく感謝していますし、両立できたことは大変ありがたいなと思います。これからも棋力向上に努めていきたいですし、来期も倉敷に対局者として訪れることができますので、それがいちばんうれしいです。
―― 公開対局は行われず、例年とは違った状況だった
福間 今期は本当に対局できるかどうか分からないという状況の中での対局でしたので、ひとつひとつがすごくありがたいという風に感じています。
―― 春の倉敷対局の感想は
福間 おそらく初めて、春に来たと思います。気候もすごく気持ちよくて、より素敵な倉敷を味わえました。
―― 現在の勝ちっぷりについて
福間 段々と内容がいまひとつになっているのではないか、という気はしています。負けが混んでしまったときにも、自分のペースを保てるように、やっていけたらなと思っています。
―― 対局不足の解消について
福間 対局をこなしていく上で、解消できているのかなとは思います。その一方で、対策面や大局観が課題になってきますので、なるべく修正できる状態でいられたらと思います。
―― 自身の中で倉敷藤花というタイトルの位置づけは
福間 初タイトルを獲得した当時から携わっていただいている関係者の方もいらっしゃって、毎年温かく歓迎していただいております。関係者の方への感謝と、公開対局という倉敷藤花戦ならではの形でファンの皆様に将棋をお見せできる場として、特別な棋戦という思いがあります。
―― 今週末には女流名人戦も控えている
福間 まずは疲れを取って、そのあとできる限りコンディションを整えた状態で挑みたいと思います。
(伊藤沙恵女流四段)
□伊藤沙恵女流四段の記者会見
―― 一局を振り返って
伊藤 ▲4四歩(77手目)を取り込んだあたりは、まずまずの進行で迎えられているのではないかと感じていました。△8六歩(78手目)で、そもそも▲同銀なのか▲9六銀なのかという判断が難しくて、▲同銀のあとも本譜のように▲7五歩(83手目)を突いて飛車の横利きが通ってくるのが味よく見えました。ただ、△8四歩(86手目)と打たれてみると、局面が難しくなっているような感覚があったので、そのあたりでこちらにミスが出てしまったかなという印象です。△8四歩の局面で、何か正しい手が見えればバランスを保てるような気もしましたが、ちょっと手が見えませんでした。ただ、本譜の進行だと明快に△7五角と出られて厳しいです。実戦の進行は、さらにミスを重ねてしまったと思います。
―― 今期はずっと和室での対局だった。過去の番勝負との違いはあったか
伊藤 公開対局は倉敷藤花戦ならではのものです。慣れているという点では、今回のような形の方が慣れています。同じ対局室でずっと休憩中も考えることができるので、そういった意味では、集中しやすかったと思います。
―― 今期は秋から春に、開催時期が変わった
伊藤 最初のほうは少し寒かったですけど、わたしはどちらかというと寒がりなので、季節的には今期の方がなんとなく指しやすかった印象があります。
―― もうすでに、33期のトーナメントも始まった。タイトル再挑戦の意気込みは
伊藤 トーナメントが始まる段階で、すぐに挑戦というのはさすがに意識できません。強い相手ばかりですし、一局一局の積み重ねで、挑戦できるかだと思っています。
以上で第32期倉敷藤花戦三番勝負の中継を終了いたします。第33期のトーナメントは既に開幕しており、三番勝負は11月開催予定です。
ご観戦ありがとうございました。
(書き起こし=武蔵、撮影=翔)