囲み取材
感想戦終了後、優勝した上野四段が囲み取材に応じました。
── 改めて新人王になられた感想を。
上野 こうして優勝という結果を出せてうれしく思います。
── 新人王戦は「一流棋士への登竜門」と言われていますが、今度の抱負を。
上野 これからいろんな棋戦に出場していくので、ほかの棋戦でも活躍できるように頑張っていきたいと思っています。
── デビューから丸1ヵ月で優勝でした。
上野 プロデビューをいい形で始められたので、よかったなと思います。
── 師匠の井上慶太九段と、その師匠の若松政和八段、兄弟子の菅井竜也八段と師弟3世代で新人王になられていますが。
上野 若手の登竜門と言われる新人王戦なので、優勝したいという気持ちは強かったです。
── 先日のインタビューで「逆転のドラマがあるのが将棋の楽しさ」とおっしゃっていましたが、今日の将棋は。
上野 今日の将棋はずっと苦しかったので、最後は本当に運がよかったという感じなのですが、やっぱり将棋の魅力は終盤で逆転が起きるというところが面白いと思います。
── 師匠の井上九段から何かお言葉はありましたか。
上野 「おめでとう」の言葉があって、最後▲8四金(101手目)がよかったと。
── 新人王になると記念対局があります。もし、藤井聡太竜王・名人が相手になったら。
上野 いま藤井先生と戦うことは難しいので、教えていただける機会があればすごく光栄ですし、その時間を有意義なものにするためにも、しっかり準備をして力を出しきりたいと思います。
── 藤井竜王・名人とは1歳違いですが、どういう存在ですか。
上野 (藤井竜王・名人が)1つ年上なのですが、遠い存在に思っています。
── 藤本四段とは切磋琢磨してきた間柄。自分と違う点は。
上野 藤本さんはAI研究というよりは、力戦の将棋を指される感じで、特に終盤が強いイメージがあります。研究会とかで指して吸収する場合もありますし、同門ということで意識する部分はあります。お互いに手のうちは分かっているので、やりにくさではなく、やり甲斐のほうがありました。
── 第3局の開始前の心境は。
上野 振り駒まで終わるまで先後が分からなかったので、先手に決まってからは「矢倉でいこう」と考えていました。
── 途中まで第1局と同じ進行でしたが。
上野 そうですね、第1局と同じ形の可能性もあるかなと思っていました。今回は自分から変化したのですが、別でやってみたい形があったので、それを目指してみました。
── 「負けを覚悟した」というのは自分の玉に詰みあると分かっていた、ということですか。
上野 いえ、そこまでは分かっていなくて、終盤ずっと苦しかったので「ダメかな」と思っていました。
── そのあと、自分に勝ちの手番がきたときの心境は。
上野 最後、相手の玉が詰むか際どいと思っていて、詰みを発見したときはびっくりしました。
── 今回の優勝をお伝えしたい人はいますか。
上野 両親には伝えたいと思っています。
── ご自身の将棋のどういった部分を見てほしいか。
上野 序盤、中盤、終盤でどこが得意というのはないのですが、筋のいい将棋をお見せできればと思っています。
以上で第54期新人王戦決勝三番勝負の中継を終了いたします。第55期の新人王は誰になるのかお楽しみに。本日はご観戦ありがとうございました。
(夏芽)