予断を許さない勝負
図は16時頃の局面。控室では当初▲7二銀が予想されていました。対して(1)△9三飛なら▲6六角△6五桂▲8五桂△9二飛▲8三銀不成(下図)で先手好調と見られていました。
しかし、飛車を見捨てて(2)△5四銀の強手がありました。以下▲8三銀成△5五銀▲7三成銀に△4六銀(下図)で後手優勢と結論。従って▲7二銀は成立しないとされました。
62手目の図に戻って、増田六段が選んだのは▲2九飛と引く手。この手も控室で検討されていましたが、△5四銀で後手好調と見られていました。実戦も△5四銀と進み、以下▲4六角のぶつけに△2三歩が味のいい手です。先手は▲3五歩と突きましたが、△4五銀▲5五角△4四銀(下図)で後手好調というのが控室の見解でした。
ただ、実際にそこまで進んでみると、△4四銀に▲6六角や▲8八角と引いておけば、次に▲4六歩と修復する手を見て、後手も忙しいと見解が変わっています。指し手が進むごとに検討陣の見解も変わる難解な将棋。両者ともに力を出しており、形勢は予断を許しません。
(八雲)