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2010年10月

2010年10月22日 (金)

上野裕和五段

昼食休憩中、控え室に理事の上野裕和五段が姿を見せた。「加來さんとは奨励会の時期がほとんどかぶっていて、三段に上がった時期がほとんど一緒でした。当時から先手でも後手でも右玉ばかりやっていましたね」と、奨励会時代の思い出を語った。

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(上野五段)

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昼食休憩時の対局室

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(阿部四段の王将。「静山(せいざん)作」と駒師の名が彫られている)

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(加來アマの玉将。駒の書体は「錦旗(きんき)」)

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(特別対局室に置かれている時計)

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昼食休憩に入る。再開は13時より

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12時10分、この局面で加來アマが19分考えて昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲阿部42分、△加來1時間6分。昼食の注文は両対局者ともになし。対局は13時に再開される。

「▲7八金と締まって、先手としては一安心でしょう。先手を持ちたいという棋士は多いと思いますが、ここから加來ワールドが展開されていくと思います。後手としても動きづらいので、まだ駒組みが続きそうです。私はこれからUst中継準備のため連盟に向かいます」(西尾五段)

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阿部四段、穴熊を目指す。加來アマはどう対応するか

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図は11時50分頃の局面。阿部四段が▲7八金と引き締め、離れ駒をなくしたところだ。これは次に▲9八香から穴熊へ組むつもり。解説チャットの西尾五段は、「簡単に穴熊に組まれては作戦負けになります」と話す。先手が無事穴熊に組めるかどうかが、序盤のポイントのひとつになりそうだ。

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(11時50分頃の対局室。阿部四段が心もち前かがみになってきている)

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広瀬章人王位

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(11時30分頃、前期新人王、広瀬章人王位が控え室に現れた)

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島朗九段

11時10分頃、控え室に対局中の島朗九段が現れた。島九段は今期新人王戦第2局で立会人を務めている。モニタを見て、「やっぱり普通の形じゃないんですねえ」とうれしそうに話す。

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西尾五段の解説

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「△6ニ銀は加來さんらしい駒組み。素直に美濃囲いに組むタイプではないです。阿部四段としては▲5六銀には△5四歩で対応されてしまうので、どこで▲6六歩を突くか。ただ▲6六歩と突くと△2四歩からの逆襲の筋が生じるので、注意しておく必要があります。28手目△5二金(下図)に、▲7七角から場合によっては穴熊を目指す構想もありそうです」(西尾五段)
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上図の△5二金まで、消費時間は▲阿部19分、△加來23分。

「加來さんは早指しなので、阿部四段としては時間の使い方も気を付ける必要がありそうです。終盤に持ち時間に差があると慌てますからね。私の奨励会時代に、持ち時間がなく加來さんの軍門に下った奨励会員を何人も見ています(笑)」(西尾五段)

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駒組みが進む

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図は10時55分頃の局面。互いに陣形の整備を進めている。加來アマは通常の「美濃囲い」ではなく、バランス重視の駒運び。「右玉(みぎぎょく)」風味の駒組みだ。対する阿部四段は玉をどう囲っていくのか。序盤の段階だが、2筋や4筋に争点ができているため、いつ戦いになってもおかしくない。

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(カメラによる、10時55分頃の対局室の様子)

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戦型はまたも力戦調。加來アマの「阪田流向かい飛車」に

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注目される本局の戦型は、「一手損角換わり」模様の出だしから加來アマが△3三角(図)と上がった。以下▲3三同角成△同金と進む。これは「阪田流向かい飛車」に分類されるオープニングで、後手が△2二飛と飛車を振れば作戦が明らかになる。本局の進行は△3三同金以下、▲6八玉△4四角▲8八角△2二飛(下図)。
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こうして戦型は加來アマの阪田流向かい飛車に。この戦型は舗装された定跡が少なく、第1局、第2局と同じように力戦調の戦いになりそうだ。後手の狙いとして、△2四歩▲同歩△同金の飛車先逆襲がある。先手はこれに気をつけつつ、駒組みを進めることになる。

「△4四角はあまり見ないですね。▲8八角を打たすことによって先手の穴熊を牽制する意味もありそうです。先手から▲4四角と取ると△同歩で1手損になりますが、△2四歩▲同歩△同金のときに4三の地点があいていると▲2三歩△同飛▲3二角の筋が生じます。先手としては▲4六歩から▲4七銀として後手の4四角にプレッシャーを掛けていきたい。ただ、▲4七銀と上がったときに銀が飛車から離れるので、△2四歩からの逆襲を気にしておかないといけません」(西尾五段)

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立会人の深浦康市九段

本局の立会人は深浦康市九段。「新人王戦は準優勝だったので……。第1局の方々が優勝者ばかりだったので申し訳ないです」と話した。深浦九段は第26期の新人王戦で決勝に進んでいる。

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(モニタを見る深浦九段)

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