2021年9月23日 (木)

オークラ東京は1962年に開業しました。日本を代表する伝統のホテルです。「帝国ホテル 東京」「ホテルニューオータニ」と並び「御三家」とも呼ばれています。2019年には、竣工から50年が経過した本館の改装工事が行われました。施工は大成建設が担っています。

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Dsc_0721 (広々としたエントランス)

Dsc_0723 (マスク越しにも植物のいい香りが感じられた)

Dsc_0714(対局室は41階(最上階)。写真の右上の辺りで指されている)

Dsc_0698(ロビーには立派な生け花が飾られてある。季節によって変わるとのことだ)

Dsc_0700 Dsc_0711(ロビーにはくつろげるスペースが多い。テレワークにも活用できる)

Dsc_0707(和風のシャンデリアと開放感のある吹き抜けが特徴。上から見下ろしたときに椅子が梅の花に見えるようにイメージして作られたそうだ)

10時のおやつです。里見香清麗が「ジンジャーエール」、加藤桃女流三段が「シャインマスカットショートケーキ、アイスティー」を注文しました。


シャインマスカットショートケーキは奈良県産のシャインマスカットを使用し、シロップにはエルダーフラワーのシロップを使っています。飾りに一粒とスライスしたマスカットをジュレで固めたデコレーションを施し瑞々しさを演出しています。こちらは12時に提供されます。

Dsc_0681(ジンジャーエール)

Dsc_0689(アイスティー)

Dsc_0729(シャインマスカットショートケーキ)

両者の対戦成績は里見香清麗の23勝6敗です。現在、里見香清麗が14連勝中。本棋戦で当たるのは初です。
初手合いは約10年前の2011年でした。当時の里見香清麗はすでに女流三冠(女流名人、女流王将、倉敷藤花)を保持し、女流棋界を代表する存在でした。一方の加藤桃女流三段は奨励会に在籍しながら初代女流王座に就いており、若手のホープでした。
以下に過去のタイトル戦の戦績を記します。

第3期リコー杯女流王座戦五番勝負(2013年度)
○里見香3-1加藤桃●

第7期マイナビ女子オープン五番勝負(2014年度)
●里見香1-3加藤桃○

第6期リコー杯女流王座戦五番勝負(2016年度)
○里見香3-0加藤桃●

第7期リコー杯女流王座戦五番勝負(2017年度)
○里見香3-2加藤桃●

第40期女流王将戦三番勝負(2018年度)
○里見香2-0加藤桃●

第31期女流王位戦五番勝負(2020年度)
○里見香3-0加藤桃●

第47期女流名人戦五番勝負(2020年度)
○里見香3-0加藤桃●

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里見香清麗の5筋位取り中飛車に、加藤桃女流三段が居飛車穴熊で対抗し、戦型が決まりました。両者とも想定していた展開なのか、指し手が早いです。

20210923389時40分の局面です。先手は5六にいた銀を4七に引きました。5八飛を動かし、▲5八金左とすればダイヤモンド美濃が完成します。後手は△3二金とすれば「松尾流穴熊」と呼ばれる強固な穴熊になります。がっぷり四つの戦いになりそうです。

Dsc_0522001 (対局日前日、戦型予想のインタビューに答える佐藤天九段。女流棋士の将棋もしっかりチェックしているようで、詳細な見解をうかがえた)

Dsc_0525001(佐藤天九段の戦型予想は棋譜中継の8手目コメントをご参照ください)

Dsc_0541(本日の東京都は晴れ)

Dsc_0544(朝の対局室)

Dsc_0556(8時43分、里見香清麗が入室)

Dsc_0559(日本将棋連盟会長・佐藤康光九段、佐藤天九段、清水女流七段らが見守る)

Dsc_0573(8時50分、加藤桃女流三段が入室)

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Dsc_0585(両対局がそろった)

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Dsc_0618(振り駒は矢口則彦・大成建設株式会社代表取締役副社長執行役員が務めた)

Dsc_0619(歩が3枚。練習では駒が立ったので、振り直しの場合の確認もされていたが、1回で終了した)

Dsc_0653(里見香清麗)

Dsc_0661 (加藤桃女流三段)

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定刻の9時に対局が開始されました。

本局の模様はABEMAで生中継されます(要プレミアム会員登録)。
8時30分に開始。解説は田村康介七段、佐藤和俊七段。聞き手は山根ことみ女流二段、和田あき女流初段です。

【第3期大成建設杯清麗戦五番勝負第1局里見香奈清麗対加藤桃子女流三段】
https://abema.tv/payperview/BFkmfyEahGwGDD

また、日本将棋連盟モバイル中継でも動画配信がございます。
8時45分頃より開始。対象は下記となります。

■Android・月550円の定期購読会員・バージョンV6.50以上

■iOS・定期購読会員・バージョンがV6.40以上

該当棋譜を押し、右上の「menu」ボタンを押して、下に表示される「動画実験」を押してお楽しみください。

2021年9月22日 (水)

Dsc_0462 (対局室は41階。西日が強く差している)Dsc_0467001

Dsc_0457 (対局室から見える外の景色)

Dsc_0471001(両対局者、立会人の佐藤天九段、記録係の野田澤女流初段、日本将棋連盟常務理事の清水市代女流七段が着座)

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Dsc_0478(里見香奈清麗)

Dsc_0481001(加藤桃子女流三段)

Dsc_0493(西日に対してどうするか話し合われた)

Dsc_0495001 (カーテンを閉めて照明を付ける)

Dsc_0494(対局当日は昼食休憩時、里見香清麗側にカーテンを閉める措置が取られた。照明は問題なし。里見香清麗は緑茶をウーロン茶に変更、加藤桃女流三段は水を3本注文した)

Dsc_0509(検分は20分ほどで終了した)

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以上で本日のブログ更新は終了します。明日もどうぞよろしくお願いいたします。

いよいよ第3期大成建設杯清麗戦五番勝負が開幕します。3連覇を目指す里見香奈清麗に挑むのは加藤桃子女流三段。第1局の舞台は東京都港区「ホテルオークラ東京」で行われます。9月23日(木・祝)、9時に対局開始。持ち時間は各4時間(チェスクロック使用)。使い切ると一手60秒未満の着手となります。開幕局ということで先後は振り駒で決定します。12時から13時まで昼食休憩。夕食休憩はありません。
立会人は佐藤天彦九段、記録係は野田澤彩乃女流初段が務めます。
本局の中継は、棋譜コメントを紋蛇、ブログを生姜が担当します。どうぞよろしくお願いいたします。
※新型コロナウィルス感染防止のため、全局を通じて前夜祭・大盤解説会等は開催いたしません。

【大成建設】
https://www.taisei.co.jp/

【第3期 大成建設杯清麗戦 五番勝負について】
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210915_8464.html

2021年7月14日 (水)

第3期大成建設杯清麗戦五番勝負
里見香奈清麗-加藤桃子女流三段戦
第1局 9月23日 東京都港区「ホテルオークラ東京」
第2局 10月13日 東京都千代田区「ホテルニューオータニ」
第3局 10月26日 宮城県仙台市「仙台ロイヤルパークホテル」
第4局 11月9日 大阪府大阪市「関西将棋会館」
第5局 11月17日 東京都渋谷区「東京・将棋会館」

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挑戦者決定戦のブログ更新は、以上で終了いたします。ご観戦ありがとうございました。
五番勝負をお楽しみに。

Dsc_0192(感想戦後、加藤女流三段は囲み取材に応じました)

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――あらためて現在のお気持ちをお聞かせください。

加藤「挑戦者になることができてうれしいです。女流名人戦以来で久しぶりの挑戦でうれしい気持ちが強いです」

――里見清麗への挑戦になります。

加藤「里見さんと盤を挟むのは光栄と思っていますが、最近の負けっぷりが情けないです。いつも話していると思いますが、今回こそ勝ちたいという気持ちが強いです。(里見さんに挑戦した)前回の自分よりも必死に勉強して、里見さんも必死に勉強されていると思いますが、頑張りたいです」

――清麗戦の印象はいかがでしょうか。

加藤「本戦に出るまでがすごく大変な印象です。前回は早々に負けてしまいましたし、今回も予選の1回戦で負けて、あとがない状況でした。それでも、1敗までは大丈夫ということで勝ち上がれて幸運でした。それに本戦からも強敵ぞろいで勝ち上がるのが過酷なトーナメントだと思っています。また、清麗戦は華やかなイメージがありまして、いまは大変な状況ですが、タイトル戦もいいところで開催されると思うので楽しみにしています」

――清麗戦での調子はいかがでしたか。

加藤「予選1回戦の将棋は、なぜ負けたかわからないモヤモヤした感情がありました。気持ちを切り替えて一歩ずつ積み重ねてこられたので、欲がなかったのが調子を上向かせてくれたのかなと思います」

――挑戦者決定戦の舞台で鈴木環那女流三段との対戦でした。近しい存在だと思いますが、指されてどうでしたか。

加藤「鈴木さんとは10年くらい前から島(朗九段)先生の研究会でご一緒にさせていただいていたり、仕事でもお世話になったりしています。その先輩と盤を挟めて楽しみな気持ちがありました。
そして、YouTubeチャンネルでタイトル挑戦への道をやっていて、鈴木さんがドンドン強くなっているのは目に見えてわかっていたので、乗りに乗っている強敵がきたと思っていて、今日のことを思いつめていたり、勉強しようというモチベーションになったり、とても刺激になった対戦相手でした」


――4月に女流名人戦で鈴木さんに敗れました。それが糧になった部分はありましたか。

加藤「そうですね。敗戦を喫して、そのときに課題が見えたので、早くに改善しなくてはという気持ちがありました。得意戦法の雁木への対策を必死に研究して挑みました」

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――西山さんが今年4月に転向されて、女流棋界全体が変化すると思いますが、加藤さんはどのように受け止めましたか。

加藤「4月に西山さんが女流棋士になられるということで驚きました。これから女流棋戦で戦っていくということで、実際、ほかの棋戦で対戦しました。西山さんはタイトルを取られていて、相当の実績を重ねていますが、これから対戦が増えていくと思うので楽しみにしています。西山さんが女流棋界に入ることで、頑張ろうという気持ちになったことでモチベーションが高まって倒そうという気持ちになった。私にとってはいいことと受け止めました」

――今日の将棋は互いに工夫された将棋だったと思います。加藤さんから仕掛けていったが、そういう一環だったのでしょうか。

加藤「▲3六歩(23手目)を早く突くのは前局の中井戦でもあったので、そういう将棋を指したいのだろうと想定しながら指していました。▲1六歩(25手目)が私はちゃんと調べておらず困ったのですが、鈴木さんが急戦策を取られて戦いになりそうだったので、早めの攻撃態勢を取ろうと考えました」

――作戦はうまくいきましたか。

加藤「△6五歩(30手目)と仕掛けたのがうまくいったかわからないです。1手待つ手も考えましたが、類似形と形が違うので葛藤がありました。調べてみないとわかりません。

――感想戦を踏まえて、中終盤はどのあたりがポイントでしたか。

加藤「▲8四角(35手目)△7二金▲7七桂に△4四歩が最善かどうかが気になります。△5四銀は元気がないけど、そのほうがよかったか、あるいは△6六歩と攻め合うのがよかったのか。△4四歩は中間ですが、このあたりをあらためて調べてみたいです」

――激しい短手数の将棋でした。どのあたりで手応えをつかみましたか。

加藤「難しいながらも△4五桂(44手目)と跳ねたあたりですごく忙しくなるので、決着をつけにいった手ですが、△4六歩(48手目)と突きだしたあたりで速度計算の展開になります。自分を信じていければ勝てそうかなという気持ちでいました」

――それが結実したのが△9五角(56手目)の王手あたりになるのでしょうか。単純な王手なので、確信がないと打ちにくいと思います。

加藤「その前の▲5五馬(55手目)はあまり読みにはありませんでした。△9五角を打つには時間は早かったと思いますが、相手の駒を使わせて、自玉を安全にして読みやすくなりました」

――里見さんがタイトル4つ、西山さんが3つで持ち合っています。加藤さんはこれまでタイトルを取ってきましたが、現在無冠です。タイトルへの思いはどのようなものでしょうか。

加藤「タイトルがないのはさみしいです。タイトルは持つべき人が持つものだと思いますが、いままであったものがなくなって、そのあとに取れていないのはさみしいというか悔しい状況なので、なんとか奪取したいという気持ちが強いです。里見さんといい将棋を指しつつも、欲を出して取りにいきたい気持ちがあります」

Dsc_0201(取材の最後にマスクを外して撮影に応じてくれました)

(囲み取材書き起こし=銀杏、撮影=吟)