終局直後
(終局直後)
(2年連続、4期目の清麗に就いた里見香奈清麗)
(インタビューに答える里見香奈清麗)
【里見香奈清麗インタビュー】
--序盤に相手から角交換される展開でしたが、昼食休憩(49手目▲2六銀)あたりまでは局面をどのようにとらえていましたか。
「位を取っているのですが、低い形で動かれているので難しいと思っていました」
--△2八歩(54手目)から流れをつかんだかと思いますが、そのあたりはどう思っていましたか。
「読み切れていたわけではないですが、自然に動いていった感じです」
--手ごたえをつかんだのはどのあたりですか。
「△2五桂(64手目)と跳ねて攻めに専念できる形になったので、そのあたりは指しやすいと思っていました」
--勝ちを意識したのはどのあたりでしょうか。
「最後のあたりです。こちらがあまりいい形ではないので、着実に、慎重に指していました」
--ここまで3局は先手が勝っていて、初めて後手で勝って防衛となりました。今シリーズ全体を振り返っていかがでしょうか。
「力戦で一手一手考えていく将棋が多くて、やっていて充実感がありました」
--来期防衛したら通算5期となりますが、このことについてはいかがですか。
「近年、大型棋戦をたくさん作っていただいてうれしいことではあるので、自分自身にできる力をつけていきたいと思います」
(敗れた西山朋佳女流三冠)
【西山朋佳女流三冠】
--午前の序盤戦はどのように考えて指されていたのでしょうか。
「膠着状態ではあったので、どうやって手をつくっていこうかと苦心していました」
--検討では西山さんが軽快に攻めているという声もありましたが、どのように思われていましたか。
「うーん、思っていたよりひどかったので、普通に(53手目▲3四銀に代えて)▲3二角と打って戦うのがよかったかなと思います。もう少し左辺での戦いにすべきだったかもしれないです。
--はっきりとつらいと思われたのはどのあたりですか。
「早々に誤算があったので、ずっと苦しかったです」
--2局続いて持ち時間を余らせて投了してしまうことになりましたが、早めの誤算が影響していますか。
「大舞台ということを考えると申し訳ないことをしてしまいました」
--シリーズ全体を振り返っていただけますか。
「途中でぽっきりいってしまう将棋が多かったので、力が足りなかったかと思います」
里見清麗、防衛を決める
第5期大成建設杯清麗戦五番勝負第4局は、里見清麗の勝ちとなりました。終局時刻は16時4分。消費時間は▲西山3時間16分、△里見2時間46分(持ち時間各4時間、チェスクロック使用、切れたら1手60秒未満の着手)。
本局の結果により、シリーズ成績3勝1敗で里見清麗が防衛を決めました。
防衛間近
後手優勢
15時のおやつ
苦心の受け
痛打なのか
午後に入り、里見清麗が動きました。△2八歩と打って玉の位置を変えようとしています。
▲2八同玉には△6六歩▲同銀△2六歩▲同歩△同飛(王手銀取り)▲2七歩△6六飛▲6七歩で飛車の行き場がなくなりますが、以下△7五銀(飛車を逃げると△7六飛で飛車が生還)▲6六歩△8六銀(下・参考図)で銀得の後手が優位に立ちます。
△2八歩と打たずに△6六歩▲同銀△2六歩▲同歩△同飛と進めると▲3五角(下・参考図)が王手飛車取りになります。
そのため、控室では△8二玉▲3三銀不成に△6六歩(下・参考図)と進めるのではないかと言われていました。
これだと先手も桂馬を取れているので戦えます。本譜の△2八歩は、△2六同飛が王手になるようにした工夫です。
控室の検討では適当な対応が見つかっていません。この△2八歩が痛打になっているのでしょうか。
(踏み込んだ里見香奈清麗)
(本日の関西将棋会館全体の対局立会人を務める藤原直哉七段が控室に来訪。「▲3四銀(53手目)では▲2六銀と引いて受けに回ると思っていました」と話す)