2024年5月31日 (金)

12時40分になり、対局が再開されました。少しして、西山女流三冠が△5六歩と歩を突き捨てて、先手陣を乱そうとしています。

Dsc_2494(対局再開から数十秒して△5六歩を着手)

Dsc_2480 (西山女流三冠は12時15分ごろ、加藤女流四段は12時30分ごろに対局室に戻った)

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図の57手目▲3五歩の局面で西山女流三冠が9分使ったところで12時となり、昼食休憩に入りました。消費時間は☗加藤47分、☖西山1時間12分。対局は12時40分再開です。
昼食の出前注文は、加藤女流四段が「月替わりB定食=鶏肉と厚揚げの塩胡麻炒め(ご飯少なめ)」(紫金飯店)。西山女流三冠は「肉豆腐弁当(山椒・きのこ)」(鳩やぐら)でした。

Dsc_2408001 (加藤女流四段の昼食)

Dsc_2421001 (西山女流三冠の昼食。写真はいずれも撮影用に注文したもの)

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図は42手目△5五歩の局面。もう少し駒組みが続くかと思われましたが、11時28分に加藤女流四段は▲3一角を決断。△3二飛ですぐに角を取られてしまいますが、▲5三角成△同金に▲2四歩△同歩▲同飛として2筋突破を目指す狙いです。
西山女流三冠としても、角銀交換で駒得なので大丈夫とみて駒組みしていたところです。午前中から盤上に火花が散る激しい展開になりました。

Dsc_2370 (決断の仕掛けに出た加藤女流四段)

両者の女流棋戦の対戦成績は、西山女流三冠12勝、加藤女流四段10勝です(奨励会時代の対戦も含む)。
すべて西山女流三冠の振り飛車、加藤女流四段の居飛車の対抗形です。その中でも西山女流三冠が先手の場合は中飛車、後手のときは三間飛車が多いです。本局も西山女流三冠の三間飛車となりました。
前期の挑戦者決定戦、今期の予選トーナメント決勝戦はいずれも西山女流三冠の先手となり、中飛車を採用しています。
ここ3年で4回の対戦があり、すべて先手側が勝っている(西山、加藤とも2勝ずつ)のは面白いところ。
【2023年5月22日 第5期大成建設杯清麗戦挑戦者決定戦 西山朋佳女流三冠 対 加藤桃子女流三段】
http://live.shogi.or.jp/seirei/kifu/5/seirei202305220101.html

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加藤女流四段の先手で始まった本局は、▲2六歩△3四歩▲4八銀の出だしで始まりました。振り飛車党相手によく指しています。対して西山女流三冠は△3二飛(上図)と三間飛車に構え、その後に角交換する展開になりました(下図)。
角交換振り飛車は角の打ち込みに気をつけながら駒組みする必要があります。双方の構想が問われます。

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Dsc_2358 (対局前に扇子であおぐ加藤女流四段。昨晩から雨が降って、湿度が高かった)

Dsc_2310 (西山女流三冠は9時40分ごろには対局準備を終えていた。その数分後に加藤女流四段が席に着いた)

Dsc_2333001 (駒を並べる両対局者)

Dsc_2344 (振り駒の様子。と金が3枚出て、加藤女流四段の先手に決まった)

振り駒はと金が3枚で、加藤女流四段の先手に決まりました。初手から▲2六歩△3四歩▲4八銀△3二飛と西山女流三冠が三間飛車を用いました。

Dsc_2374001_2 (初手を指す加藤桃子女流四段)

Dsc_2377001_2 (後手番となった西山朋佳女流三冠)

Dsc_2382 (西山女流三冠の三間飛車、加藤女流四段の居飛車で対局は進んだ)

福間香奈清麗への挑戦を目指す大成建設杯第6期清麗戦挑戦者決定戦の西山朋佳女流三冠―加藤桃子女流四段戦は、5月31日に東京・将棋会館の「特別対局室」で指されます。前期の挑戦者決定戦と同じ対戦カードになりました。先後は西山女流三冠の振り歩先による振り駒で決めます。
本局の中継の棋譜・コメント入力は紋蛇、ブログは銀杏が担当します。よろしくお願いいたします。
【大成建設】
https://www.taisei.co.jp/
【大成建設杯清麗戦 | 大成建設株式会社】
https://www.taisei.co.jp/corp/society/seirei/

2023年8月23日 (水)

感想戦のあと、里見香奈清麗の防衛記者会見が行われました。

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(主催社の大成建設株式会社から花束が贈られた)

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(花束贈呈のあと、記者会見が行われた)

--第1局から第3局は先手が勝っていて、後手番での戦い方が大切なのかなと思いましたが、本局ではどのような対策をされたのでしょうか。
「第2局では終盤に1手で崩れてしまい、もったいない将棋にしてしまったので、第2局と同じような将棋にするか迷いましたが、新しい形に挑むことにしました。一手一手考えて作り上げていく将棋にしたかったです。同じ角交換の将棋ではあるのですが、全く異なる形になったので、力戦形になったと思います。考えている時間は難しくて苦しかったけど、充実していました」

--大阪のなんば(センタラグランドホテル大阪)という、新しい対局場もあったシリーズでしたが、振り返ってください。
「第3局は今年オープンしたホテルで対局させていただいて、なかなか最近の女流棋戦では大阪対局がほぼなかったので、関西所属の女流棋士としてはうれしく、励みになりました。第1局から第3局までいろいろなところで対局させていただいて、細かい部分まで大成建設さまにお気遣いいただいて盤上に集中することができました。本局は慣れた関西将棋会館で集中して指せました」

--その慣れた関西将棋会館が大阪府高槻市に移りますが、新会館を盛り上げられればという思いがあるのでしょうか。
「はい、高槻は市長さんが将棋にご理解ある方ですし、大変楽しみにしています」

--これからも今期の挑戦者である西山朋佳女流三冠との戦いが続くと思いますが、西山女流三冠の印象を教えてください。
「西山さんとは昨年すごく対局数が多くて、今年も清麗戦の五番勝負があって対局数がこれからも増えていくと思います。毎局新しい局面で、読みの違いを感じることもあって新鮮さがあります」

--5期中4期獲得というのは圧倒的な成績かと思います。第1期から清麗戦を戦ってきた印象、来期に向けた意気込みをお聞かせください。
「清麗戦ができた当初は、大型の女流棋戦を作っていただいて大変うれしい気持ちがありました。それからはコロナ禍でタイトル戦を行うにあたって難しい時期だったと思いますが、その中で主催の方々には対局前後も気をつかっていただいて、集中できる環境を整えていただきました。それが力になって対局できるところもあります。来期も頑張ります」

--全4局の中で印象に残った場面はありますか。
「やっぱり第2局で負けた将棋がパッと浮かびます。やや苦しい局面から難しくなって、そこで残り時間があるにもかからわずパッと指した手が大悪手で一方的になってしまったので、そこが悔やまれるところであり、シリーズを通して自分の弱さが見えたので修正していきたいです」

--霧島酒造杯女流王将戦での挑戦の可能性はなくなりましたが(注:本戦トーナメント準々決勝で敗退)、岡田美術館杯女流名人戦やマイナビ女子オープンでは挑戦の可能性があり、八冠は難しくても七冠の可能性はあります。周囲の期待もあるのではないでしょうか。
「光栄なことにそう言っていただくことはあって、そういう声が励みになっているところはあります。でも継続的に勝ち続ける大変さは実感していて、まだまだ力不足です」

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既報の通り、大成建設杯第5期清麗戦は里見香奈清麗が3勝1敗で防衛しました(2期連続4期目)。

以上で今期の中継を終了いたします。第6期にもどうぞご期待ください。ご観戦ありがとうございました。