◆西山 朋佳(にしやま ともか)女流四冠(白玲・女王・女流名人・女流王将)◆
・1995年6月27日生まれ、大阪府大阪狭山市出身。
・伊藤博文七段門下。2021年、女流三段。2023年、女流五段。女流棋士番号は73。
・タイトル戦登場は23回。獲得は白玲2期、女王6期(永世女王)、女流王座2期、女流名人1期、女流王将4期の計15期。
今期は初戦から和田はな女流1級、船戸陽子女流三段(LPSA所属)、水町みゆ女流初段、内山あや女流初段、上田初美女流四段を破って挑戦者決定戦に進出し、加藤結李愛女流初段に勝って2期連続で挑戦者に名乗りを挙げました。
先月にはヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負で、里見倉敷藤花から白玲の座を奪い、4つ目のタイトルを獲得しました。その勢いのまま、倉敷藤花の座も奪取となるでしょうか。
(武蔵)
◆里見 香奈(さとみ かな)倉敷藤花(清麗・女流王座・女流王位)◆
・1992年3月2日生まれ、島根県出雲市出身。森けい二九段門下。
・2004年、女流2級。2020年、女流六段。女流棋士番号は33。
・タイトル戦登場は70回。獲得は白玲1期、清麗4期、女王1期、女流王座6期(クイーン王座)、女流名人12期(クイーン名人)、女流王位9期(クイーン王位)、女流王将8期(クイーン王将)、倉敷藤花13期(クイーン倉敷藤花)の計54期。
里見倉敷藤花は、2008年に獲得した倉敷藤花が自身初となるタイトルでした。2012年には通算5期獲得タイトルを保持した称号の「クイーン」を得ました。クイーン倉敷藤花資格保持者は本対局まで、清水市代女流七段と里見倉敷藤花の2名のみです。その翌年には甲斐智美女流王位の挑戦を受けてタイトル失冠となりますが、2015年に再びタイトルを奪うと、今期まで8連覇を達成しています(肩書は当時のもの)。
(武蔵)
両対局者が退室したあと、長谷川女流二段の司会進行で、中田八段と山崎八段が、対局の見どころについて解説しました。
(左から、山崎隆之八段、中田功八段、長谷川優貴女流二段)
――倉敷市について。
中田八段「大山先生の門下になったのが、44年前です。倉敷はきれいな街だな、ここに住みたいなと、子供ながらに思った印象があります」
山崎八段「子供のころから将棋中心の生活だったので、家族旅行がそんなに多くはないのですが、倉敷にいった思い出が強いです。きれいな街で楽しかったように記憶しています」
――両者の棋風について。
中田八段「どちらも得意なスタイルが一緒なんですよ。ふたりが戦ったらいつも力戦型なので、見ごたえがありますよ」
山崎八段「里見倉敷藤花は、十代の頃はとても攻め将棋でした。しかし、奨励会に入ってパンチ力よりも安定力が必要と考えられたのか、受け重視の手厚い将棋に変わりました。そして、いまはまた本来の姿に戻られています。西山挑戦者は力強いストレートパンチを繰り出す棋風で、みんなから『剛腕』と表現されています。これまでの将棋を見ても、どちらも序盤から積極的に主導権を争っている印象です」
長谷川女流二段「両対局者との対戦はまだありません。里見倉敷藤花に憧れて女流棋士になったので、いちど対戦してみたいなと思うのですが、おふたりと対戦するにはタイトル戦に出なければならないので、なかなか叶いません」
――明日の解説会について。
中田八段「山崎さんは、棋界で一二を争う力戦派です。明日は素晴らしい解説が聞けると思います」
山崎八段「ふたりの将棋を見ていて、いつも楽しそうだな、代わってほしいなと思います。前例のない局面をふたりで考えて、うらやましい局面になっていることが多いです」
――今期三番勝負について。
中田八段「西山挑戦者は、先日のヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負で、白玲を奪取されました。今回もタイトルを奪う気まんまんでしょう。一方の里見倉敷藤花は守る気まんまんです。先後は明日決まるので、戦型予想はできません。しかし、すごい勝負になるのは間違いないでしょう。男女関わらず、情熱を持ち続けられるのは才能のひとつです。同時期にそういった女性が一気にふたりも出てくるとは思いませんでした。将棋界の新たな歴史を作るふたりだと思っています」
(武蔵)
(花束を受け取る両対局者)
(花束贈呈は、六車夏禾さんと松井果穂さんが務めた)
(里見香奈倉敷藤花)
「今期は大山先生の生誕100周年ということで、第1局からこの倉敷の地で対局をさせていただけることに、心より感謝申し上げます。明日から対局が始まりますけれども、全力を出しきれるように頑張っていきたいと思っております。明日からどうぞよろしくお願いいたします」
(挑戦者の西山朋佳女流四冠)
「昨年に続きまして、皆様に温かくお迎えいただきまして、心より感謝申し上げます。今期も昨年に続いて、倉敷市で対局をさせていただけることになりました。大山先生の生誕100周年という期に、対局者として来られたことをうれしく思っております。三番勝負は始まりますとすぐに進んでいくのかなと思います。そういった中で、明日は自分をしっかり出せたらなと思っています」
(両対局者はあいさつの言葉を述べ、退室した)
(武蔵/書き起こし:潤)
18時、対局場と同じホテル山桃花の2階「山桃花の間」で、前夜祭が行われました。
(伊東香織・倉敷市長)
「倉敷市出身の大山名人が生誕100周年ということで、今年は倉敷市にとって格別の年。例年と違い、第1局からここ倉敷市で三番勝負を行わせていただく運びとなりました。女流棋界を引っ張られている両対局者は昨年に続いての三番勝負になりますが、きっと記念すべき対局になると思っております」
(清水市代・公益社団法人日本将棋連盟常務理事)
「今年は三番勝負の全局をここ倉敷市で開催していただけることとなりました。倉敷を心の故郷として愛してやまない私に取りまして、大変うれしいことこの上ない三番勝負です。また、倉敷由加温泉ホテル山桃花様に第1局をご誘致いただいたということで、初めてでもありますので、両対局者もきっと楽しみにしていることと思います」
(伊原木隆太・岡山県知事)
「女流四冠同士の激突ということで、毎回毎回楽しみにしているんですけれども、今回もすごいことになるんじゃないかと楽しみにしております。将棋は指せば楽しいもので、豊かになるものとも思います。今後も岡山県庁として、将棋の普及に何らかの形で強く関わっていきたいと思います」
(乾杯の発声は、尾崎茂・児島商工会議所会頭が行った)
(武蔵/書き起こし:潤)