第9局を制して豊島新叡王が誕生した。
【豊島新叡王の談話】
――本局は角換わりでしたが、作戦としてはどのような印象でしたか。
「一応、予定していた作戦でしたが、仕掛けられたあとに△7四歩(54手目)と打たれて、手が難しかったです」
――▲5五銀(59手目)とぶつけるなど、激しい戦いになった中盤はどのような印象ですか。
「▲5五銀のあと、後手の対応もいろいろあるので、うまくいっているのかどうかわからなかったです。むしろ、あまりうまくいっていないような気がしていました」
――形勢がよくなったと思われたのは、どのあたりでしょうか。
「△3七角成(74手目)に▲6三角と打ったところは、自分の読みの中ではうまくいっているような気もしました。わからないところもあるのかもしれませんが」
――叡王のタイトル獲得についての感想をお願いします。
「名人戦は内容もよくなく失冠してしまったので、(叡王戦で)結果を出せてよかったです」
――シリーズの中で印象深い、あるいは大きかった一局はどれになりますか。
「最初の数局は不本意な将棋になってしまいました。最後の2局ぐらいは、わりと自分らしくさせたかなと思います」
――持将棋が2局あって長いシリーズでした。シリーズを通して、どのような印象がありますか。
「持将棋は練習などでもあまり指すことはないので、いい経験になったのかなと」
永瀬前叡王はタイトル初防衛を果たせず。
【永瀬前叡王の談話】
――作戦についてはいかがでしたか。
「少し失敗しているのかな、という感じがしたのですが。ただ、△7四歩(54手目)のところは確かに難しい気もしたので、本譜の▲5五銀(59手目)のところで互角に近い順があればという感じです。ただ、△3一玉(60手目)▲2三歩の交換が妥当なのかどうかの判断は難しく、わからなかったです」
――△6四銀(68手目)は意表の一手でしたが、あのあたりの成算はいかがでしたか。
「(そのあとの)▲2五桂(71手目)が見えていなかったので。そこでバランスを崩してしまった感じです。その後の終盤は相当悪かったと思います」
――今シリーズを振り返って、どんな印象がありますか。
「先後で勝率の差が出てしまったので、その差を埋めないといけないのかなと思います」
――第9局までの長い勝負となったことは、どのように思いますか。
「タイトル戦に出る回数がまだまだ少ないので、タイトル戦の対局数を増やすことができたのはとてもいい経験になったと思います」