今井荘(3)
今井荘(2)
指し直し局で千日手は回避
指し直し局は角換わりから後手の右玉です。右玉は千日手をいとわない作戦で、5二の金を寄った△4二金左は手待ちの方針です。豊島竜王・名人は▲2五桂とぶつけ、打開を目指しました。
数手進んで、▲5五歩の図です。
▲5五歩は△同歩▲5六歩△同歩▲5五桂の狙いで、ツノ銀に対してはよく出てくる手筋です。永瀬叡王は△5五同歩▲5六歩に△5四歩と応じています。
△5四歩は▲同歩なら△5五桂です。しかし、仮に▲4八金△5五歩▲5六歩△4二金▲5五歩△5四歩と進行すれば、金の往復運動と5筋の応酬で、千日手になる可能性がありました。
実戦は△5四歩に▲5四同歩。以下△5五桂▲5六銀右△5四銀左▲2二角と進んでいます。
積極的な豊島竜王・名人の指し回しに、青野九段は「攻め切れるのかなぁ」と話しています。先手は△4二金から△3二金寄で角を取られるので、駒損覚悟で攻め込む必要があります。
指し直し局開始
指し直し局開始前
千日手成立直後
千日手成立
20時20分、113手目▲6六飛で同一局面4回となり、千日手が成立しました。消費時間は、▲永瀬4時間33分、△豊島4時間15分。指し直し局は先後を入れ替え、20時50分に行われます。
今井荘(1)
今井荘は昭和9年創業の温泉宿で、最寄り駅は伊豆急行線の今井浜海岸駅です。昭和23年、昭和29年には昭和天皇がご静養されました。春先は河津桜まつり、これからの季節は海水浴で多くの人々が訪れます。
将棋と囲碁のタイトル戦が何度も行われてきましたが、その1号局は平成8年の第45期王将戦第1局、谷川浩司王将-羽生善治竜王・名人戦。羽生七冠独占を達成したシリーズです。
勝負手を放つも……
夕食休憩直後、▲1五歩に△5四歩が指されました。青野九段は「△1五同歩ではなく、△5四歩は先手に動かされた感じで、後手が苦しいと見ての勝負手」と評しています。▲1五歩の前の指し手は△3三桂でした。豊島竜王・名人の△5四歩は、2筋の壁を解消してから角交換で動く意味ですが、広い先手玉を効果的に追い詰めるのは大変です
△5四歩から9手進んだのが▲5七銀上の局面です。形勢は先手よし。後手の攻めは△7七とから△6七とですが、と金を引いた瞬間に▲6八歩が手堅いです。これで後手は継続手が難しくなります。先手は▲5五金から▲6三銀成、▲1三歩成からカナ駒をもらって▲2三銀で必至級(▲1四角のラインが受けにくい)とあり、永瀬叡王が優勢といえます。