2019年9月 7日 (土)

里見香奈清麗が史上初の女流六冠を達成したことを受け、感想戦後に共同記者会見が開かれました。

Dsc_4824 (左から日本将棋連盟常務理事の清水女流六段、里見清麗、西浦・ヒューリック会長)
日本将棋連盟常務理事・清水市代女流六段
「女流棋界7つ目のタイトル戦となりますヒューリック杯清麗戦は本日、無事に終了いたしまして、里見香奈初代清麗が誕生いたしました。
ちょうど1年ほど前でしょうか、立ち上げ当初のことを思い出すと大変感慨深いものがございます。最高峰のタイトル戦となりますこのヒューリック杯清麗戦、1年間全国のファンの皆さまに注目していただきまして熱戦を繰り広げさせていただきました。女流棋士たちも新棋戦誕生ということで当初から一段と日々研鑽、また対局に力が入りましてこの1年間過ごすことができました。応援していただいている全国のファンの皆さまのおかげです。この場をお借りしまして改めて感謝を申し上げます。本当にどうもありがとうございました。この清麗戦ですが、皆さまご存じのようにヒューリック杯清麗戦でございます。この棋戦が誕生するまでには株式会社ヒューリックさまの大きなご支援をいただきましてビッグタイトルが誕生いたしました。西浦会長の将棋界に対する深いご理解と、そして女流棋界に対する深い愛情の現れがこの大きなタイトル戦の誕生につながりました。西浦会長、大変感謝申し上げます。ありがとうございます。
この清麗戦なんですが、当初から西浦会長がシステムは好きに考えてくれていいですよとありがたい温かいお言葉をいただきまして、今までにないシステムで皆さんに注目していただけるものを考えまして、初めての特色でございます2敗失格システムを取り入れました。1敗してもまだビッグタイトルのチャンスがあるということで、女流棋士にとっては大きな可能性が広がるとともに精神面でも技術面でも大変励みになって、盤上の中、棋譜の中でも新たな試みやその思いが盤上に表れる熱戦が多くできたことが皆さんからの注目、声援につながったと思っております。
本日、3連勝で里見香奈清麗が誕生したわけですが、清麗位に就くとともに史上初の女流六冠となられました。これまでの里見清麗の戦いぶりというか、努力というかその姿勢を拝見しておりますと、いつまでもデビュー当時から変わらない将棋に対する貪欲さ謙虚さ、またひたむきさ一途さが誰よりも努力していながらそれを見せたい強さというか奥深さというか。彼女を褒め出すと全くキリがないんですが、その姿を拝見して考えますと六冠というのはなるべくしてなったと思っておりますが、記録の上では棋士・女流棋士にとってタイトル戦に登場するということは大変なことでございまして、一生タイトル戦に出ないで終わる棋士・女流棋士のほうがはるかに多い世界で同時にこの六冠を保持するということがどれほど奇跡的なことか、また記録的なことかということを思っております。将棋連盟といたしましては里見香奈清麗の功績をたたえるとともに、将棋界の宝として活躍を大事に見守っていきたいと思っておりますので、これからも数多くのご声援をよろしくお願いいたします」

Dsc_4839 (西浦・ヒューリック会長)
西浦会長「日本将棋連盟さまから大変なご支援をいただきまして、第1期の清麗戦が無事に終了したことをうれしく思っております。棋戦を増やしてほしいという清水常務理事からのお話もありまして、7つめのタイトルという形になりました。皆さん対局数が増えたということで大変喜んでいただきました。今回里見清麗が誕生したわけですけど、将棋界は羽生さんの永世七冠とか藤井聡太君の29連勝であるとか、新聞その他でいろいろと話題になることが多いわけでございますが、女流として初めての六冠というようなことでして、それが清麗戦で達成されたということは大変うれしく思っております。里見さんにはもうひとつ、7つ目を狙って頑張っていただけたらと思います。ご支援誠にありがとうございました」

Dsc_4862 (里見清麗が質疑応答に応じる)

――終わった直後は感想戦で扇子を使われて暑そうな感じでしたが、熱気はありましたか。
里見「対局していて体温が上がっていて」
――終わったあとも非常に力強い姿にお見受けしたのですが、ちょっと前に足の具合が悪い時期があって心配していましたが、今は大丈夫ですか。
里見「複雑な動きのときは痛むことがありますが、日常生活においては支障がなく問題ありません」
――清水常務理事から将棋界の宝という最大限のお褒めの言葉がありましたが、横で聞かれていかがでしたか。
里見「そういっていただくことは光栄ですが、これからも棋力向上やいろんなことに気をつけながら成長していけたらと思っております」
――誰よりも努力していながら見せない強さという表現もありました。
里見「そんなことはないと思いますが、やはり棋力向上のために、これからも努めていきたいとあらためて感じています」
――六冠おめでとうという言葉とともに七冠を狙ってほしいという言葉もありましたが、それを聞いてどう思われましたか。
里見「棋力的にもまだまだ弱さを感じるところがたくさんありますので、日々大事にして勉強に努めたいと思っております」
――今日の昼食はうなぎを召し上がったと思いますが、美味しかったですか。
里見「対局中なのであまり味わう余裕はなかったのですが、ヒューリックさまに気を利かせていただいて、うなぎをメニューに入れてくださっていると2局目のときにお聞きしまして。本当に対局以外にもいろいろなことに気をつかっていただいて感謝しています」
――最近の里見さんのお話を聞くと感謝という言葉がたくさん出てきます。感謝の気持ちが原動力になったと思ってよろしいでしょうか。
里見「棋戦を1つ作っていただくということは推測に過ぎないのですが、本当に大変なことだと思っていますので、何か自分にできることを精いっぱいやれたらなと番勝負が始まる前に思っていました」
――いまのお言葉を聞かれて清水常務理事、いかがですか。
清水「里見清麗は普段も大変謙虚で、また先輩思いで私のこともよく心配してくれます。2年ほど前に常務理事になってから口には出さないですが、里見清麗が私のことを心配してくださりまして。いまでは盤を挟むことよりも盤測で見守ることが多くなりましたが、タイトル戦でご一緒するときにでも自分の大きな番勝負が目前に迫っているにも関わらず、こちらのことにまで心配してくださって。今回の清麗戦誕生は本当に喜んでくれたというか、感謝の気持ちを伝えてくださったので報われた気持ちになりましたし、里見清麗だからこそ大きな結果が残せていけますし、皆さんからのご声援が大きいのも当たり前かなというふうに思って感謝しております」
――過去に四冠時代に全冠を制覇されたのは清水常務理事だけです。いま里見さんがもう一つというところ迫りましたが、先輩としてはどういうふうに見ているのでしょうか。
清水「いまとはタイトルの数や環境でも違いますし、レベルという意味でもはるかに里見清麗は上に上にと常に進化し続けていますので、一概に自分のときと比べることはできません。自分の中で全冠制覇したことで目標を見失って不安になってしまったこともありましたが、里見清麗はしっかりしていて、自分自身との戦いや上へ上へ目指されていますので、私から申し上げることはございません。唯一申し上げるとすれば、体調に気をつけていただければと思います」
――最後に里見さんに。いま何をしたいですか。
里見「ゆっくり体を休めたいです」

Dsc_4859 (里見清麗)
――対局直後にも伺ったのですが、7つのタイトルのうち6つを制したわけですが、あらためて偉業についてどうお感じになられていますか。
里見「番勝負始まる前に周りの方々からお声をいただいて、注目いただいていることは感じていたので結果を出すことができてうれしく感じます。ただ、棋力的にはたくさん欠点があると感じました」
――里見清麗になられて、清麗という言葉の響きとか文字とか美しいと思うのですが、どういう印象がありますか。
里見「響きが美しくて、女性にふさわしいタイトルをつけていただいたなというのが最初に感じた印象です。すごく新鮮ですし、うれしい気持ちもあります」
――2敗失格という新しいシステムをあらためてどうお感じになりますか。
里見「全体的にやはり対局数を増やしていただいたことは大変ありがたいですし、トーナメント戦が多い中で1敗してもまだ次があることは新しい棋戦という感じがします。持ち時間も2時間で何局も短期間で何局か指すことで、対局者としてスピーディーで楽しく指せたと思います」
――奨励会退会後さらに充実を感じます。環境が変わっての棋力の向上についての影響について教えてください。
里見「環境は変わりましたが、内容的には運よく勝てた将棋もたくさんありますので、そのあたりは今後、棋力向上を目指して頑張っていきたいと思います」
――応援してくれた皆さんに一言お願いします。
里見「20歳前から大阪で一人暮らしをしていまして、そのときから地元の温かさをだんだん感じるようになってきまして、それが励みになって日々頑張れているところがあって。帰る場所があるというのはすごく心強いですし、これからもそういうことを忘れずに一生懸命頑張っていけたらと思います」――いままでいろいろな記録を作ってこられましたが、今後はどういったところを目指すのか、次の目標があるかどうかをお聞かせください。
里見「目標はいままでと変わらず、やはり目の前の対局を一局一局を大切に指していきたいと思います。その中で自分が指したい将棋をたくさん指していけたらと思っております」
――高校時代から”好きな道なら楽しく歩く”とよくおっしゃっていました。いまも楽しく指せているのか、ほかに心にとめている言葉があるのか教えてください。
里見「将棋を楽しく指すということはなかなか難しいことなので、勝ち負けと楽しく指すというのは矛盾しているところもあって。指し終わったあとに自分の中で手応えをつかめるような将棋を指せるようになるのが日々の目標です」

Dsc_4902 (質疑応答のあと、西浦会長から花束が贈呈された)

Dsc_4930 (清水女流六段も加わっての記念撮影)

Dsc_4933001 (記念に揮毫した色紙を手にして。心身一如は「肉体と精神は一体のもので、一つのものの両面である」という意味)

Dsc_4967 (色紙は2種類揮毫した)

Dsc_4985 (心身一如 清麗 里見香奈)

(書き起こし=琵琶 写真=銀杏)

局後のインタビューのあと、対局者は大盤解説会場でファンに向けてあいさつしました。

Dsc_4725 (ファンの前でコメントする両対局者)

Dsc_4680 (里見清麗)
里見清麗「昼食休憩後、端を攻められたあと、自信のない時間が結構あったのですが、ずっとわからないまま指していました。最後は少しよくなったかなと思います。タイトル戦の舞台で指すことができて幸せと思いますし、多くの方に支えていただきながら対局できていることを感じながら指していました。結果がいい方向に出ましたが、これからも棋力向上に努めていきたいと思います」

Dsc_4688 (甲斐女流五段)
甲斐女流五段「端を攻めて、よくできそうに見えたところはありそうに思いましたが、一手一手が難しく、変化が多かったので、最後までよくわからない将棋でした。各地で温かい心遣いをしてくださり、環境を整えていただきまして、感謝の気持ちでいっぱいです。結果は出ませんでしたが、力は出し切れたと思いますので、このような舞台に出られたらまた頑張りたいと思います」

Dsc_4624 (終局直後の対局室)

Dsc_4674 (インタビューに答える里見清麗。史上初の女流六冠を達成した)

―――本局を振り返っていかがでしたか。

里見「端に手を付けられたときに対応が具体的にわかりませんでした。わからないまま指していて、途中は自信がありませんでした」

―――中盤で長考される手がありました。

里見「序盤は手が広くて、迷っても仕方ないと思いました。本譜は複雑でわかりませんでした」

―――よくなったと思ったのはどのあたりですか。

里見「最後のほうですね。最後の最後までわかりませんでした」

―――シリーズについていかがでしたか。

里見「初めてのタイトル戦を作っていただいたことについて、自分の力を出し切りたいと思いました。結果がついてきたのはうれしいです」

―――内容的にはどうですか。

里見「本局はたくさんミスをしていると思うので、そこは今後の課題と思います」

―――女流棋士で六冠は初めてです。

里見「結果を出すことができたことに関してうれしく思いますが、これからも棋力向上を目指して頑張ります」

―――女流棋界の第一人者として活躍しています。

里見「いろんな面で注目いただいています。それにふさわしい行動や将棋を指したいと思います」

Dsc_4639 (多くの報道陣が里見清麗を撮影する)

Dsc_4641 (甲斐女流五段は3連敗で敗れた)

―――大変難しい将棋だったと思いますが。

甲斐「序盤で長考したところがありましたが、深く読んでいたら思わず考えてしまったなと。本局は自分のペースで考えて指そうと思っていたので、時間がなくなったのは仕方ないと思います」

―――途中まで形勢不明かと思います。

甲斐「ずっと難しいと思っていました。なかなか攻め方が。本譜は左側(7二)に逃がす感じになり、終盤で焦ったような手を指してしまったなと思います」

―――今シリーズを振り返っていかがでしょうか。

甲斐「里見さんと指せるということで、自分なりに準備して臨みました。中終盤の際どい局面でバランスを保つ手を指すことが難しかったので、実力かと思いますが、力を出し切った結果だと思います。悔いはありません」

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▲甲斐-△里見香戦は120手で里見女流五冠が勝ちました。終局時刻は17時59分。消費時間は▲甲斐4時間0分、△里見香3時間46分。勝った里見はシリーズ成績を3連勝とし、初代の清麗位を獲得するとともに、前人未踏の女流六冠を達成した。

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図は107手目▲7六金まで。控室では甲斐女流五段が踏みとどまっているという意見が出ていました。ただし、甲斐女流五段は一分将棋なのがつらいところです。
図で里見女流五冠は△5一飛と手を渡しました。以下▲7五金△9六馬▲6七玉△9五馬と進行。9筋の駒を根こそぎ取れる展開になり、後手よしがはっきりしたようです。里見女流五冠の指し手も早くなってきました。

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図は92手目△2五銀まで。里見女流五冠は20分以上の長考で、先手の角を責めました。▲4八角なら先手の攻めを緩和できるうえに△3六銀から△4七銀成で挟撃態勢を築けます。そこで甲斐女流五段は▲4四角。△2五銀は角を切らせる攻めを催促しているようです。甲斐女流五段は数手後に一分将棋に入りました。

Dsc_4621 (17時30分、控室では谷川九段と鈴木九段が検討)

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図は▲2六角まで。甲斐女流五段の自陣にいた攻め駒が中央に狙いをつけ始めました。里見女流五冠がどのように局面をまとめるか。先手が▲4四角や▲5四香、▲5三歩を狙っているので注意がいります。
鈴木九段は▲2六角の直前に指した△9七とについて「相手を追い込んでいる手」と評します。
宮田敦史七段>△7五銀▲同歩△8三桂と行きたい気もしますが、怖いですかね。(後手有利)

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図は78手目△7二玉まで。甲斐女流五段の端攻めに里見女流五冠が玉をかわしたところです。控室の鈴木九段と清水女流六段は▲6六歩を示します。▲5七香△6六飛▲6七金右のように飛車を捕獲する狙いがあります。鈴木九段は振り飛車有利とみていますが「▲6六歩は難しい手ですが、指せばまだまだ大変です」と話します。
残り10分になった甲斐女流五段は▲6六歩。以下△5一飛▲6五歩△6三歩と進みました。ここ数手は先手の駒が伸び、後手の駒が下がっており、先手の調子がよさそうです。

Dsc_4442 (里見女流五冠)

ホテル日航金沢は1994年開業。今年は開業25周年です。
約130メートルの高さで、北陸3県(石川県、富山県、福井県)で最も高い建造物です。
ホテル日航金沢は2018年にヒューリックが取得しています。
https://www.hulic.co.jp/business/rent/hotel/307

Dsc_4599 (金沢駅から徒歩3分の立地。駅を出て、すぐ目に着く圧倒的存在感)

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Dsc_4314(ホテル日航金沢は開業25周年。5月には記念パーティーが開かれた)

Dsc_3950 (高層階からの夜景)