2025年5月21日 (水)

20250521d昼食休憩再開後、加藤桃女流四段は▲2七歩(1図)と打って角を取りにいきました。以下△1七角成▲同香△同香成▲4八金△2四歩▲1四銀△1八香成▲5九銀△4四銀▲6九玉△1三歩(2図)と進んでいます。

20250521e2図は後手が駒損ですが、銀を取り返すことができます。立会人の佐藤義則九段は「後手がよさそうですね」と話しています。先手は歩切れも痛そうです。

Dsc_4289(うまく立ち回った渡部女流四段)

20250521c12時、この局面で加藤桃女流四段が15分使って昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲加藤51分、△渡部1時間8分。昼食の注文は両者ともにありません。対局は12時40分に再開します。

加藤桃女流四段の先手で相掛かりに進んでいます。先手は▲5八玉(1図)と上がってバランスのいい構えを採りました。

20250521a_21図から指し手が進み、2図に。先手は▲3五歩~▲3六銀と3筋に厚みを築きました。後手は5三、6三に銀を2枚並べて中央の厚みで対抗しています。

20250521b

Dsc_4052(3筋に手厚い攻撃陣を築いた加藤桃女流四段)

Dsc_4011(渡部愛女流四段)

Dsc_3986(加藤桃子女流四段)

Dsc_4032(記録係の山口恵梨子女流三段が振り駒を行う)

Dsc_4037(と金が3枚出て、加藤桃女流四段の先手番に決まった)

Dsc_4128(10時、対局が始まった。初手▲2六歩を着手する加藤桃女流四段)

Dsc_4171(特別対局室の様子)

福間香奈清麗への挑戦権を争う大成建設杯第7期清麗戦挑戦者決定戦の渡部愛女流四段-加藤桃子女流四段戦は5月21日(水)午前10時から東京・将棋会館「特別対局室」で行われます。先後は振り駒で決定します。
本局の中継は、棋譜・コメント入力を紋蛇、ブログを琵琶が担当いたします。よろしくお願いいたします。

【大成建設】
https://www.taisei.co.jp/

【大成建設杯清麗戦 | 大成建設株式会社】
https://www.taisei.co.jp/corp/society/seirei/

2024年8月20日 (火)

218

(感想戦終了後、防衛した福間香奈清麗の取材が行われた)

228

(母校・大社高校の全国高校野球選手権での活躍の話題に笑顔で応じる)

--今回が第6期の清麗戦で5期目の獲得です。歴史の浅い中で結果を出すのは難しいことと思いますが、4時間という持ち時間の影響はありますか。
「持ち時間が長いほうが好きなので、ゆっくりと考えて指し進められる点では好きな持ち時間ではあります」

--改めてクイーン称号が増えたことへの喜びは。
「結果が幸いしたシリーズもあったんですけど、光栄に思います」

--6つ目のクイーン称号獲得は歴代最多です。あとは白玲と女王ですが、全八冠のクイーンを獲りたいという気持ちはありますか。
「今回のシリーズもそうでしたが、押され気味だったように感じるので、そのあたり地力をつけて、その先にそういったもの(クイーン称号)がついてくればいいかなと思います」

--女流タイトル戦が関西将棋会館で指されるのは珍しく、決定局がここでというのも珍しいと思います。ずっと修行、練習将棋を重ねられた場所という感慨はありますか。
「今年で新会館に移転するということもあって、もう対局が数えるほどしかなく、御上段の間で指すのはもしかしたら最後かもしれませんので、いい締めくくりになってよかったかなと思います」

--10代のころから勝ち続けて永世称号が6つまで来ているのは継続性がすごいと思うのですが、ずっと勝ち続けるためにいつもどんなことを考えて努力しているのですか。
「その年代でモチベーションが変わってはいるのですが、いまは地元の方々の励みもありますし、自分自身のために人間らしい、個性的な将棋を指していきたいというモチベーションもあって、何かを持ち続けながら対局していけたらと思います。勝負ではあるのですが、何か楽しみがないと継続することは私の場合は難しいことですので、日々の勉強でしたり、公式戦の中でちょっとした楽しみを持って指しているつもりではあります」

--番勝負の相手が西山朋佳女流三冠、加藤桃子女流四段ということで対局は同じ戦型になることが多いですが、自分の中で戦型に対する研究の深さの手ごたえはいかがですか。
「本局はどういう作戦でいこうかと迷いましたが、作戦を立てようとすることで知識が深まります。私は偏りがあるので幅の広い将棋にしたいと思います。中飛車でもちょっとずつ変えてはいるつもりではあります。本当はもっと大きく変えたいとは思っているのですがいまの地力では難しいので、ちょっとずつ幅を広げられたらと思います」

--31日から白玲戦が開幕します。今回の清麗防衛で通算59期目のタイトル獲得で、白玲を奪取すると60期目の節目になります。
「これから対局が増えていく時期なので、まずは体調管理に気をつけて全力を出せる状態にしていくことが第一で、そういうことはあまり考えられないです」

--将棋と離れますが、いまは夏の甲子園(全国高校野球選手権)の季節でして、福間清麗の母校の大社高校が昨日敗れたものの大活躍でした。
「大社が甲子園に出場することは母から聞いて1回戦からテレビで見ていたのですが、対局が多い中でひとつ癒しというか、感動するような試合ばかりで励みになりました」

--甲子園に見に行きたいという気持ちは。
「現実的には暑くて厳しいと思っていたのですが、もし決勝に行ったら行きたい気持ちはすごくありました。大社高校が甲子園に出ることで地元の方と連絡を取ったり、いつもと違う交流もあったので夏のいい思い出ができました」

238

(場所を移して、主催者から花束贈呈)

254

276

本局の中継は以上で終了いたします。ご覧いただきありがとうございました。

161

(終局直後)

165

(3連覇、通算5期、クイーン清麗の資格を得た福間香奈清麗)

172

【福間香奈清麗インタビュー】

--後手番でどんな方針で指されていたのでしょうか。
「△3二飛(26手目)と回ったあとにすぐ動いていくのか。本譜の△6二金(30手目)はゆっくり戦おうという方針だったのですが、その後の判断があまりよくなかったのか、△5五歩(36手目)が重い形でした。昼食休憩明けはもう少しゆっくり指したほうがよかったと思っていて、△1五角(42手目)があまりよくなかったかもしれないです」

--ただ終盤に入ってから優勢な局面が続いたと思いますが、手ごたえを得たのはどのあたりですか。
「4七の成銀が6九金と替わって△8八金(72手目)と縛れて指しやすいかと思っていたのですが、こちらも飛車をぼろっと取られているのでもしかしてうまい対応があるのかと思っていました。△2八飛(66手目)と打った局面はどうなっているのかよくわかっていなかったです」

--勝利を確信されたのはどの手ですか。
「△5七桂(98手目)とはがしていって、勝勢になったと思いました」

--これで3勝1敗で3連覇を果たされました。シリーズ全体を振り返ってください。
「中盤でつまずくことが多くて、本局も判断がつかないまま指していたところもあったので、課題の残るシリーズだったと思います」

--通算5期で永世称号であるクイーン清麗を初めて獲得されました。そのことについてはいかがでしょうか。
「清麗戦はここ最近新たに作っていただいた棋戦で、そういったタイトルでひとつ結果を残すことができて光栄に思います

--ご自身では6つ目のクイーン称号です。
「結果が幸いしていたところもあったので、力をつけられるようにがんばりたいと思います」

186

【加藤桃子女流四段インタビュー】

--先手番でどのような方針で指されたのでしょうか。
「△3二飛は予想していなかったので、一手一手対応していく感じで指していました。▲5六歩△同歩▲同金は金が離れてしまうのでやりすぎだったといまは思っていて、昼食休憩の局面は自信がなかったです。そのあと互角に戻ったと思ったところもありましたが方針を誤って、つらい時間が続いたと思っています」

--▲5六歩から守りの金を出ていったのは、第2局で守備の金銀を出ていってうまくいったイメージがあったのでしょうか。
「第2局を引きずってという意味ではなかったのですが、自分らしかったかもしれないですが、ちょっとまずかったですね」

--加藤女流四段にとって今回はどんなシリーズだったでしょうか。
「清麗戦は4時間あって、4時間という意味で4月の前くらいから課題を持っていたのですが(注:4月開幕の女流王位戦五番勝負の持ち時間も各4時間)、うまく使えたかどうかわからないです。春先よりは時間を使えたので成長したと思いますが、結果に結び付けられなかったところは自分の甘さだったかなと。女流棋戦で4時間は相当貴重なので、戦えてよかったというのはあります」

--応援しているファンの皆様に向けてひとことお願いします。
「応援してくださっている方、支えてくださった方……ちょっと待ってください。(約1分20秒、タオルで顔を覆う)すみません、本当。(さらに50秒ほど)感謝の気持ちでいっぱいなんですけど、(また1分ほど顔を覆う)ファンの方のことを思うと情けないというか、またがんばりたいなと思いますし、自分のためにもまた精一杯がんばりたいと思います」

201

(応援してくれたファンへの思いを聞かれ、顔を覆う場面もあった)

205

(インタビューのあと、感想戦が始まった)