永瀬五段は3四金を見捨てて自陣飛車を打ちました。形勢は先手よしですが、後手も穴熊を頼りに粘ろうとしています。控室の検討陣は「永瀬君を倒すのはここからが大変」と実感のこもった感想をもらしています。本譜の進行は△5一飛に▲6三馬△同金▲3四角成△2二竜。永瀬五段は竜も自陣に引きつけました。
(16時50分ごろの控室) (写真中央は鈴木大介八段) (遠山雄亮五段)(牛蒡)
後手は2筋が開通しましたが、先手の角と馬の攻めが厳しそうです。△3一歩(80手目)が裏目に出ており、検討陣はふたたび先手持ちに変わっています。本譜は図から△2九飛成▲6九歩と進んで、「永瀬五段の腕の見せ所ですね。どう受けますか」と中村修九段。
(控室には4人目の歴代優勝者が登場。第12期を制した田中寅彦九段)
(牛蒡)
藤森四段は6一角を4三に成りました。取れる金を取らず、飛車と角に狙いをつけています。対して永瀬五段は大駒を逃げずに△2七歩成。攻め合いを目指しました。
(佐藤天彦七段は前期と第39期の2回優勝している)
控室では候補手のひとつに△3二歩が挙げられていましたが、△3一歩は検討されていませんでした。△3一歩は▲2二歩△同飛(1)▲3一角と、4二金が移動した後の(2)▲3二角を消しています。 「先手に何もさせないつもりですか」と検討陣は驚いていました。しかし図から藤森四段が指した▲8四歩が好評。△同歩には▲5一角△3二歩▲4二角成△同角▲4四飛があり、その展開は△3一歩をとがめています。形勢は揺れ動いているかもしれません。
(受けを得意とする中村修九段も△3一歩に驚く) (山口恵梨子女流初段) (片上大輔六段)(牛蒡)
控室では仕掛けのあたりでは先手作戦勝ちと言われていましたが、現在は後手持ちの声が増えています。中村修九段は「△5五角(54手目)がしっかりした攻防の手でした」といいます。後手は2筋攻めが間に合いそうですが、図ですぐに△2七歩成とするか、それとも△3二歩と受けてから△4三金を狙うか。
(対局開始前の永瀬五段)
【72手目の棋譜コメントを抜粋(一部改編)】継ぎ盤の検討は図から▲2六角△同歩▲4四飛△6六角(参考1図)。以下、(1)▲4二歩成△4四角▲3二と△7一飛▲3三と△同角▲3七桂(参考2図)、(2)▲3四飛△2三金▲3二角△3四金▲2一角成(参考3図)といった順が検討されている。どちらも華々しい順で、一気に終盤戦になる変化だ。
(対局者にはフルーツとお菓子の盛り合わせが出される) (控室の検討陣には大皿で) (みかんも山盛り)
先手は4筋、後手は2筋を攻めています。図の▲4三歩は△同金なら▲3二角の狙い。対して永瀬五段は△2六角と飛車取りに打ちました。▲3七角と合わせてくれば、そこで4二金を逃げるのでしょう。田村六段は62手目に△2六角を指摘していましたが、永瀬五段は先手に▲3七角を打たせたかったようです。また、この角打ちの裏には、普通の攻め合いでは2筋が間に合わないという判断もありそうです。
(藤森四段は後手のカウンターにどう対処するか)
「ひとめは△2六角と出てみたい。そこで▲4九飛が普通ですが、▲2八飛△2五歩▲4六角もあるかもしれません。後手に馬を作らせますが、▲3五歩と▲6五歩を絡めて攻めを狙います。しかしここ数手は先手が少し損をしたように思います。たとえば▲8五歩(57手目)を突くなら後手が手待ちしている間に指しておきたかった」(田村六段)
(田村六段を中心に検討が進められている)
(田村康介六段=中央は第34期の優勝者。先手持ちの見解のようだ) (渡辺弥生女流1級。藤森四段が勝てば第3局の観戦記を担当する) (しばらくして藤井猛九段も控室へ。本棋戦は過去に3回優勝している)