第41期決勝三番勝負第1局 Feed

2010年10月 7日 (木)

加來アマ、勝負手を放つ

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図は15時30分頃の局面。3三の桂を取ったところだ。後手陣は薄く、次の▲5四桂が厳しい攻めになる。先手玉は堅く、側面から攻めるのではまったく話にならないだろう。ここで加來アマは△9五歩と、端から勝負した。
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「ここで△9五歩は、一番いいタイミングの最後のお願いですね」と田中九段。「具体的に何か手があるわけではないが、突かれた方は取ると怖い。さすが何回も逆転勝ちしているだけはありますよ」と話した。

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(カメラによる対局室の映像。阿部四段が▲3三飛成を着手する)

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15時15分頃の対局室

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(盤面カメラによる映像。69手目▲1一成銀までの局面)

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(カメラによる対局室の様子。脇におやつが置かれているのが確認できる)

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昼下がりの鳩森神社

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阿部四段、優勢

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図は14時55分頃の局面。阿部四段が敵陣深くに飛車を打ったところだ。3三の桂と9一の香の両取りになっている。「3三の桂を取られると入玉の望みが絶たれる」と田中九段。佐藤五段は「苦戦の加來アマですが、これまでも苦しい将棋を逆転して勝ちあがってきましたのでまだまだわかりません」と話している。形勢は先手優勢ではっきりしているようだ。加來アマにとっては苦しい時間。このままやさしい攻めで寄せられてはたまらない。できるだけ難しい条件を阿部四段に突きつけて、相手のミスを待つほかない。粘って逆転の希望を見出すことができるか。

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差し入れ

14時45分頃、控え室に差し入れがあった。チョコレートなどの菓子とフルーツで、関係者に聞いたところ、対局者にも似たものが運ばれたとのこと。

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14時30分頃の対局室

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(カメラによる対局室の映像。互いに前傾姿勢になって考えている)

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阿部四段、斬り込む

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図は14時20分頃の局面。加來アマが飛車に当てて△4三金左と上がったところに、阿部四段が▲3二銀の両取りをかけた局面だ。消費時間は▲阿部1時間16分、△加來1時間37分。阿部四段は▲3四飛(55手目)から積極的に攻めている。図から△8一飛と逃げれば、▲4三銀成△同金▲3三飛成△同金▲4五桂という猛攻がある。先手玉は形が整っていて、飛車を打たれてもすぐには響かない。ここからしばらくは阿部四段の攻め、加來アマの受けという展開になりそうだ。

「▲4三銀成~▲3三飛成~▲4五桂は厳しい攻めです。よって図からは△3四金▲2一銀成と進むと思いますが、次の▲8一飛や▲1一成銀~▲5四香の狙いが残り、先手優勢です。先手玉の弱点は端なんですが、そこを攻める展開にはならなそうなのが後手のつらいところです」(佐藤和俊五段)

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「2位ですみません」

対局再開直後、控え室には北浜健介七段の姿が。北浜七段は昨年の決勝三番勝負で立会人を務めた経歴がある。控え室に立て続けに歴々の新人王が来ていたことを話すと、「それは……2位ですみません」。北浜七段は第31期に決勝に進んだが、山崎隆之七段に敗れた。今日は対局中にもかかわらず、気さくに話に応じる。対局の方はいいんですか、の問いに「ここにいられなくなるほど切迫してきたら戻ります」。

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(北浜七段)

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(棋譜用紙を見て、ここまでの進行を追う)

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対局再開

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(阿部四段。扇子を広げてぼんやりと見つめる)

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(加來アマ。指を振ってリズムをとるように読みを進める)

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継ぎ盤に向かう阿部四段

12時40分頃、昼食を終えた阿部四段もいつの間にか控え室に。そしてごく自然に継ぎ盤の前に座る。「とりあえず千日手がなくなってホッとしました。▲4六銀(39手目)で▲4六歩だと、争点がなくて千日手になりやすいですからね」と感想戦もとい解説をしてくれた。

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(阿部四段)

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