挑戦者の粘り
後手よし
長手数は挑戦者有利?
今シリーズの手数に注目してみると、里見清麗が勝利した第1局は101手、第2局は110手。上田女流四段が制した第3局と第4局は、174手と153手です。データ上は、長手数になれば上田有利となります。
17時15分現在、▲9四桂までの手数は79手です。

シリーズ振り返り 第4局
里見2勝、上田1勝で迎えた第4局は、第2局に続いての急戦VSゴキゲン中飛車です。二転三転の激戦になりましたが、最後に上田女流四段の寄せが決まりました。
▲8三桂成△同銀▲5二竜△同歩▲8三香成△同玉▲6三角成。竜を切って馬を作ると、後手は受けがありません。
以下△7二桂▲6一銀で里見清麗が投了。上田女流四段がフルセットに持ち込みました。
【2020年8月6日 第2期ヒューリック杯清麗戦五番勝負 第4局 里見香奈清麗 対 上田初美女流四段】
渾身の勝負手
図は▲9三歩成と成り捨てたところ。後手はどれで取っても味が悪く、▲6五銀△8八角成▲同玉△5五角▲6六角△3七角成▲5四銀△同銀と決戦にされたときに玉が流れ弾に当たりやすくなります。中川八段は「渾身の勝負手」と評しました。
駒柱
シリーズ振り返り 第3局
2連敗であとがなくなった上田女流四段。第4局は得意の居飛車穴熊に出ました。
▲3五歩に△2七歩▲同玉△5四桂が好手でした。▲3四歩△6六桂と進むと、△5四角の王手竜取りが生じています。
忙しい終盤で先手を取れたのは大きく、△5八桂成もあるのではっきりしました。上田女流四段は174手で押し切り、シリーズ初勝利を挙げています。
シリーズ振り返り 第2局
第2局は7月10日(金)に東京・将棋会館で行われました。戦型は里見清麗のゴキゲン中飛車になり、上田女流四段が急戦に出ます。ぺースをつかんだのは里見清麗で、終盤にリードを拡大しました。
▲6四桂に△6六歩が決め手です。▲7二桂成△同玉▲6一銀△8二玉▲5二銀成で後手玉は▲7二金以下の詰めろになります。
しかし、以下△6八銀成▲同金△6七歩成▲同金△6九銀▲同玉△6七竜▲5九玉△6八金▲4八玉に△5八金が好手です。

以下▲3八玉(▲5八同金や▲3九玉は先手玉が詰む)に△2六桂▲同竜△同角で後手玉の詰めろが消えてしまい、攻守が入れ替わります。
実戦は△6六歩に▲5七歩としましたが、△6七歩成▲同銀△5七歩成で先手玉に食いつくことに成功し、押し切っています。
【2020年7月10日 第2期ヒューリック杯清麗戦五番勝負 第2局
里見香奈清麗 対 上田初美女流四段】
図は△7七銀に▲5九玉と引いたところ。挟撃態勢を築く△3七歩成がぴったりに見えますが、▲同飛△同香成に▲4四馬と王手で馬が復活します。里見清麗はそれを嫌って△7五角と出ましたが、▲6一香成で先手に手番が回りました。激戦です。


18時、▲9三歩成まで進んでいます。形勢は後手よしで、△9三同香から面倒を見て△9六角を決め手にすればいいようです。

▲6五同銀は△8八角成▲同玉に△5五角の王手飛車があります。



