2020年12月12日 (土)

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図は△6六桂まで。おそらく後手は押さえ込みを狙って打った桂でしょう。先手はどのように押さえ込みを突破するかが課題となりますが、▲6六同角△同歩と角桂交換で強引に角をさばき、返す刀で▲4四歩と打って攻めていきました。

先手としては、ハイリスクな順に踏み込んだといえます。ここ数手で、どれだけのリターンを得られるが勝敗のカギとなりそうです。後手としては、どこまで受けて、どこで△6七歩成から攻め合いに切り替えるかが注目でしょう。

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12時、この局面で清水女流七段が18分使って昼食休憩に入りました。消費時間は、▲矢内50分、△清水1時間8分。昼食注文は両者ともなし。対局は12時40分から再開されます。

定刻の10時となり、対局が開始されました。振り駒は清水女流七段の振り歩先で「と」が4枚。矢内女流五段の先手となりました。

019_800(先手の矢内女流五段)

013_800(後手の清水女流七段)

006_800(振り駒の様子)

おはようございます。本日は第3期大成建設杯清麗戦予選(主催:大成建設株式会社)から、清水市代女流七段-矢内理絵子女流五段戦をお送りいたします。対局は東京・将棋会館で12月12日(土)10時開始。持ち時間は各2時間(チェスクロック方式)。切れたら1手60秒の秒読みです。先後は振り駒で決められます。

本日のこの中継は独楽がお送りいたします。よろしくお願いいたします。

【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/seirei/kifu/3/seirei202012120101.html

2020年8月18日 (火)

感想戦終了後、里見清麗による記者会見が行われました。

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――改めて、防衛を果たした心境をお願いします。

里見 第5局まで来てしまったのですが、なんとか結果を出せてほっとしています。

――コロナ禍の影響などもあって、日程の変更などもあったと思いますが、そのあたりも含めて、今回はどんな五番勝負でしたか。

里見 五番勝負が開催できるかわからない状況でしたので、開催が決まったときは対局できるという喜びを感じていました。大変な状況ではありましたが、自分にできることを精一杯できたらいいなと思っていました。

――対戦相手が上田女流四段で、これまでもタイトル戦で戦ったことがある相手ですが。改めて今回対戦して、どんな印象を持たれましたか。

里見 後手番のときは同じような形になりましたが、先手番では相振り飛車など新しい形もありました。上田さんは、将棋を指されるときは、自信を持って指されているように実感していました。

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――後手番では中飛車が続きましたが、そこにはどのような気持ちがありましたか。

里見 第4局から今日まで少し時間がありましたので、どの戦型にするのか悩んではいたんですが。違う形にもしようかと思いましたが……、最終的には同じ形になって、自分から手を変える形になりました。そんなに深くは研究していなくて、持ち時間の中で考えて、力を出せればと考えていました。

――今回タイトルを防衛して、通算で41期となって、清水市代女流七段の記録にあと2つに迫りました。そのあたり、ご自身では意識されたことはありますか。

里見 自分のタイトル数はあまり気にはしていなかったのですが、それだけの結果を残せたということは嬉しいと思います。ですが、同時にもう少し力をつけて頑張っていかないといけないなということも、強く感じています。

――将棋界では、渡辺明新名人が誕生したり、藤井棋聖の誕生など、話題になることが多かったですが、何か刺激を受けることはありましたか。

里見 藤井棋聖の活躍はもちろんですが、個人的には渡辺名人の将棋が好きで、名人戦も観戦していましたが、ああいった精度の高い将棋が指せるようになれればなと思っています。

――渡辺名人の将棋の魅力というのはどのあたりでしょうか。

里見 渡辺名人の感想戦を見るのが凄く好きで。凄くわかりやすいというか。形勢判断が常にはっきりされているなということを感じます。わからない局面の中でも、自分の方針を決めて、ああいった形勢判断ができるようになりたいと思っています。

――実は、今日は渡辺名人が記者室に来られていて、本局の検討を最後までされていました。△7五角(136手目)が決め手で素晴らしい手だと言っていましたが、ご自身ではいかがですか。

里見 その前がだいぶひどいことになっていまして。はっきりした決め手を逃がして、焦って間違えて逆転されてしまった場面がありましたので。△7五角と出たところで少し残しているのかなとは思いましたけど。時間がなくなってからの終盤があらためて課題だなと思いました。

Dsc_1799(渡辺明名人が里見の終盤を「キレてる」と評したことを聞かされて、里見清麗は照れ笑いを浮かべた)

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以上で第2期清麗戦の中継を終了します。ご観戦いただき、ありがとうございました。

Dsc_1702(終局直後)

Dsc_1732_2(里見清麗は最終局を制す。清麗戦の初防衛に成功した)

Dsc_1705(敗れた上田女流四段。フルセットに持ち込んだが、奪取はならなかった)

【終局直後インタビュー】

――里見清麗から伺います。本局を振り返ってください。

里見 こちらから変化する形になったんですけど、一手一手が難しくて、結構自分が本線に読んでいた以外の手を指されることが多くて、時間を使う展開になったんですけど。実戦的に難しくは指せていたかなと思います。

――手ごたえはどのあたりで?

里見 飛車を取られたんですけど、小駒を手にできてよくなったのかなと思っていたんですけど。本譜はちょっとなんか危険な順に飛び込んでしまったかなと思うので、そこらへんは逆転されていたのかなと思います。

――△7五飛と馬を取ったあたりがポイントだったんですね。

馬と飛車を刺し違えたあたりはいいのかなと思っていたんですけど、そのあとは間違えてしまって。最後の最後は勝ちになったかなと思いました。△3七歩成でちょっと残しているかなと思いました。

――上田女流四段にも伺います。中飛車に対して、予定通りの作戦でしたか。

上田 そうですね。

――中盤の手ごたえはいかがですか。

上田 難しいですねぇ。やっぱり結構、神経を使う将棋なので。序中盤で明確に指しやすいと思った局面はほとんどなかったですね。途中ははっきりだめかなと思ったんですけど、端の戦いで少し難しくなったかなと思いましたねぇ。

――終盤はどうでしたか。

上田 逆転したと思ったんですけど、あっちの玉は結構広いので。△3三香と打たれて、分からなくなりましたね。

――シリーズ全体を振り返ってください。

里見 1、2局目は割とよい形で連勝できたんですけど、3局目はうまく粘って難しくできたところで自分から崩れてしまって、4局目はちょっと自分のなかで不自然な手を指していたので、調子自体はよくないのかなと感じていたんですけど。ただ今日は、内容的にはたくさんミスをしてしまったんですけど、挑むにあたっては4局目から割と空いていたので、気持ちを切り替えてできたところはあります。

――清麗を2連覇、防衛したことについて。

里見 3局目以降、不出来な将棋が多かったので、もう少し力をつけないといけないなと実感しています。

――よい結果が出たわけですが、プラスに思ったところは?

里見 第5局になって流れは悪かったですけど、結果を残せたことに関しては自分によっていい経験ができたかなと思います。

――上田女流四段にとって、本シリーズはいかがでしたか。

上田 子どもが2人生まれてから初めてタイトル戦を戦うことになったんですけど、調整の難しさを感じましたね。結構世の中も大変な時期で、始まるまでに自分のなかできちんと準備するのがなかなか難しい状態ではあったんですけど、番勝負が始まってちょっとずつエンジンがかかってきた感じですかね。

――結果は残念でしたが、今後に向けての感想をお願いします。

上田 いまの自分の状態を考えれば、2連勝できた時点で上出来だと思うんですが。挑戦できるコンディションではなかったので、実力不足なのは分かっていたんですけども、やっぱり最後、悔しいは悔しいですよね。

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146手まで、里見清麗が勝ちました。終局時刻は18時36分。消費時間は両者4時間を使い切りました。五番勝負第5局を里見清麗が制し、対戦成績3勝2敗でタイトルを防衛しました。里見清麗の清麗位獲得は2年連続2期目、通算タイトル獲得数は41期となっています。

(八雲)