2022年7月 7日 (木)

Dsc_6145(加藤清麗から相川・大成建設株式会社取締役社長に清麗戦の賞杯「清麗杯」の返還が行われた。清麗杯は人間国宝・十四代今右衛門の「色絵吹墨墨はじき四季花文額皿」。「いろえ ふきずみ すみはじき しき はなもん がくざら」と読む)

Dsc_6155(相川・大成建設株式会社取締役社長から加藤清麗にレプリカが授与された)

Dsc_6124(18時より、開幕式が行われた)

Dsc_6128(主催者挨拶 相川善郎・大成建設株式会社取締役社長)

「清麗戦は大成建設グループの理念になります『人がいきいきとする環境を創造する』に基づきまして、社会貢献活動の一環、学術文化の発展及び、女性活躍推進の観点から昨年度より当社がお引き受けさせていただいております。このような開幕式が開催できますことを主催者として誠に喜ばしく思っております。昨年度の五番勝負は最終局までもつれ込んだ結果、加藤さんが清麗に就かれたわけですが、まさに手に汗握る大接戦でした。主催者としましては両者ともそれぞれお持ちの力を存分に出すことができるよう、万全の準備をさせていただくとともに五番勝負を全国の将棋ファンを始め多くの皆様に楽しんでいただけるよう精一杯努めさせていただく所存です」

Dsc_6138(主催者挨拶 佐藤康光・公益社団法人日本将棋連盟会長)

「前期のフルセットの熱い戦いから早くも1年が経ちまして、今期は加藤清麗に里見女流四冠のリターンマッチという形になりました。両者とも絶好調といいますか、というと怒られるかもしれないので順調といいますか。非常に対局数が多いんですね。加藤さんが直近の10局で9勝1敗で、順調に勝ち星を積み重ねていまして、里見さんも対局数が19局ですか。いま現在私のデータだと棋士・女流棋士合わせても一番多い数なんですね。藤井(聡太)竜王、渡辺(明)名人をしのぐ対局数です。見事なカードが実現したなと思っております。今期も熱い戦いが見られるのではないかと期待しております」

(撮影=紋蛇、書き起こし=生姜)

16時20分過ぎ、対局検分が行われました。盤駒は日本将棋連盟所蔵のものです。

「ホテルニューオータニ」での対局は昨年の第2局に続いてですが、今年は対局室が異なります。空調や光の具合が念入りに確認され、10分ほどで終了しました。

Dsc_6110_2(王将を据える加藤清麗)

Dsc_6113(里見女流四冠)

Dsc_6114(対局室からの眺望。午後に西日が入った場合は、カーテンを閉めることになった)

加藤桃子清麗に里見香奈女流四冠が挑む、第4期大成建設杯清麗戦五番勝負が開幕します。加藤清麗は初の防衛戦です。前清麗の里見女流四冠はリターンマッチで、第1期から4年連続の五番勝負登場となります。
第1局は2022年7月8日(金)、東京都千代田区「ホテルニューオータニ」で行われます。対局開始は9時、昼食休憩は12時から13時。おやつは10時と15時に出されます。持ち時間は各4時間(チェスクロック使用)で、使い切ると一手60秒未満の着手です。第1局の先後は振り駒で決定します。
立会人は飯野健二八段、記録係は竹部さゆり女流四段が務めます。
本局の中継は、棋譜コメントを生姜、ブログを紋蛇が担当します。よろしくお願いいたします。

※石田直裕五段と飯野愛女流初段による現地大盤解説会は、事前申し込み制ですでに締め切られています。

【大成建設】
https://www.taisei.co.jp/

2022年5月23日 (月)

本局の中継は以上で終了です。ご観戦ありがとうございました。

【第4期大成建設杯清麗戦五番勝負 日程】
第1局 7月8日(金) 東京都千代田区「ホテルニューオータニ」
第2局 7月22日(金) 新潟県新潟市「ホテルオークラ新潟」
第3局 8月3日(水) 愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」
第4局 8月22日(月) 大阪府大阪市「関西将棋会館」
第5局 8月31日(水) 東京都渋谷区「東京・将棋会館」

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感想戦後、里見女流四冠が改めてインタビューに応じました。

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――今期の清麗戦の戦いを振り返ってください。

里見 苦しい将棋もありましたが、一局一局を集中して指せたかと思います。

――予選トーナメントの早い段階で西山白玲・女王と当たり、そこでは敗れました。その将棋はいかがでしたか。

里見 こちらが攻めの組み立てを誤って、チャンスを逃したようなところがありました。時間との兼ね合いもありましたが、それが発見できなかったのは実力不足かなと思っていました。

――そこから再挑戦トーナメント、本戦と勝ち進んで、挑戦者決定戦でまた西山白玲・女王と対戦することになりました。

里見 ここ最近は西山さんとの対局が多くて、似たような形も指していたので、「この挑戦者決定戦のために」ということはあまりなくて、対局を重ねていく中で対策を練っていたという感じです。

――本日の将棋の内容はいかがでしたか。

里見 序盤は西山さんのほうが形に捉われない指し方をされて、こちらは自然に対応したつもりです。駒がぶつかったあとは、難しかったんですけど、こちらの玉の堅さを生かして指せたかなと思います。

――印象に残る一手はありますか。

里見 序盤の西山さんの▲4七金右(27手目)は、現代風だなと思いました。

――西山白玲・女王が昼食休憩明けに▲8四歩(45手目)△同歩▲6五歩と攻めたところで単に▲6五歩だと、また違った展開になったのでしょうか。

里見 単に▲6五歩だと、こちらが△5六歩▲同銀△5五銀と動いたときに▲8四歩が入らなくなる可能性がありますし、▲8四歩に△同銀の変化も考えられますから、あの辺りは本譜のように進むのかなと思っていました。

――五番勝負の開幕は7月です。前期と対局場も一部変わります。

里見 (五番勝負の日程表を見て)第2局の新潟はいったことがない県だと思うので、対局者として伺えるのはうれしいです。

――五番勝負の抱負をお願いします。

里見 2カ月間のタイトル戦になりますが、自分の中でしっかり準備をして挑みたいです。

――この清麗戦と、進行中のほかのタイトル戦番勝負に加えて、女流順位戦のA級でも勝ち星を伸ばしています。さらに忙しくなりそうですが、その点はいかがですか。

里見 目の前の対局に集中したいと思います。

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――五番勝負は、加藤桃子清麗との再戦です。前期を振り返っていかがでしょうか。

里見 加藤さんは結構、決断よく攻めてこられる印象があります。なので、その勢いに負けないように、ただ、しっかり冷静に対応できるように準備できたらと思います。

――前期の加藤清麗は、いままでの戦い方とは少し変えた印象でした。

里見 前期は加藤さんがいろんな戦型を用いられて、研究されているなという印象があります。こちらも引き続き、しっかり対策を立てられるように準備したいと思います。

――明後日はまた西山白玲・女王と対局します(第33期女流王位戦五番勝負第3局)。特定の相手と大舞台でこれほど立て続けに指すのは珍しいですが、西山白玲・女王はどういう存在か、改めて教えてください。

里見 西山さんとは最近、相振り飛車になることが多く、力戦で一手一手考えていく将棋が多いです。毎回、新たな発見もあります。重要な対局が続いていますけど、対局していて純粋に楽しく、充実感があります。

――斬新な構想でファンを沸かせている将棋も多いです。一緒に新しいものを作れる存在なのでしょうか。

里見 そうですね。相振り飛車は定跡が確立されていないですし、中飛車からの相振り飛車は特に自由度が高いので、そういう将棋を指していく楽しさはあります。

――過密日程が続きます。

里見 (明後日の女流王位戦の)持ち時間4時間の将棋は体力勝負のところもありますが、そういう対局をすることによって得られるものは大きいと思います。少しでも自分の棋力が上がるように、目の前の対局に全力でぶつかれたらなと思っています。

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Dsc_14541 (快勝でリターンマッチの権利を得た里見女流四冠)

◆里見女流四冠の談話

――本局を振り返って、いかがですか。

里見 囲い合ってこちらが攻める展開になり、そこから一手一手が難しかったんですけど、こちらの堅さを生かして指せたかと思います。

――どこで優勢を意識しましたか。

里見 香得で収まって(70手目辺り)、よくなったかなと思いました。

――勝ちを確信したのはどこでしょうか。

里見 △3三桂(96手目)と跳ねたところです。

――加藤桃子清麗とのリターンマッチが決まりました。五番勝負の抱負をお願いします。

里見 コンディションを整えて挑みたいと思います。

Dsc_14571 (敗れた西山白玲・女王)

◆西山白玲・女王の談話

――本局を振り返って、いかがですか。 

西山 こちらの角の形を評価してしまっていたのですが、陣形差があるので、もう少し工夫して指すべきだったかなと思います。

――駒組みの段階で誤算があったということですか。

西山 そうですね。まずまずかと思っていたので……判断がよくなかったのかもしれません。

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20220523l15時42分に西山白玲・女王が投了しました。消費時間は▲西山2時間42分、△里見2時間18分(チェスクロック使用)。勝った里見女流四冠は、4期連続となる清麗戦五番勝負出場を決めました。加藤桃子清麗との五番勝負は、7月8日(金)に東京都千代田区「ホテルニューオータニ」で開幕します。