2025年7月

2025年7月10日 (木)

対局室には手番の渡部女流四段が早めに戻っていました。再開が近づいて福間清麗が戻ります。13時、記録係の宮澤女流初段が再開の時間になったことを告げると、渡部女流四段は少し間を置いてから盤上に手を伸ばしました。

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12時、渡部女流四段が26分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲渡部女流四段1時間28分、△福間清麗1時間30分。昼食は福間清麗がニューオータニ伝統のカレーとコーンスープ、渡部女流四段がうな重をご飯少なめで注文しました。対局は13時に再開されます。

駒は顔真卿書、掬水作の盛上駒が使われています。

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対局場のホテルニューオータニは1964年に開業しました。東京オリンピック開催に向けて外国人客を迎えるため、国の要請を受けて創業者の大谷米太郎が1962年に建設に着手。地上17階建て、高さ約70メートルの建物は「東洋一」と称されました。大成建設が設計を手がけ、外壁は工場で事前に組み立てたカーテンウォールを使い、日本初のユニットバスを導入するなど工夫を凝らし、わずか17ヵ月の工期で完成させました。清麗戦五番勝負はこれまで第3期、第4期、第5期に開催されています。

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ゆったりした序盤とあってか、控室はのんびりとしたムード。7月7日に現役を引退した斎田晴子女流五段、LPSA代表理事の中倉宏美女流二段、LPSA業務執行理事の島井咲緒里女流二段、相川春香女流初段が訪れています。島井女流二段は森けい二九段門下で福間清麗の姉弟子にあたります。

飯塚八段は「序盤は絵を描くように考えるのがいい」と語っていました。藤井猛九段の言葉だそうです。本局は力戦形で構想力が問われる展開なりました。福間清麗と渡部女流四段は盤上にどのような絵を描くのでしょうか。

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10時、午前のおやつの時間になりました。福間清麗はプリンアラモード、アイスミルクティー、パイナップルジュース。渡部女流四段はメロン、カモミールティーを注文しています。

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本局は立ち上がりから駆け引きがありました。福間清麗は端の位を取ってから△3三角(10手目)と上がり、▲同角成に△同金から△2二飛として向かい飛車に振る姿勢を見せます。角交換しないと△4二銀や△2二銀で通常の角換わりに合流するため、変化の余地を与えないために▲3三同角成と交換するのが一般的ですが、渡部女流四段は▲4六歩と突いて角交換しませんでした。福間清麗は振り飛車を得意にしているため、相居飛車は歓迎という思惑がありそうです。

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実戦は福間清麗が△4二飛(12手目)と四間飛車に構えました。角道を開けたままの四間飛車はよくある指し方ですが、普通は△3二金ではなく△3二銀と組むもの。本局は振り飛車が形を決めて損になっている可能性があります。双方がどう方針を定めるか、序盤の駒組みから興味深い展開になりそうです。

対局当日の朝を迎えました。対局室には挑戦者、清麗の順に入室。福間清麗が駒箱を開けて、渡部女流四段とともに駒を並べていきます。駒を並べ終えると、立会人の飯塚八段が「振り駒です」と告げて、大成建設株式会社の北口雄一・専務執行役員が振り駒を行いました。と金が3枚出て、第1局は渡部女流四段の先手に。定刻の9時、対局が始まりました。

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2025年7月 9日 (水)

18時から関係者を集めた開幕式が開かれました。主催者として大成建設株式会社の相川善郎・代表取締役社長が「清麗戦では初めての顔合わせで熱い戦いが楽しみ。福間清麗と渡部女流四段が力を存分に発揮できるよう、万全の準備をさせていただく」、日本将棋連盟の清水市代会長が「福間清麗は公私ともに充実している無敵の王者。序盤巧者の渡部愛女流四段は『自信をしっかりつけて臨みたい』と話していた。どれぐらいの自信をつけたのか、盤上に表してくれると思う」と話しました。
福間清麗が清麗杯を返還し、両対局者が決意表明。福間清麗は「暑くなってくると清麗戦が始まるんだなと思う。また清麗戦が戦えることに喜びを感じる。充実したシリーズにできるよう、一局一局大切に指したい」、渡部女流四段は「4年ぶりのタイトル戦で心から望んでいた舞台。精いっぱい力を出しきりたい。成長できるようなシリーズにしたい」と語りました。

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(大成建設株式会社 相川善郎 代表取締役社長)

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(日本将棋連盟 清水市代会長)

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(福間香奈清麗)

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(渡部愛女流四段)

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対局場に両対局者が到着し、対局室で検分が行われました。検分では対局に使う棋具に問題がないか、照明や空調の具合を確認します。盤と駒は日本将棋連盟から運ばれたものが使われます。上座の後ろに窓があり、対局当日の天気が曇りの予報とのことで、カーテンを開けてみることに。福間清麗は「私は(景色が)見えないので」と渡部女流四段に判断を委ね、問題がなければ開けておく運びになりました。検分は滞りなく終了。両対局者は色紙に記念の揮毫を行いました。

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