感想戦のあとに加藤女流四段に囲み取材が行われました。
――あらためて、本局を振り返っていただけますか。
加藤 戦型を予想できなかったのですが、割と経験のある形で感覚的に序中盤はうまく指せたと思っています。▲3一角(43手目)を打ち込んでうまくいくかだと思いましたが、そのあとも振り飛車側の受けが難しかったようで冷静に対処できたと思います。
――▲3一角と打ったときの手応えはどうでしたか。
加藤 ▲3一角は狙い筋として、いつか打とうと思っていました。▲3六歩と突いてあって、△1四角と5八金を狙う筋がない状態で▲3一角と打てたので、好条件でできているはずだと思っていました。また、玉頭が手厚いので端攻めが炸裂しそうで手応えはありました。
――リードした手応えはいつ感じましたか。
加藤 指しているときは△7七角成(84手目)▲同金寄となっても怖いと思っていました。▲4三と(87手目)△同金が入って、後手玉が見えやすくなって勝ちやすい形勢になったと思いました。
――序盤の工夫はどのあたりでしょうか。
加藤 丸山ワクチンのイメージで指していました。7六に銀を収めようとしていました。女流名人戦のリーグ戦の▲大島(綾華女流二段)-△西山戦では、6筋の歩交換から▲5六銀~▲6七銀引と立て直していました。それも居飛車満足だと思いますが、自分は右銀を7六に収めたほうが勝ちやすいと思いました。相手が6三銀型か6三金型かで違いも出てきますが、その将棋を参考にしていました。
加藤 清麗戦の五番勝負は久しぶりです。五番勝負は持ち時間が4時間あって、チェスクロックですが、先日戦った女流王位戦と同じ持ち時間です。感覚としては女流王位戦の延長戦だなと捉えています。持ち時間をうまく使って、納得いく指し手を積み重ねたいと思います。
――清麗戦ではどういうテーマで臨みますか。
加藤 いまはまだわかりませんが、直前のタイトル戦を踏まえたうえで対策を立てたいと思っています。
――加藤女流四段にとって清麗は、女流棋士に転向して最初に獲得したタイトルです。
加藤 タイトルを獲得したシリーズ(第3期)は、タイトル戦を意識して日々の生活を考えながら五番勝負の期間を過ごしました。
これからも同じように一日一日を大切にしていきたいと思います。そのときの初心に戻ったつもりで臨みたいと思います。
――関西に移籍されました。いい影響はありますか。
加藤 今回ですと、女流王位戦五番勝負をストレートで敗退したのは大きな出来事でした。今日まで、気持ちの切り替えの期間が大事だと思って、VSを頼みまくりました。それを引き受けてくださったので、感謝していますし、鍛えてくださっている環境が、自分にとってよかったなと。将棋を指すことで気持ちを切り替えることができました。
――五番勝負は初めての対局場もあると思います。
加藤 初めての対局場はワクワク感があります。夏場で暑いと思います。そのあたりは体調管理をしっかりしたいと思います。料理はご当地にあったものいただけたら。そういったところで気分転換を楽しめたらと思います。
――女流王座戦、女流王位戦に続いてタイトル挑戦です。
加藤 ここ数日は今日に間に合わないのではと思っていました。心配でしたが、将棋に気持ちをぶつけられてよかったです。
――女流王位戦の結果を生かせて五番勝負に向かえそうですか。
加藤 負けてしまったことも前向きに捉えて進んでいけそうに思います。