2022年5月23日 (月)

里見女流四冠インタビュー

感想戦後、里見女流四冠が改めてインタビューに応じました。

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――今期の清麗戦の戦いを振り返ってください。

里見 苦しい将棋もありましたが、一局一局を集中して指せたかと思います。

――予選トーナメントの早い段階で西山白玲・女王と当たり、そこでは敗れました。その将棋はいかがでしたか。

里見 こちらが攻めの組み立てを誤って、チャンスを逃したようなところがありました。時間との兼ね合いもありましたが、それが発見できなかったのは実力不足かなと思っていました。

――そこから再挑戦トーナメント、本戦と勝ち進んで、挑戦者決定戦でまた西山白玲・女王と対戦することになりました。

里見 ここ最近は西山さんとの対局が多くて、似たような形も指していたので、「この挑戦者決定戦のために」ということはあまりなくて、対局を重ねていく中で対策を練っていたという感じです。

――本日の将棋の内容はいかがでしたか。

里見 序盤は西山さんのほうが形に捉われない指し方をされて、こちらは自然に対応したつもりです。駒がぶつかったあとは、難しかったんですけど、こちらの玉の堅さを生かして指せたかなと思います。

――印象に残る一手はありますか。

里見 序盤の西山さんの▲4七金右(27手目)は、現代風だなと思いました。

――西山白玲・女王が昼食休憩明けに▲8四歩(45手目)△同歩▲6五歩と攻めたところで単に▲6五歩だと、また違った展開になったのでしょうか。

里見 単に▲6五歩だと、こちらが△5六歩▲同銀△5五銀と動いたときに▲8四歩が入らなくなる可能性がありますし、▲8四歩に△同銀の変化も考えられますから、あの辺りは本譜のように進むのかなと思っていました。

――五番勝負の開幕は7月です。前期と対局場も一部変わります。

里見 (五番勝負の日程表を見て)第2局の新潟はいったことがない県だと思うので、対局者として伺えるのはうれしいです。

――五番勝負の抱負をお願いします。

里見 2カ月間のタイトル戦になりますが、自分の中でしっかり準備をして挑みたいです。

――この清麗戦と、進行中のほかのタイトル戦番勝負に加えて、女流順位戦のA級でも勝ち星を伸ばしています。さらに忙しくなりそうですが、その点はいかがですか。

里見 目の前の対局に集中したいと思います。

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――五番勝負は、加藤桃子清麗との再戦です。前期を振り返っていかがでしょうか。

里見 加藤さんは結構、決断よく攻めてこられる印象があります。なので、その勢いに負けないように、ただ、しっかり冷静に対応できるように準備できたらと思います。

――前期の加藤清麗は、いままでの戦い方とは少し変えた印象でした。

里見 前期は加藤さんがいろんな戦型を用いられて、研究されているなという印象があります。こちらも引き続き、しっかり対策を立てられるように準備したいと思います。

――明後日はまた西山白玲・女王と対局します(第33期女流王位戦五番勝負第3局)。特定の相手と大舞台でこれほど立て続けに指すのは珍しいですが、西山白玲・女王はどういう存在か、改めて教えてください。

里見 西山さんとは最近、相振り飛車になることが多く、力戦で一手一手考えていく将棋が多いです。毎回、新たな発見もあります。重要な対局が続いていますけど、対局していて純粋に楽しく、充実感があります。

――斬新な構想でファンを沸かせている将棋も多いです。一緒に新しいものを作れる存在なのでしょうか。

里見 そうですね。相振り飛車は定跡が確立されていないですし、中飛車からの相振り飛車は特に自由度が高いので、そういう将棋を指していく楽しさはあります。

――過密日程が続きます。

里見 (明後日の女流王位戦の)持ち時間4時間の将棋は体力勝負のところもありますが、そういう対局をすることによって得られるものは大きいと思います。少しでも自分の棋力が上がるように、目の前の対局に全力でぶつかれたらなと思っています。

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