2021年11月17日 (水)

囲み取材

第3期清麗戦は加藤桃子清麗の誕生で閉幕です。
今期もご観戦いただきましてありがとうございました。


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――清麗獲得について。

長い長い戦いだったんですけども、何とか勝ちきれてタイトルを獲得できたのは、すごくうれしいです。

――2連勝スタートでした。

第1局と第2局はいろいろあったなかでも、わりと内容よく指せていたほうかなと思っています。特に第1局に勝てたのはすごく大きかったです。里見さんに連敗していたので(直前まで14連敗)、勝てたことで自信がつきました。2連勝できたことは驚いたんですけど、自分らしい将棋を指せてよかったなと思っています。

――その後は2連敗した。過去の番勝負では2連勝3連敗もあった。第4局を終えたあとはどのような気持ちでしたか。

第4局を終えて、もどかしさというか、1勝が遠いというのは重々承知していました。第3局は自ら崩れましたし、第4局は粘りましたが届きませんでした。里見さんとの実力差を痛感していたところでもありました。しかし、目の前の勝負には勝ちたい気持ちだったので、気持ちを切り替えて、この瞬間だけでもよいパフォーマンスを出せるようにと第5局に向けて整えてきました。

――女流棋士になって初のタイトル獲得となった。

女流棋士になってタイトルが獲れたのはすごくうれしい。それを目標にしてきたので。里見さんや西山さんは相当強いので、何回も跳ね返され続けてきたのですが、心折れずに挑戦し続けることができたのがよかったのかなと思っています。いや、ほんとに……、獲ることができて本当にうれしい。いまはそれいっぱいなんですけど、これからも戦いは続いていくと思うので、それに向けても一生懸命がんばりたいと思います。

――今回は素敵なホテルで対局が続いた。印象に残ることは。

第一感はモンブランですね。モンブランが印象に残っています(笑い)。失礼しました、ごめんなさい。すごく素敵なホテルで対局させていただけたのが、すごくうれしかったです。前日もお部屋にウェルカムフルーツがあったり、普段にはない経験をたくさんさせていただいたなかでの対局だったので、翌日に向けてがんばろうと、より意識が高まりました。どこも素敵な場所で、手厚いおもてなしもいただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。

【第2局の昼食】
https://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2021/10/post-97d2.html

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――今回のシリーズのテーマや準備してきたことを教えてください。

作戦面はけっこう考えてきました。少し前に指した作戦とは少し変えていこうと思っていました。急戦策でいったときに、どうしても千切れてしまうことが多かったので、それに気をつけながら手厚い攻めでいい態勢を築ければいいなと思っていました。

――左美濃が多かったですね。

以前にも使っていたんですけど、あまり自分のものにできていませんでした。今回、あらためて研究してみて、自分の棋風に合っている将棋だなと感じていたので、自信を持って採用しました。

――奨励会退会からいろいろあった。成長したと思うところ、以前とは違うと感じているところはありますか。

ありがたいことに女流棋戦がたくさん増えまして、本当にうれしいですけど、そのなかで自分の成績がなかなか安定しないと思うことが多いです。すべてに全力を出しきっているつもりなのですが、どうしても力が及ばないことがあって、もどかしさを感じています。こうしてタイトルを獲れたことはうれしくて、自信にもなっているのですが、ここがゴールではなくて、ここから何十年も勉強したいなという気持ちがさらに強くなりました。

――力がついたという手ごたえはありますか。

序盤はまだまだ未熟というか、経験不足なところもあって、改善してきたいと思います。中終盤は自ら崩れる手が少なくなった気がします。第2局はねじり合いになって勝つことがでいました。息長く指すことを心掛けています。

――奨励会員時代と女流棋士になってからでタイトル獲得の思いの違いはありますか。

前は前ですごくうれしかったです。ただ、今日はめちゃくちゃうれしいですね(笑い)。タイトルを獲れたこともそうですが、五番勝負のフルセットで勝てたことが大きいです。2連勝3連敗は私にはよくあったので、過去のデータに勝てたのがすごくうれしいです。

――週末にまた里見さんとタイトル戦(倉敷藤花戦)があります。

三番勝負ですでに1敗していて、とてもとても厳しい状況です。今日は今日でたくさん喜んで、明日、明後日あたりからは切り替えて、連日で指せるように頑張りたいと思います。(倉敷藤花三番勝負の第2局は20日に行われ、加藤清麗が勝てば21日に第3局がある)

――里見さんとの対局が続いていることについて。

里見さんとたくさん指せてうれしいですし、ずっと格上だと思っているので、がんばって挑戦し続けていきたいと思います。

――現在進行中の第2回女流ABEMAトーナメントでは、渡辺明名人がチーム加藤の監督をしている。いろいろ指導を受けているとも聞いている。今回の清麗戦についてアドバイスなどはありましたか。

渡辺名人には、ABEMAトーナメントの監督として将棋を見ていただいたり、励ましの言葉をいただいたりしています。詳しくはお話しできませんが、たくさんご指導いただいていて、その時間が自分にとってとても尊いものです。そのような環境で将棋が指せることは、この上ない喜びです。

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――直前まで14連敗していた相手からタイトルを獲ることは、将棋の歴史を振り返っても少ない。いままでと変えたこと、変わったことはありますか。

前回のタイトル戦は自分なりにがんばったのですが後悔も残ったので、次に挑むときは完全完璧に近い形で挑めたらと思っていました。連敗を止めたいという気持ちもありました。その2つの気持ちがよい方向にいったのかなと思います。

――里見西山の2強時代といわれていることについて。

里見さんと西山さんが各棋戦で活躍されて、いいなと思っていました。私もがんばりたいなと思っていて、お二人に引っ張っていただいている感じですね。奨励会三段までいったことはすごいことで、並大抵の努力ではたどり着けない境地です。私も追いつきたいなと思っています。

――今回のシリーズはABEMAで生中継された。動画中継のあるなしで違いはありますか。

もちろんどの対局も全力です。でもABEMAさんでたくさんの方にご覧いただいていると気合は入ります。へたな将棋は指せない、なるべくいい手を指したいと思って対局していました。「ABEMAで見ているよ」「応援してるよ」と声をかけてくださる方も多くて、中継していただいてありがたいです。

――大成建設の素晴らしいホテルはたくさんあります。次はここで対局したいといった希望はありますか。

今回も素晴らしい会場ばかりでした。あらたな素敵な会場に出会えたらいいなと思います。

――ファンに向けて一言。

ご観戦いただきまして本当にありがとうございます。タイトルを獲ることができました。(声を詰まらせて)途中はちょっと諦めたときもあったんですけど……。みなさんが応援してくださったので、タイトルを獲ることができて本当にうれしいです。これからもがんばります。