◆加藤桃女流三段の談話
――戦いが起きたあと、いったん引く手もあるところで▲5四銀(59手目)と前に出た手が一局の方向性を決めた手かと思いますが、あの辺りは成算があって踏み込んだのでしょうか。
加藤桃 出るか引くか、すごく悩んだんですけど、▲5六桂(61手目)を打てると思ったので。そのときは少し自信があったんですけど、進めてみると攻めさせられた感じがして、難しいなと思っていました。
――「攻めさせられた」と認識が変わったのはどの辺りでしょうか。
加藤桃 △3四同金(66手目)~△4五金と出られて、後手を引いてしまったので。角は取れたんですけど、端を詰められて、歩切れになってしまって。あまり自信はなかったです。
――その後、▲1五角(81手目)~▲6四角と挟み込んで、先手の手が続くように見えましたが、十字飛車の筋(94手目の△5五飛)で反撃を受けました。控室では、十字飛車を回避する順も検討されていましたが。
加藤桃 十字飛車をうっかりしてしまって。回避する順を私は見つけられなかったので、仕方なく進めていたところがあります。
――よくなったという感触があったのは、どの辺りですか。
加藤桃 本当に最後のほうです。▲6一角(121手目)~▲5二角成から、6七金を取らせている間に相手玉を寄せる形になって、自玉が詰まなければと。
――開幕から2連勝となりました。本局の振り返りと、次局に向けての意気込みをお願いします。
加藤桃 よく分からない将棋だったんですけど、悪くなっても簡単に心が折れなかったのがよかったと思います。次局は仙台で、楽しみです。先後も決まっているので、しっかりと準備して挑みたいと思います。
◆里見香清麗の談話
――仕掛けられてからは、受けに回る展開でした。あの辺りはいかがでしたか。
里見香 △5二銀(60手目)と引いたあとに誤算があって。昼食休憩のときはいろいろな筋を考えていたんですけど、本譜なら駒を活用させられる形になったので、まずまずかなと思っていました。
――十字飛車の筋を狙った辺りはいかがでしたか。
里見香 いいと思っていたんですけど、はっきりした筋が分からなくて。もう少し強く踏み込む順はあったかもしれません。
――本局の振り返りと、次局の意気込みをお願いします。
里見香 本局は時間を使いすぎてしまったところがあったので、次局は時間配分や戦型も含めて、いい状態で挑めたらと思います。